描いたのは誰だあ!アニメ『美味しんぼ』で視聴者が驚愕した究極の作画回3選
マグミクス / 2022年5月10日 19時10分
![描いたのは誰だあ!アニメ『美味しんぼ』で視聴者が驚愕した究極の作画回3選](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_90093_0-small.jpg)
■アニメで「美食」を描く! 「究極の作画スタッフ」が結集したアニメ『美味しんぼ』
近年、アニメ『美味しんぼ』に再び注目が集まっています。1988年から約4年にわたって放送された同作ですが、公式YouTubeによる無料配信やサブスクリプションサービスなどによって、リアルタイム世代でない人々も巻き込んでいるのです。美食の知識や人間ドラマだけでなく、バブル経済に華やいでいた日本の都会的雰囲気を感じられる作品としても広く認知されているよう。また、SNSではたびたびアニメ『美味しんぼ』の作画レベルの高さが話題に上がります。今回は当時のセル画アニメにおける、「究極技巧が堪能できる回」をご紹介します。
●Twitterでたびたびバズる「欠番回」第40話「真夏の氷」
アニメ『美味しんぼ』は当然ながら「美味しそうな料理」が登場しますが、この料理描写はもはや暴力に等しいです。フランス料理、寿司、天ぷらといった高級グルメはもちろんのこと、ハンバーガーにラーメンといった庶民路線、さらには小麦粉で作ったガムなどの珍妙なものまで、あまねくものをとにかく美味しそうに描いています。
さてそんなグルメ描写のなかでも定期的にTwitterユーザーに再発見されているのが、第40話「真夏の氷」の回に登場した「10万年前の南極の氷塊」です。バーのマスターが、水割り用のとっておきとして振舞ってくれたこちらの氷。その描きこみぶりは紛れもなく芸術でした。背景の映り込み、照明の反射、アイスピックで砕けた破片のきらめき加減、すべてが見逃せない究極の作画なのです。絵コンテ・演出は松園公さん、作画監督は河南正昭さん。他にも「仕上」班に少なくとも8名の精鋭スタッフが名を連ねています。
ただしこの回、残念ながら配信などでは「欠番」となってしまっており(店主が語る「水問題」がセンシティブなためかと考えられます)、余計に伝説となっているようです。
●出刃一本で巨大魚をさばく描写が圧巻 第14話「横綱の好物」
原作とアニメ版における大きな違いのひとつに、調理シーンの描きこみが挙げられるでしょう。原作ではあっさり数コマで処理されていた場面も、アニメはその工程を丁寧に描いてくれるのです。
なかでも圧巻なのが魚をさばくシーン。肉類と違い色合いも淡白なものが多く、それでいて調理工程も複雑なものばかりです。こと第14話「横綱の好物」では、相撲の後援会で大人の背丈ほどある巨大なアラ(クエ)を大将が出刃包丁一本で解体するシーンが、実に細かく描写されます。皮をはぎ、中骨を断ち、頭と身を離し……インターネットもない時代、いったい何を資料として描いていったのか。セル画ならではの温みのあるタッチとあいまって、そのシーンだけでも一見の価値があると言えるでしょう。
ちなみに作中では珍しく海原雄山が手放しでこの大将の包丁さばきを、「見事。包丁さばきの腕は横綱級だ」と褒めるのですが、この言葉はそのまま動画スタッフに送られたものとしか思えない(実際、原作にはないアニメだけのセリフです)のです。絵コンテ・演出は杉島邦久さん。作画監督は河南正昭さんでした。
■料理描写だけじゃない凄すぎる作画のこだわり
アニメと見比べたい、「中国残留孤児」を扱った「黒い刺身」が収録された『美味しんぼ』9巻(小学館)
●美食アニメだったのでは……? 第74話「黒い刺身」
『美味しんぼ』の作画能力の高さは、美食に限ったことではありません。第74話「黒い刺身」では、山岡たちは帰国した「中国残留孤児」の方の身辺調査を行うことになるのですが、回想シーンの作画が「これ、本当に美食アニメか?」とSNSでも話題を集めました。
問題のシーンを振り返りましょう。終戦後、中国から引き揚げようとしていた日本人の列に突如、戦車隊が爆撃を開始。必死に逃げ惑う人々の凄惨な状況までも、『美味しんぼ』スタッフは容赦なく描写します。この骨太な描写力あってこその普段の美食の説得力だったのか、と気付かされるエピソードでもありました。ちなみに同回では10種類ほどの「白身魚の刺身」を描き分ける職人技も堪能できます。絵コンテ・演出は遠藤徹哉さん。作画監督は河南正昭さんでした。
冒頭でも述べたとおり、アニメ『美味しんぼ』はバブル経済における東京風景を堪能する上でもぴったりの作品であり、ある種のアーカイブ的な価値があります。「氷」の描写に代表されるような「反射」の演出もまた、アニメ『美味しんぼ』作画の肝となる部分。こうした究極、そして至高の作画は、いよいよ時代を超えて愛されるものになりつつあるようです。
(片野)
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