GWにおすすめ、人気スター主演。懐かし実写化映画5選 原作からのアレンジには驚きも?
マグミクス / 2022年5月4日 11時50分
■原作マンガとは異なる魅力を持つ実写化映画
大好きな人気マンガを、自分が憧れる人気スターを使って実写映画化してみたら……。そんな妄想に駆られた経験は、誰しもあるのではないでしょうか。映画界ではそんな企画が、これまで数多く生み出されてきました。
タイトルと主人公の名前が原作と同じなだけで、ストーリーもキャラクターも大きく変わってしまった実写化映画も少なくありません。原作の知名度や話題性に頼った安易な企画もある一方で、生身の俳優たちが演じることで原作マンガとは異なる魅力が感じられる実写映画として完成したケースあります。
2000年以前に製作された、懐かしいマンガ原作の実写化映画をセレクトしてみました。出演俳優のファン、ならびに原作のファンなら、一度は観ておきたい作品ばかりです。
■薬師丸ひろ子×相米監督の初タッグ『翔んだカップル』
薬師丸ひろ子さんの初主演映画として知られているのが、柳沢きみお氏の人気ラブコメを原作にした『翔んだカップル』(1980年)です。角川映画『野性の証明』(1978年)でデビューした薬師丸さんが、高校1年のときに撮影した作品です。
九州から上京してきた高校生・勇介(鶴見辰吾)は、海外旅行中のおじ夫婦の家でひとり暮らしを始めます。そこに現れたのが、同じ高校に通う圭(薬師丸ひろ子)でした。不動産屋の手違いで、ふたりは同じ屋根の下で共同生活を送ることになります。
本作を撮ったのは、「長回し」で有名な相米慎二監督。これが監督デビュー作でした。一軒家で暮らすことになった10代の少年少女の、言葉では説明できない心の揺れ動きをじっくりとカメラで追っています。
大人でもなく、子供でもない。少女時代の薬師丸さんの不思議な魅力が伝わってくる作品になっています。『翔んだカップル』に出演するまでは芸能活動を続けるか迷っていた薬師丸さんですが、相米監督と再びタッグを組み、『セーラー服と機関銃』(1981年)を大ヒットさせることになります。
■自由奔放な脚色作『めぞん一刻』
高橋留美子さんの人気コミックを、TVドラマ『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)でブレイクした石原真理子さんの主演作として映画化したのが、『めぞん一刻』(1986年)です。石原さんは、もちろん管理人・音無響子役です。
浪人生の五代(石黒賢)たちが住む古いアパート「一刻館」に、新しい管理人として響子(石原真理子)がやってきます。アパートを出るつもりだった五代ですが、美しい未亡人・響子にひとめ惚れして、部屋に残ることに。個性の強すぎるアパートの住人たちが夜な夜な集まり、飲めや歌えやの宴会が繰り広げられます。
原作ファンにはおなじみの「一刻館」の住人・四谷に伊武雅刀さん、一の瀬さんに藤田弓子さんなど、イメージぴったりの配役となっています。宴会は途中からミュージカル仕立てになるなど、澤井信一郎監督の遊び心が炸裂しています。押井守監督の劇場アニメ『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』(1984年)と同じくらい、原作を思いっきり改変していますが、憎めない実写化作品となっています。
■6人時代の「SMAP」が主演した『シュート!』
「SMAP」出演で映画化された『シュート!』DVD(松竹)
2016年に解散した人気アイドルグループ「SMAP」が主演したのは、大島司氏の人気マンガを実写映画化した『シュート!』(1994年)です。森且行さんも含めた、6人時代の「SMAP」がサッカーに熱中する姿が描かれています。
天才的サッカー選手の久保嘉晴(木村拓哉)に憧れ、田仲俊彦(中居正広)は同じ高校に進みます。幼なじみの平松和広(香取慎吾)と白石健二(森且行)もサッカー部に入り、全国大会を目指すことに。ところが予選大会中に、俊彦たちは思いがけない悲運に見舞われてしまいます。
サッカーブームに乗じて製作された『シュート!』ですが、大森一樹監督によって光と影が交差する青春映画に仕上がっています。台湾ニューシネマや香港ニューウェーブっぽい雰囲気も感じさせる、1990年代を代表するアイドル映画のひとつだと言えるでしょう。
■ 原作者も評価した『ヒルコ 妖怪ハンター』
ジュリーの愛称で大人気を博した沢田研二さんが主演した異色ホラー映画は、塚本晋也監督の商業デビュー作となった『ヒルコ 妖怪ハンター』(1991年)です。カルトな漫画家・諸星大二郎氏の『海竜祭の夜』が原作となっています。諸星作品からは、宮崎駿監督や庵野秀明監督も影響を受けたことが知られています。
異端の考古学者・稗田礼二郎(沢田研二)は、古代人が悪霊を鎮めるために作ったと思われる古墳の調査に訪れます。折しも夏休み中の中学校では、教員の八部(竹中直人)と女子生徒の月島(上野めぐみ)が失踪するという事件が起きていました。八部の息子・まさお(工藤正貴)と稗田は、古墳に封印されていたはずの異形の生物「ヒルコ」に遭遇するのでした。
原作のクールな稗田と違って、沢田さん演じる主人公はとても人間臭く、「ヒルコ」にビビりながらも殺虫剤を片手に立ち向かいます。また、単なるスプラッターホラーではなく、少年の淡い恋心がモチーフとなっており、ラストシーンも胸にしみます。原作者や原作ファンからも評価されましたが、興行的に成功しなかったことが惜しまれる実写化映画でした。
■原作要素がほとんどない『ドーベルマン刑事』
最後に紹介するのは、千葉真一さんが主演した深作欣二監督作『ドーベルマン刑事』(1977年)です。「ドーベルマン」の異名を持つ武闘派刑事の加納(千葉真一)ですが、なぜか子豚を肩に担いで登場します。原作マンガ(原作:武論尊、作画:平松伸二)の要素が、まるで感じられません。ここまで原作と乖離している作品も珍しいでしょう。
千葉さんの他に、松方弘樹さん、川谷拓三さん、室田日出男さんら、深作監督の実録ヤクザ映画「仁義なき戦い」シリーズの濃い顔ぶれが出演しています。「仁義なき実写化映画」と呼びたくなる内容です。
近年の実写化作品と違い、かつての映画界は自由度がとても高かったようです。また見方を変えれば、映画界で育った監督、脚本家、俳優たちが、原作マンガとガチンコ対決していた時代だったと言えるのかもしれません。
(長野辰次)
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