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原作改変が絶妙な実写ドラマ4選 カット割りや設定変更、オリジナル「げぇむ」も話題に

マグミクス / 2022年5月14日 6時10分

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■マンガの実写化には改変はつきもの!

 毎クール各局が制作にしのぎを削り合うTVドラマ。マンガ作品はTVドラマの原作として大いに存在感を発揮していますが、マンガを実写ドラマにする際には、放送時間の都合などもあり、どうしても原作との違いが生じてしまうものです。今回は、マンガとはまた「別物」になっていることを前提として、それでも原作を実写ドラマにする際の「改変」が上手くいっている作品を振り返ります。

●『岸辺露伴は動かない』

 荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』に登場した、漫画家・岸辺露伴が主人公のスピンオフ『岸辺露伴は動かない』の実写ドラマ版。『ジョジョ』は「スタンド」という特殊能力や吸血鬼が登場する極めてフィクション度の高い作品です。

 世界観を共有する『岸辺露伴は動かない』も奇奇怪怪な出来事が起きる世界観、ビジュアルですが、実写ドラマでは雰囲気を残しつつもビジュアルや設定をおとなしめに改変しています。キャラのビジュアルは奇抜ではありますが、原作の目がチカチカするような派手な配色は抑えられ、ヘアスプレーが何本も必要になりそうな髪型も控えめな作りになっています。また、脚本をアニメ版『ジョジョ』のシリーズ構成の小林靖子さんが担当しており、かなり大胆に改変を施しています。

『ジョジョ』3部以降の共通設定であるスタンドは登場せず、主人公・岸辺露伴の能力(「ヘブンズ・ドアー」)は「不思議な力」と説明されています。原作を知らない方も楽しめるように成立させるための良い改変と言えるでしょう。

 また、原作では「富豪村」のエピソードでしか登場しない編集者の泉京香がレギュラーに昇格し、露伴先生の助手的なポジションに収まっているのもポイント。原作の不思議な世界観に、探偵役の露伴先生と助手の京香が介入するホラーミステリーのような独特の世界観に着地しています。

 さらに原作の『岸辺露伴は動かない』はエピソードごとのつながりがないオムニバスですが、ドラマ第2シリーズでは3つのエピソードがすべて「六壁坂」に繋がる構成になっておりひとつのシリーズとして統一感も出せています。なお、第2シリーズの第2話は『岸辺露伴は動かない』ではなく、『ジョジョ』4部本編の「チープ・トリック戦」が原作になっていますが、こちらも大幅な改変で他のエピソードとの統一感を乱していません。

●『今際の国のアリス』

 近年は原作に専念することが多い麻生羽呂先生の『今際の国のアリス』の実写作品で、Netflix独占配信のドラマです。本作は「今際の国」に強制的に転送された主人公たちが生き残りをかけてさまざまな「げぇむ」に挑むのが基本展開ですが、なんと第1話の「げぇむ」は完全にドラマオリジナルの内容でした。内容はオリジナルでも、原作の持つ「げぇむ」の絶望感やスピード感、頭脳を使う要素は損なっておらず、原作の良さをしっかりと残しています。

 また、少年マンガゆえに主人公やその他登場人物は高校生が多めでしたが、ドラマは全体的に年齢が上げられ、人物のバックグラウンドも膨らまされています。なんとなくドライな印象だった原作にくらべ、キャラクター設定が厚みを増したことで「げぇむ」で退場(死亡)した時の絶望感がより強くなっていました。

 視覚的に最高だったのが、原作には登場しない無人の渋谷スクランブル交差点やその他の渋谷の風景(大規模セットによる撮影)です。現実そのままの渋谷が無人で映し出される異様さは、実写ならではの見どころと言えるでしょう。2022年12月にNetflixで第2シーズンが配信予定です。

■改変というよりほぼオリジナルな作品も…

テンポの良い映像に仕上がったドラマ『ミステリと言う勿れ』メインビジュアル (C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン

●『ミステリと言う勿れ』

 田村由美先生によるミステリーの実写ドラマ版である本作は、原作再現にこだわりすぎない映像表現が素晴らしいです。マンガのコマ割りは、映像の絵コンテに通じるものがあります。例えばアニメ版『蟲師』は原作に忠実な代表例で、コマ割りまで含めてかなり忠実に原作を再現しています。

 ただし、マンガのコマは1コマに数秒かそれ以上の時間が圧縮されているので、そのまま映像で再現すると動きのない間延びした映像になってしまいます。映像のセオリーはカットを割るか画面を動かしてリズムを作ることですが、『蟲師』は原作のコマを意識しつつも画面に動きをつける(画面自体を動かす、または画面内の被写体を動かす)ことで間延びすることを防いでいました。

 一方、『ミステリと言う勿れ』はカット割りを多くして、実写ならではのアプローチを見せました。映画の総カット数は平均700~1000程度ですが、『ミステリと言う勿れ』は約50分の放送時間で一話平均1000カット近くあります。原作のコマ数が特に多いわけではないのですが、会話が非常に多い内容を考慮して、インサートとカットバックを多用する手法を選択したのでしょう。そのため、会話劇の場面も非常にテンポよく仕上がっています。

 また、内容の改変で話題によく挙がっているのが、伊藤沙莉さんが演じた風呂光(ふろみつ)刑事の扱いです。彼女は原作では警察関係者のひとり程度の扱いでしたが、テレビドラマではヒロインのポジションに昇格しており、主人公の久能整(くのう・ととのう)にほのかな恋心を抱いているような描写がされています。

『ミステリと言う勿れ』は少女漫画でありながら恋愛要素がほぼ皆無の珍しい作風で、ドラマで恋愛要素が足されたことについては、視聴者の一部で議論も起こったようです。プライムタイムのテレビドラマはF1層(20歳~34歳の女性)が主なターゲットになっているとされ、マーケティング的なことを考えると恋愛要素を足すのは判断としては妥当と見ることもできます。ただ、一部に批判的な意見もあったことから、この点については評価が難しいところです。

●『孤独のグルメ』

 マンガの『孤独のグルメ』は2巻しかなく、主人公の井之頭五郎がひとりで黙々と食事するだけの話です。テレビドラマではその基本設定だけを残し、話は完全にオリジナルにする大胆な改変をしています。原作に登場した店は使わない取り決めをするという徹底ぶりです。ただし、雰囲気は原作そのままなので、忠実とも言えます。

 このほとんど何も起きないゆるい作風が深夜帯のドラマにぴったりハマったのか、10年以上断続的に続く長寿シリーズになりました。放送時間帯を深夜にしたのもマーケティング的には大成功で、小腹が空いてくる深夜に五郎が黙々とご飯を食べている姿は「夜食テロ」として話題になりました。強面のイメージが強い松重豊さんを起用したキャスティングも意外性があって面白いです (原作通り、下戸なのがなんだかかわいい)。

(ニコ・トスカーニ)

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