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ジャンプ主人公とは思えないほど凶悪! 『封神演義』太公望の卑怯エピソード4選

マグミクス / 2022年5月17日 11時50分

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■良く言えば頭脳派だが……太公望の卑怯な手口

 中国の明の時代に書かれた神怪小説をもとに、1996年から2000年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された、藤崎竜先生のバトルアクションファンタジーマンガ『封神演義(ほうしんえんぎ)』。主人公の道士・太公望(たいこうぼう)は崑崙(こんろん)一の頭脳を持つ策士なのですが、その知略から手にした勝利のなかには、卑怯ともいえる手口のものもありました。今回は、主人公らしからぬ(?)太公望の卑怯な勝ち方のエピソードを振り返ります。

●宿敵・妲己に近づくため、妹・王貴人を「いわし占い」で撃破

 宿敵・妲己(だっき)が巣食う殷(いん)の王宮へと潜入する手段を探していた太公望の前に現れたのは、彼女の妹・王貴人(おうきじん)です。琵琶の妖怪である王貴人と対峙して力の差を感じた太公望は、最後に占いをさせてほしいと言って彼女を油断させ、打神鞭(だしんべん)で火を起こし、さらに油断をしたところで一撃を繰り出して撃破します。そして、琵琶の姿となった王貴人を手に入れた太公望は、宮廷音楽家として王宮への侵入を成功させるのでした。

 大事な妹を琵琶にし、「この琵琶は叩けば不思議な声を上げる」などと言って紂王(ちゅうおう)の興味を引いて近づいてきた太公望に。結果、妲己はそれを見て怒り、さらなる頭脳戦をけしかけ、最終的に恐ろしい事態になってしまうのですが……。道の力を占いとして使い、油断をさせて相手を撃破する当たり、なかなかの卑怯者です。

●難民を逃がすため、わざと嫌われ役になる?

 天才道士・楊ぜん(ようぜん)は、太公望がどれほどの人物なのかを確かめるため、関所を開けて「殷の難民を逃がしてあげてください」とテストを出します。すると、お前はそんなに偉いのかと激怒した太公望は、関所と話をつけてやると大手を振っておいてあっさりと捕まるという醜態をみせるのです。

 難民から石を投げられる太公望を見て、自分が従えるに値しない男だと思った楊ぜんは変化の術で黄飛虎(こうひこ)に化け、妲己から門を開けるよう命じられたと嘘をつきます。これで無事関所が解放され難民を逃がすことができるかと思いきや……太公望はその黄飛虎は偽物だと大騒ぎし、さらなる醜態を見せました。

 実は、太公望は楊ぜんを使ってこのミッションをクリアしようと知恵をめぐらせ、わざと捕まったのです。これに気づけなかった楊ぜんは太公望を認め、彼に力を貸そうと決めるのでした。トータルで見ると、太公望が自分が敢えて悪者になったかっこいいエピソードではあるのですが、グルグル巻きにされて横たわり、横で相棒の霊獣・四不象(すーぷーしゃん)が泣いている絵面はみっともなさすぎます。

■トランプでも相手をだます太公望

妲己ら悪役サイドが描かれた『封神演義』アニメビジュアル (C)安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会

●似非マジシャン太公望。風でカードを巻き上げ、神経衰弱で勝ちたい

 太公望は金鰲(きんごう)列島からの攻撃を阻止するため、列島から帰ってこない楊ぜんを迎えに、四不象、鄧蝉玉(とうせんぎょく)、楊ぜんの師匠である玉鼎真人(ぎょくていしんじん)と共に潜入します。そこで彼らは化血陣(かけつじん)を操る孫天君(そんてんくん)と対峙するのですが、負ければ玩具にされ、逆らえばその体を爆破されてしまうという状況に陥りました。

 そして四不象、鄧蝉玉がおもちゃの姿にされるなか、太公望は神経衰弱を挑みます。似非マジシャンの姿に扮した太公望は風でトランプを巻き上げ、すべての位置を把握してどんどんトランプをめくっていくという卑怯な手口で勝ちを得ようと考えていたのです。しかし、化血陣のなかでは孫天君がルールです。カードをすり替えられて、太公望は逆転負けしてしまいました。

 しかし、神経衰弱で孫天君を倒そうという算段はフェイクでした。風でトランプを巻き上げ、天井に張りめぐらされている人形のなかから孫天君の本体を探し出すことが目的だったのです。結果、トランプによって傷つき、血を流す人形を発見した玉鼎真人がその人形を一刀両断し、見事ピンチを打開しました。

 優れた動体視力と暗記力があるからこそできるイカサマではあるものの、百発百中で調子に乗り、楽しすぎて背景に花が咲き、泣き笑いする太公望の姿は、本当に主人公かと思ってしまいます。しかし、ここまで異常なテンションを演じたからこそ、孫天君の本体を探す狙いがごまかせたのでしょう。相手は愚か、読者も騙してくれる主人公です。

●相棒を盾にして妲己の妹・喜媚を脅迫

 妲己のもうひとりの妹・胡喜媚(こきび)と対峙することになった太公望は、如意羽衣(にょいはごろも)を使った彼女の変化の術に悪戦苦闘します。喜媚が太公望に勝利したら、四不象との結婚を許すという約束の戦いということもあり、彼女は全力で攻撃を繰り出してきました。そして、勝ち目がないと悟った太公望は、四不象との別れの挨拶をさせてくれと言って自身の霊獣に近づいたと思いきや……。なんと四不象を人質に喜媚を脅迫し始めます。四不象の命が欲しければ如意羽衣を渡せと脅迫する太公望の顔は、ジャンプ作品の主人公とは思えないほど凶悪なもので、敵味方関係なくブーイングの声が上がりました。

 そして、大好きな四不象の命の方が大事だと考えた喜媚は太公望の言う通りに差し出し、太公望に打神鞭で頭を思い切り叩かれてしまいます。「身代金を払ったのに」と大泣きする喜媚を尻目に「完全勝利」を宣言する太公望でしたが、妲己は余裕の笑みを見せるのでした。大の大人が女の子をいじめている光景から一変、喜媚は悲しみのあまり本来の姿である「雉鶏精(ちけいせい)」という雉の妖怪に戻ってしまい、彼女の羽に触れた太公望は肉体が退行していきます。幼児、乳児、ついには退治にまで戻った太公望は魂魄となって存在が消えてしまうのでした。

 負けを認めたと思いきや愛する仲間を人質に取るという行動は、妖怪よりもタチが悪いといえます。「殺さないと思ったら大間違いだぞ」と脅すその姿は、勝つためになりふり構わない性格が現れていてなかなかにヒドイです。しかも、羽衣を奪ったうえで頭から一撃まで食らわせ泣かせておきながら、結局敗北……もはや自業自得というしかありません。

『封神演義』全体を通して、太公望という男は進んで憎まれ役、汚れ役を担って勝利を手にしようとしてきました。目的のために頭脳をフルで駆使して戦い抜いた、珍しいタイプのジャンプ主人公です。

(弁天寿)

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