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『シン・ウルトラマン』を読み解く重要キーワード 旧作が未見でも楽しめる?【ネタバレなし】

マグミクス / 2022年5月23日 12時10分

『シン・ウルトラマン』を読み解く重要キーワード 旧作が未見でも楽しめる?【ネタバレなし】

■ウルトラマンにカラータイマーがないワケ

 2022年5月13日から公開が始まった空想特撮映画『シン・ウルトラマン』。2016年7月29日に公開されたヒット作『シン・ゴジラ』に続き、庵野秀明さんと樋口真嗣さんたちが手がけた作品ということで話題になっています。そこで今回はネタバレを避けつつ、『ウルトラマン』を見たことがない人でも『シン・ウルトラマン』をより楽しめるようなキーワードと注目ポイントについて紹介します。

 本作『シン・ウルトラマン』は、すでに公開されている『シン・ゴジラ』や来年公開予定の『シン・仮面ライダー』などと同時に企画が進行していた作品でした。本来なら2021年初夏公開予定と発表されていましたが、COVID-19の影響で製作スケジュールに遅れが出たことから、本年2022年の公開となったわけです。

 本作は「1966年に放送された初代『ウルトラマン』を現代に舞台を置き換えたリブート映画化するもの」という発表がありました。しかし、独自に加えられた新たな解釈も多々見られます。なかでも衝撃だったのが、ウルトラマンのデザインが変わったこと。そう、本作のウルトラマンには、過去のウルトラマンでシンボルとされていた「カラータイマー」がありません。

 もちろん、これには大きな理由がありました。それは本作のウルトラマンが、そのデザインを担当した成田亨さんが1983年に描いた「真実と正義と美の化身」をもとにしたものだからです。この時に描かれたウルトラマンにはカラータイマーがありませんでした。……というよりも、成田さんがデザインしたウルトラマンにはカラータイマーがついていなかったのです。

 ウルトラマンのカラータイマーは撮影現場の判断で、子供にもわかりやすい弱点を取りつけようと考案されたものでした。結果、この判断がウルトラマンの戦いを盛り上げる一因となります。しかし、デザイナーとしての成田さんは納得できず、あえてカラータイマーのないウルトラマンも描き続けました。

 こういった経緯から、本作のウルトラマンにカラータイマーがないのはデザインをした成田さんへのリスペクトというわけです。ちなみに他にも「目に覗き穴がない」「背中のファスナーを隠す背びれがない」「グローブやブーツの継ぎ目もない」「当時は塗料の関係でメタリック調にできなかった銀色の改善」……と、成田さんが当初デザインしたものに、できるだけ忠実なウルトラマンになりました。

 そして、体形はウルトラマンのスーツアクターを担当した古谷敏さんのスタイルを再現しています。この古谷さんの体形には『ウルトラQ』でケムール人を演じたのを見た際に成田さんもほれ込んでおり、ウルトラマンは断ろうとしたところをけん命に口説き落とした……という逸話があるくらいです。

 このような経緯で誕生した本作のウルトラマン。企画、脚本を手掛けた庵野秀明さんによると、このウルトラマンのデザインが本作誕生のきっかけとも取れることから、劇場でもっとも注目したいポイントといってもよいでしょう。

■「禍威獣」と「禍特対」、そしてファンが考察するポイントは

映画『シン・ウルトラマン』に登場するネロンガを再現した、「ムービーモンスターシリーズ ムービーモンスターシリーズ ネロンガ」(バンダイ)

 ウルトラマンのデザインは原典に立ち戻ったわけですが、他の部分はどうでしょうか? そこは庵野さんらしく、リスペクトする部分は徹底的に再現するのとは真逆に、改変する部分は徹底的に手を加えているようです。

 すでに予告編でも明らかですが、同作では聞いたことがある言葉なのに漢字の違う単語がありました。それが「禍威獣」と「禍特対」です。

「禍威獣」とは「かいじゅう」。そのままズバリ怪獣のこと。本作の世界観では日本だけに現れる巨大不明生物で、政府が公募によって名づけたと設定されています。上映前から予告編で、かつての「透明怪獣ネロンガ」と「ウラン怪獣ガボラ」が新しい姿で登場、商品も販売されていました。

 もうひとつの「禍特対」は「かとくたい」。防災庁の専従組織である「禍威獣特設対策室専従班」の略称です。これはその名の通り『ウルトラマン』における科学特捜隊、通称「科特隊」にあたる組織でした。流星をモチーフにしたバッジはデザインこそ変わりましたが、かつての科特隊をイメージしたものです。原典と同じくメンバーは5人でした。

 この他、本作での宇宙人は「外星人」と呼称されています。予告編では「外星人ザラブ」が姿を見せていますが、『ウルトラマン』に登場したザラブ星人のことをおぼえているなら「アレ」を想像する人も多いことでしょう。

 また人間体として登場し、「外星人第0号メフィラス」と名刺に書かれていたキャラにも注目が集まっていました。『ウルトラマン』に登場したメフィラス星人の登場も、同作の注目ポイントです。

『ウルトラマン』を一般映画にするというコンセプトを持った本作は、これまで真面目に『ウルトラマン』を観ていなかった人ほど楽しめるかもしれません。アニメ特撮研究家の氷川竜介さんもTwitterで、リセットして「記憶喪失モード推奨」。……とコメントしています。その言葉の意味は映画を観ることで理解できるかもしれません。

 もちろん『ウルトラマン』を大好きな人にも楽しめる作品です。ファンならば映像に隠された小ネタにどれだけ気づけるか?……そういった楽しみ方も存分にできることでしょう。

 公開から8日間で観客動員100万人、興行収入15億円の大ヒットとなり、ますます注目度が高まっている『シン・ウルトラマン』。満を持して、これから劇場に足を運ぶ方は、今回紹介したキーワードやポイントに注目して、存分に作品を楽しんでもらいたいです。

(加々美利治)

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