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「セーブ方法とデータ消失」との戦いの歴史―『ドラクエ』パスワード、メモリーカード…

マグミクス / 2022年5月17日 6時10分

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■ファミコン時代に激変、セーブデータの保存手段

 ゲームを継続して楽しむには、「セーブデータ」の存在が欠かせません。ファミリーコンピュータの時代から現在に至るまで、その重要性に変わりはありませんが、データを保存する手段は時代によってその姿を変えています。

 いつの時代も、多くのプレイヤーが「セーブデータの消失」を恐れていました。データの消失はプレイ時間の喪失でもあり、取り返しのつかない悲劇です。今回は、セーブデータの歴史を振り返りつつ、当時起きた悲劇の形を見つめ直します。

●セーブ自体がなかったファミコン時代

 ゲームの進行を保存する「セーブ」は、家庭用ゲーム機の登場以前からありましたが、広く知られるようになったのは、ファミコンの一大ブームに負うところが大きいでしょう。

 そもそも、ファミコンの最初期は、「ゲーム進行をセーブする」方法そのものがありませんでした。長時間かけてクリアを目指す作品が最初期のファミコンソフトにはなく、プレイ進行をセーブする必要がなかったためです。

 そんな凪のような時代から始まった後、ファミコンにまず登場したセーブ方法は「パスワード」でした。ゲーム進行がパスワード化され、その文字をリアルに書き残し、次回プレイする際に入力する、というもの。『ドラゴンクエスト』の「ふっかつのじゅもん」が特に有名です。

 アナログ全開な手段ですが、見方によっては原始的な外部記録装置と言えます。ですが、「パスワードを写し間違える」という致命的な事故も起きる、危険な記録方法でもありました。もちろんミスする側が悪いのですが、当時の画面は表示された文字が判別しづらかったので、一概にプレイヤーを責められません。

 このアナログ期を脱した次の一手は、ファミリーコンピュータ ディスクシステムの登場によって実現した、「ディスクカード」(磁気ディスク)への書き込みです。ディスクカードには、ゲームデータ自体とセーブデータを書き込むことができ、ボタン操作だけでゲーム進行を保存可能になりました。

 しかし、磁気ディスクは磁気を発するものからの影響を受けやすく、取り扱い方法の周知も徹底されていなかったため、物理的な要因でデータが壊れるケースが発生。また、しばらく後に「バッテリーバックアップ」を搭載したゲームカセットが現れたため、セーブ面におけるディスクカードの優位性は長く続きませんでした。

 カセットに搭載された「バッテリーバックアップ」は、電池を用いてセーブデータを保存する手段です。利便性が高く、ファミコンだけでなくスーパーファミコン時代にも活躍。NINTENDO64になるとフラッシュメモリなどの選択肢も加わりましたが、バッテリーバックアップを採用したソフトもまだありました。

 長年愛されたバッテリーバックアップですが、安全性についてはまだ万全とは言えません。ゲームソフトの抜き差しなどによる衝撃や誤作動が原因で、セーブデータが消える悲劇がありました。『ドラゴンクエストIII』から始まったシリーズおなじみのデータ破損時メッセージ「おきのどくですがぼうけんのしょはきえてしまいました」は、時代を越えてもなお記憶に残る一文です。

■セーブ方法とデータ消失の危険は、時代とともに新たなステージへ

「ふっかつのじゅもん」を教えるのは、王様の役目だった。画像は、ファミコン版『ドラゴンクエスト』

 バッテリーバックアップは、任天堂系列のゲーム機だけでなくメガドライブなどにも採用されましたが、PCエンジンの場合は少々事情が異なり、「天の声2」と呼ばれる外部記憶装置が登場しました。

「天の声2」に対応するゲームのセーブが簡単にできたため、こちらも便利な存在です。しかし、容量が少ないのでやりくりに苦労する一面や、単三電池でデータを維持するため、電池が切れるとデータが消えるといった弱点も。電池自体は入れ替えられますが、データを守るためには、「PCエンジンと接続&通電」という状態で交換しなければなりません。

 その後、PCエンジン向けの外部記憶装置は発展を遂げていきますが、ゲームソフトの媒体に初めて光学ディスクを採用した周辺機器「CD-ROM2」では、いよいよゲーム機本体にセーブデータを保存する形へと進化。現代でもお馴染みのスタイルは、当時からありました。

 容量の問題も、外部記憶装置「天の声BANK」と連携することで、自由度がアップ。ただし、「天の声BANK」はリチウム電池式なうえ、ユーザー個人では電池の入れ替えができず、電池の寿命が尽きたらセーブデータも道連れで消失。非常に厳しい現実も待ち受けています。

 リチウム電池がそれなりに長持ちしたため、現役でプレイしている最中にこの問題に直面した方はそう多くありませんが、当時を懐かしんで機器を立ち上げても、あの頃のデータとの再会は難しいかもしれません。

 こうして本体に保存する流れも生まれ、セガサターンは本体保存と外部記憶装置「パワーメモリー」の二本柱で展開。しかし、当時一世を風靡した初代PlayStationは、「メモリーカード」と呼ばれる外部記憶装置のみでした。

 この頃になると、データ破損によるセーブの消失はずいぶん減ったものの、扱うデータ量が多くなったため、容量のやりくりはむしろ厳しさを増しました。ヘビーユーザーになるほどその傾向は顕著になり、ゲームソフトが増えるに従い、メモリーカードを買い足す方が続出。新たな出費先が増え、ユーザーの懐を直撃します。

 そうした容量不足のニーズに応え、大容量のメモリーカードが市場に登場し、一時期注目を集めました。しかし純正品ではないため、一部の商品が不具合を起こすケースも。筆者も一度購入しましたが、ほどなく認識自体がされなくなり、少なくないデータが事実上お亡くなりになりました。

 外部記憶装置によるセーブ形式は、PlayStation 2やドリームキャストの時代にも活躍しましたが、PlayStation 3やWiiの時代に移ると、本体への保存が基本となりました。また、セーブデータの取り扱いに拡張性が加わり、その利便性は現代のものとほぼ同じ形になっていきます。

 ここまで来ると、セーブデータを失う危険はかなり減りますが、未だにゼロとまではいきません。今はオンライン上にバックアップを残すことも可能なので、万全の体制を築き、悲劇に遭わないようにしたいものです。

(臥待)

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