「ファミコンで!?」スペックの限界に挑んだソフト3選 価値が見出されて価格高騰も!
マグミクス / 2022年6月11日 6時10分
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■開発者の熱意が生んだ限界突破ファミコンソフト
1983年7月に誕生した家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)の市場では、傑作・凡作・駄作……などなど、実に1200本を超える専用ソフトが流通していました。そのなかにはハード性能を限界まで引き出し、ファミコンのソフトとは到底思えないようなクオリティを誇る名作もいくつか存在します。
今回はファミコン末期に発売されたソフトのうち、グラフィックや音源の質でファミコンの限界に挑んだ3作品をピックアップ。ゲーム内容や注目すべきポイントをご紹介します。
●『メタルスレイダーグローリー』(1991年)
最初に取り上げるのは、ハル研究所が1991年にリリースした『メタルスレイダーグローリー』(以下、メタスレ)。2062年の地球と宇宙を舞台にしたアドベンチャーゲームで、プレイヤーは主人公の青年「日向忠」(ひむかい・ただし)となり、軍事用ロボット「メタルスレイダー」に秘められた謎を解くべく奔走する……という内容です。
同作はファミコンソフトとしては破格の8メガビットROMを採用しているほか、演出周りの処理能力を引き上げるための特殊チップも搭載。ゲームシステム自体はオーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーに留まっているものの、同時代のファミコンソフトを頭ひとつ抜きん出た表現力を実現しています。
自然な動きで瞬きをするのはもちろん、会話中の何気ない視線の動きまで細かく描き込まれているのが特徴。アップ時だけでなく、やや離れた場所から会話に参加しているキャラクターの身振りや表情も欠かさずに描かれています。
『メタスレ』の本体パッケージに「これほどまでに視覚に訴えるゲームがあっただろうか」と記載があることからも、とりわけビジュアル周りに力を入れて作られたことがうかがえる一作です。
●『サマーカーニバル’92 烈火』(1992年)
ファミコンでは数々のシューティングゲームが発売されましたが、なかでも『サマーカーニバル’92 烈火』(以下、サマカ’92 烈火)は徹底した高難易度、そして大量の敵機を撃ち落とす爽快感が印象深いファミコン後期の名作と言えるでしょう。とにかくゲーム序盤から敵機が押し寄せるため、気を抜くとあっという間に集中砲火を浴びせられ、なす術もなく撃墜されてしまいます。
ステージ数と並んでボスのバリエーションも豊富、かつ難易度が高いこともあってやりごたえは十分。遊びやすい or 万人ウケするとは必ずしも言えないものの、発売から時間が経って価値が見直されたのか、2022年現在も中古市場で一定の存在感を発揮。数万円レベルのプレミア価格で取引されています。
そんな『サマカ’92 烈火』のポイントは画面演出の密度。上述の敵機襲来をはじめ、ファミコンで実装するのは難しい二重ラスタースクロール、発動するたびに画面書き換えが仰々しいボムなど、ファミコンのシューティングゲームにおいて類を見ない「騒がしさ」が特徴的。プレイ時にひっきりなしに発生する画面のチラつきも含めて画期的なでき栄えだったと言っても過言ではありません。
なお、『サマカ’92 烈火』の開発を務めた矢川忍氏はその後、プレイヤーの腕前に応じて難易度が変動するシューティングゲーム『バトルガレッガ』などのシューティングゲームを制作しました。
●『SILVER SURFER』(1990年)
最後にご紹介する『SILVER SURFER』は「Nintendo Entertainment System」という海外版ファミコン専用ソフトのため、国内でのプレイ経験者はそれほど多くないかもしれません。同作のメインモチーフはマーベルコミックシリーズの一作「シルバー・サーファー」。プレイヤーは全身が銀色の物質に覆われたスーパーヒーローを操り、各ステージ最深部に潜むボスの討伐を目指すことになります。
ゲームシステムのできは残念ながら良作とは言えなかったものの、グラフィック周りの描き込み具合もなかなかの仕上がり。加えて、ゲーム音楽作曲家(現メディアクリエイター)のティム・フォリン氏が手掛けたBGMのクオリティが圧倒的でした。
当時は特殊チップ(拡張音源)を積むことで音色に厚みを持たせたファミコンソフトが多く見られましたが(例:『悪魔城伝説』など)、『SILVER SURFER』はそうした特殊チップを積まず、ファミコンに元から内蔵済みの和音のみで構成されています。また、ティム氏は『ソルスティス 三次元迷宮の狂獣』などのファミコンソフト、および別ハードのゲーム作品でも驚くべき手腕を発揮しており、いずれも音源のクオリティ面で高評価を受けました。
(龍田優貴)
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