いつか使える?『ゴールデンカムイ』で学んだクセ強な豆知識4選 ラッコ鍋の効果は…
マグミクス / 2022年4月27日 19時10分
■最高のエンタメとクセ強の知識が合わさった『ゴールデンカムイ』
2022年4月28日(木)に最終回を迎える『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)。それに先駆け4月7日(木)からWEBコミックサイト「となりのヤングジャンプ」、アプリ「ヤンジャン!」で全話無料公開が行われ、最終回同日から東京ドームシティ Gallery AaMoで「ゴールデンカムイ展」も開催されるなど、クライマックスに向け熱狂を見せています。『ゴールデンカムイ』では野田先生が丹念に取材を行ったアイヌ文化の紹介や、北海道の大自然におけるサバイバル知識など、魅力的なクセの強い豆知識がたくさん登場するのも魅力です。この記事ではそんな知識を、ごくごく一部ですがご紹介します。「ああ、あの時に登場したやつだ」と、思い返していただければ幸いです。
●カエデの枝が折れて樹液がツララになったものを舐めると甘くて美味しい
第3巻の 21話に登場したこちらの豆知識。アイヌの少女アシリパ(リが小文字)さんが、主人公の杉元に「あれを取りたい」とわざわざ肩車をさせて採取したカエデのツララに関する知識でした。
正確にはカエデの枝が折れて、そこから滲み出た樹液がツララになったものが甘いそうです。カエデとはつまりメープルであり、舐めてみるとこれがほんのり甘く、まさに「天然の氷菓子」とのこと。さらに、「先端が最も甘い」というダメ押しの情報つきです。こちらは作中の料理を再現した、2016年9月22日の1日限定オープン「渋谷道玄坂ゴールデンカムイ軒」でも、再現したメニューが提供されました。この知識を役立てるかいなかは、私たち次第です。
●ラッコの肉を食べると、なんだか無性にムラムラするらしい
どうにも最近、精力的な衰えを感じる、夫婦関係が冷え込んでいる……そんな方にオススメの知識がこちら、「ラッコ鍋を食べるとなんだかムラムラする」です。
単行本12巻115話・116話で描かれた「ラッコ鍋」のエピソードはファン人気も一段と高く、さまざまなクラスタからも注目を集めました。同エピソードでは大量のバッタが外を飛び回るなか、「ラッコ鍋」を食らった『ゴールデンカムイ』が誇る筋骨隆々の男衆たちが、互いのむせかえるほどの色気にやられて、やり場のないムラムラを相撲で発散する名シーンが登場します。作中で説明されたアイヌの言い伝えでは「ラッコの煮える臭いが欲情を気絶するほど刺激する」「ラッコの肉を煮るときは必ず男女同数で部屋にいなければならないと信じられている」と説明されていますが、絶滅危惧種であるラッコの肉は当然市場には出回っていないので、実際に体験する機会はなさそうなのが残念です。
また、このエピソードではみんなが賢者モードになった後に、谷垣源次郎とインカラマッ(ラは小文字)が初めて「オチウ」をし、物語も大きく動きました(その光景を見てチカパシは怖くて泣きました)。
※ここから先の記事では、物語の核心に触れないよう留意していますが、まだアニメ化されていない原作マンガの内容についての記載があります。未読の方はご了承のうえお読みください。
■「五稜郭」が星型の理由は?
●極寒の川に落ちたら生存できるタイムリミットは10分
北国ならではの初期豆知識は、第1巻7話で登場したこちら。まだ出会ったばかりだった主人公・杉元と脱獄王・白石が、一緒に極寒の川へ落ちた際にナレーションで挿入された情報です。
あまりの寒さに運動能力や判断能力が一瞬にして低下、そうなってしまえば死は免れません。したがってこの10分間のうち、いかに暖をとる術を勝ち得るかが生死の分かれ目になるのです。
そんな危機的状況のなか、のちにさまざまな名シーン珍シーンを生んだ杉元&白石コンビは記念すべき「初めての共同作業」を行い、何とか生き残りました。判断力が下がった白石が太すぎる木をゴリゴリして火を起こそうとしたり、銃弾をゴプッと吐き出したり、生死をかけた状況でもギャグが挟まれるテイストは、この時からキレキレです。
●五稜郭が星型なのは「死角」を生まないため!
最後に最新29巻からも、北海道の名所に関する豆知識を紹介します。歴戦の猛者・土方歳三が語るところによると、「五稜郭が星(☆)の形状をしているのは、全方位に死角を作ることなく攻撃できるようにするため」だそう。その名の通り、五方に稜堡(りょうほ・城壁や要塞などの外に向かって突き出した角の箇所)があるため、例えばひとつの稜堡の石垣の死角に敵が入っても、隣の稜堡から視認して射撃できるのです。
なるほど、義務教育時代に習った時はただ星型で面白いと思っただけのあの「五稜郭」ですが、「城郭」としてそんな設計意図があったとは。クライマックスまで、『ゴールデンカムイ』は知的好奇心を真っ当に刺激しまくってくるのですからたまりません。
他にも「ヒグマの脳は小さいので頭部を撃っても殺せない可能性がある(あと、ヒグマの土饅頭に埋められた獲物は掘り返しちゃダメ)」「頭部に被弾しても生き残った実例は割とある」「アイヌの子供は6歳くらいまで病魔が近寄らないように、あえて汚い名前で呼ばれる」「タンニンなめしをした皮は濡れた状態で鉄に触れると黒く変色してしまう」「ハゲワシのような巨鳥や黒光りする大蛇の目撃例が実際にあった」……などなど、『ゴールデンカムイ』は私たちに凄まじいエンタメ体験と、普通に生きていれば覚えなかったであろう知識まで与えてくれました。
アシリパさんの名前ひとつとっても、「(リは小文字)」の注釈ではじめて「そんな文字表記あったんだ」と驚くばかり。『ゴールデンカムイ』は、夢中で読んでいるうちにいろんなまめ知識が身につく最高の「教科書」です。
(片野)
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