1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

『うる星やつら』しのぶ、初の主役エピソードからも見える、少し不幸なキャラ人生

マグミクス / 2022年5月24日 18時10分

『うる星やつら』しのぶ、初の主役エピソードからも見える、少し不幸なキャラ人生

■美少女、優しい、男運なし、怪力……それが三宅しのぶ

 2022年、リメイクアニメ『うる星やつら』(原作・高橋留美子)が36年ぶりに完全新作で復活、フジテレビ「ノイタミナ枠」などで放送されます。そして先日、三宅しのぶ役に内田真礼さんが決定したことが発表され、ファンは沸きました。

『うる星やつら』の女性キャラのなかでも、根強いファンが多い「しのぶ」。美少女というのもありますが、人気の理由のひとつは「不幸だから」かもしれません。彼女は旧アニメ(1981〜86年放送)第1回から登場、主人公・あたるの恋人で結婚まで決意したのに、ラムに略奪されます。色男の面堂終太郎とは恋人のようで違う微妙な関係、たびたび出逢いはあるものの憂き目に合う男運のなさ。「男なんて〜!」と叫んでは、怪力で物を投げ飛ばし周囲を圧倒するのがお約束でした。でも、クセが強いうる星キャラのなかで、普段は最もまともで優しいのも魅力です。島津冴子さんの声もマッチしていたと思います。

●なーんか中途半端だったオリジナル第2弾

 そんな「しのぶ」に、ついに主役回がめぐってきます。なんと数えて第94話目でした。新キャラ初登場話のようにフィーチャーし辛かったのかもしれませんが、ようやくファン待望の主役です。タイトルは「しのぶのシンデレラストーリー」。これを聞いて、「?」と思った人も多かったでしょう。実はこれ、第31話「あゝ個人教授」以来2作目となるアニメオリジナル回だったからです。つまり、誰も知らないエピソードなのです。とはいえタイトルから想像するに、しのぶのどんな素敵な恋物語なのか? とドキドキしたはず。ただ、内容は「サスペンスラブストーリー」でした。

 第94話「しのぶのシンデレラストーリー」を振り返ります。面堂家とゆかりのある小早川コンツェルンの会長が亡くなったニュースが駆けめぐったその夜、ひとりで留守番するしのぶのもとに、何者かに追われる不審な男が転がり込みます。男は小早川家の三男・真。養子である真は遺産相続争いに巻き込まれ、命を狙われていました。やがて、しのぶまで殺し屋の標的になったため、ふたりの逃走劇が始まります。幾度もの危ない場面を切り抜け、真の優しさに惹かれるしのぶ……。その後、殺人教唆の疑いで真の兄弟は逮捕され、会長の遺言状が公開となり、遺産は真のものに決定します。がしかし、そこへ「異議あり!」の声が。現れたのはきれいな化粧を施し、ドレスアップされたしのぶでした。しのぶは真の行動の不審点を挙げ、一連の騒動は自作自演であることを証言します。しのぶがほんのり抱いた恋心は、悲恋に終わるのでした……。

■しのぶが不遇だった理由は?

94話「しのぶのシンデレラストーリー」も収録されているTVシリーズ『うる星やつら』Blu-ray SET1(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

 アニメ『うる星やつら』は、第100話前後から巨匠・押井守監督のオリジナル色が強くなりますが、実はこれが最初の奇作だったかもしれません。ただ、特にしのぶファンからは「初の主役回にしてはちょっと可哀想」、といった違和感を唱える声がけっこうあったそうです。

 その理由について、あくまで個人的な考察です。まず、(予告映像はあったにせよ)内容がサスペンスなのに、「しのぶのシンデレラストーリー」というタイトルからはイメージしにくく視聴者が戸惑ったことが挙げられます。また、演出面では、たとえば謎解きにつながるポイントを印象的にするとか、アングルや音楽などを全体的に「いつもと違うタッチ」で見せてもよかったかもしれません。

 また、「しのぶの謎解き説明に矛盾点が多い」、「しのぶより真が目立ちすぎて腑に落ちない」という指摘も多かったそうです。物語のキレもしのぶのフィーチャーも弱い……となると、ちょっと中途半端だったかもしれません。制作の裏事情まではわかりませんが、もしかするとこの作品は今後のオリジナル作を見据えたお試しだったとも考えられます。そのお試しに、普段あまり目立たないしのぶを起用して作品の印象を中和した?……皆さんはどう思いますか。

 しかし、この「しのぶのシンデレラストーリー」があったからこそ、サスペンス「そして誰もいなくなったっちゃ!?」(第98話)、あたるの母の主役回「みじめ!愛とさすらいの母」(第101話)、謎の奇作「恐怖!とろろが攻めてくる!」(第107話)など、インパクトの高いオリジナル作が生まれたのではないかと思います。

●原作者も願っていた、しのぶの幸福

 どこか不幸な存在のしのぶですが、「キツネのかた想い恋すれどせつなく…」(第145話)からたびたび登場する、純情キツネとの切ない物語は、彼女の優しさが際立つハートフルなシリーズだったといえるでしょう。そして、男運がなかった彼女も、終盤の第331話「扉を開けて」から登場する「うさぎの因幡くん」と最終的に恋仲になり、幸せがやってきます。

 そもそも1978年、「少年サンデー」に短期連載された読み切りの原作では、しのぶがヒロインでした。しかし、ちょい役だったラムが異常な指示を得たため、編集部の意向で正式な連載からはラムがヒロインでしのぶは恋敵に退くことになります。さらに個性的なキャラを次々登場させたため、彼女は影が薄くなってしまったわけです。

 ただ、原作者の高橋留美子さんは、しのぶにはずっと申し訳ない気持ちがあったようで、Twitterでこんなことをつぶやいています。

「十回連載時、あたると結婚する未来を描いていたのですが、どう解決できるか、ずっと気になっていました。パラレルワールドとドアを思いつき、因幡も出すことができ、これでしのぶも幸せにできると思いました。うる星の連載が終了できたのは、しのぶの幸せが見えたから」。

 そんな原作者にも愛される優しい美少女・しのぶ。リメイク版でも、「男なんて〜!」の怪力っぷりと、美しく優しいしのぶのエピソードを見せてほしいものです。

(石原久稔)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください