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虚淵玄脚本の新感覚アニメ『バブル』 「出会い」は素晴らしいと思わされるSFアクション

マグミクス / 2022年4月28日 12時10分

虚淵玄脚本の新感覚アニメ『バブル』 「出会い」は素晴らしいと思わされるSFアクション

■虚淵玄脚本と荒木哲郎監督との初タッグ作

 黒い二酸化マンガンにオキシドールを注ぐと、白い泡がブクブクとあふれ出してきます。理科の授業で、そんな化学実験を体験した人は多いのではないでしょうか。劇場アニメ『バブル』は、スクリーン上で起きる化学反応を楽しむようなSF作品です。

 脚本は最新作『魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天』の公開が待ち遠しい虚淵玄氏、監督はTVアニメ『進撃の巨人』第1~第3シリーズを手掛けた荒木哲郎氏。キャラクターデザイン原案は、人気マンガ『DEATH NOTE』『バクマン。』の小畑健氏です。さらに劇場アニメ『君の名は。』(2016年)をメガヒットさせた川村元気プロデューサーが、企画&プロデュースとして参加しています。

 気鋭のクリエイターたちが融合し、どんなオリジナルアニメが誕生したのでしょうか。2022年4月28日(木)からNetflixでの世界配信、5月13日(金)から劇場公開が始まるワーナー・ブラザース映画『バブル』の見どころを紹介します。

■どこか懐かしさを感じさせる廃墟化した東京

 舞台となるのは、廃墟化した東京です。宇宙から飛来し、地球全体に降り注いた謎の泡〈バブル〉に、東京はすっぽりと覆われてしまっています。泡の影響によって、東京の重力は破壊され、都心は居住禁止区域に。家族のいない若者たちだけが残り、生活必需品を賭けて、パルクールによるチームバトルが繰り広げられています。

 パルクールとは、身体能力をフルに活かして障害物を乗り越えていく、アクロバティックな競技です。チーム「ブルーブレイズ」のエース・ヒビキ(CV:志尊淳)は、崩壊したビル街をさっそうと駆け抜け、ビルからビルへと飛び移ります。

 ある日、無謀なプレイで危険な海に落ちたヒビキでしたが、不思議な少女・ウタ(CV:りりあ。)が現れ、ヒビキを救います。ウタは常人離れした身体能力の持ち主でした。ヒビキや他のチームメイト、泡について研究する科学者のマコト(CV:広瀬アリス)らと、ウタとの楽しい共同生活が始まります。

 荒廃した東京は都心部まで海が浸水し、渋谷のランドマークだった「109」などのビルには緑色のツタが絡まり、ディストピアと化しています。人影のない寂しい街並みですが、どこか懐かしさも感じさせる奇妙な光景となっています。重力による縛りが失われた世界で、ヒビキは口数の少ないウタと心を通わせるようになっていきます。

 虚淵氏によると、今回の物語はアンデルセン童話『人魚姫』をモチーフにしているそうです。廃墟化した街を舞台に、運命的に出会った少年と少女との物語が奏られていきます。

■生命と生命との触れ合いが、意外な化学反応を生む?

ウタ(左)とヒビキ(右)の出会いは、新たな化学反応を生み出す

 ダークな世界観で知られる虚淵玄氏の作品に、新鮮な活気をもたらしているのがアクションアニメを得意とする荒木哲郎監督の演出です。『進撃の巨人』での立体起動装置を使ったワイヤーアクションと同様に、ヒビキたちが見せるパルクールも迫力があります。

 圧巻なのは、崩壊しかかった東京タワー上層部への登頂を試みるクライマックスです。パルクールの達人であるヒビキですが、未知の能力を持つウタとタッグを組むことで、さらにパワーアップ。前人未到の領域にまで、足を踏み入れることになります。単独では不可能だったことが、タッグでなら可能となります。ふたりの挑戦は、地球の運命すらも変えていくのでした。

 人と人とが出会うことで、お互いに触発され、思いがけない力を発揮することになります。ヒビキやウタの目が覚めるようなアクションは、まさに生命の輝きを感じさせます。

 アニメーションという言葉は、animate(生命を吹き込む)が語源であることを思い出させます。生命と生命とが触れ合う瞬間にも、意外な化学反応が起きるものなのかもしれません。

■さまざまな障害を乗り越えていく主人公たち

 物語は後半、空から泡が再び降ってくる「第二次降泡現象」が起き、激しい泡に覆われた東京から、ヒビキたちは脱出せざるをえません。そして謎めいていたウタの正体を、観客も知ることになります。

「バブル」と聞くと、1990年代初頭の「バブル景気」や「バブル崩壊」を思い浮かべる人がいるかもしれません。荒廃した東京の景観は、バブル経済が弾け、「失われた時代」が今も続く日本社会のようにも感じられます。人影のない街角は、コロナ禍の状況を思わせるものもあります。

 でも、そんなディストピア化した街で、ヒビキもウタも重力に縛られることなく、踊るように駆け抜け、歌を歌うように軽やかに宙を跳びます。ふたりは物理的な障害物だけでなく、バブル崩壊やコロナ禍といった社会的な災害さえも軽々と飛び越えていくかのようです。

 新しい出会いは、思いがけない化学反応を生み出すことになります。新感覚アニメ『バブル』は、出会いの面白さを楽しむ作品だと言えそうです。今までとは異なる座組みを体験した虚淵氏や荒木監督らが、これからどんな作品を創り出していくのかにも期待したいと思います。

●『バブル』Netflix版は4月28日(木)より全世界配信、劇場版は5月13日(金)より公開されます。

監督/荒木哲郎 脚本/虚淵玄、大樹連司、佐藤直子 キャラクターデザイン原案/小畑健 音楽/澤野弘之 企画・プロデュース/川村元気
声の出演/志尊淳、りりあ。、宮野真守、梶裕貴、畠中祐、千本木彩花、逢坂良太、羽多野渉、井上麻里奈、三木眞一郎、広瀬アリス
配給/ワーナ・ブラザース映画 
(c)2022「バブル」製作委員会

(長野辰次)

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