勇気ありすぎ!まさか実写化されるとは思わなかった作品 未完でもチャンスはある?
マグミクス / 2022年5月27日 20時50分
■裸度90%?役を受けた俳優魂に拍手!
マンガ『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)の実写映画化が発表されましたが、監督もキャストも未発表のため、ネットでは予想合戦が盛り上がっています。「もし実写映画化するなら……」と思い描いていたキャストの希望が、果たして叶うか否か、みなさんドキドキハラハラしながら次報を待っていることでしょう。
好きなマンガの実写化は期待と不安がないまぜになるものですが、なかには「さすがにこれは実写化できないだろうな」と思ってしまうマンガも多数あります。さまざまな意味で。けれどもそんなファンの予想をあざ笑うかのように、「まさかの実写映画化」を果たした強気な作品もありました。この記事ではそんな、「まさか実写映画化されるとは思わなかった」マンガたちをご紹介します。
●露出度高すぎなのに、実写化実現!
作品の裸率が高いと、俳優に求められるハードルも高くなり、実写化は難しくなります。たとえば、あんど慶周先生の『究極!!変態仮面』。主人公の色丞狂介は、ドMの刑事である父とSM女王の母の間に生まれた高校生で、顔にパンティを被ることで、正義の味方「変態仮面」に変身します。しかも、網タイツでパンイチ。最終形態は、履いているパンツの両脇を伸ばして交差させ、肩にかけるという、前から見ても後ろから見ても想像を絶する姿です。繰り出す必殺技もまた、マンガだからいいものの……というものばかり。
こんな役を引き受ける人がいるのか……と思ったら、いたのです。狂介役を演じたのは、のちに大河ドラマの主演も努めた鈴木亮平さんでした。映画は2013年に『HK/変態仮面』のタイトルで公開。実は、原作の大ファンで映画化を切望し、脚本協力まで努めた小栗旬さんが「変態仮面を演じるなら他には考えられない」と推薦したそうです。その思いを受けた鈴木さんは、肉体改造までして役に臨んだとのこと。確かに、変態にしておくにはもったいないほどの、完璧に美しい肉体に仕上がっていました。
他に露出度が高いのに実写化を果たした作品といえば、漫☆画太郎先生の『珍遊記〜太郎とゆかいな仲間たち〜』も驚愕でした。そもそも画太郎先生の作品は、突然の全裸は当たり前、さらに放屁も脱糞も当たり前のお下劣ぶりで、実写化を考える人がいること自体不思議な作風です。しかし、まさかの実写化作品を数々手掛ける山口雄大監督が2003年に『地獄甲子園』を実写化し、翌年『漫☆画太郎SHOW ババアゾーン(他)』も映画化します。
その実績もあり、同じ山口監督の手で、映画『珍遊記』が松山ケンイチさん主演で2016年に公開されました。映画『デスノート』であのLを演じたのと同一人物とは思えない、坊主頭でパンイチのティザービジュアルに衝撃を受けた方も多かったことでしょう。もちろん全裸シーンも満載ですが、ご本人はインタビューで「自分に持っていないものをたくさん必要とされる、いいチャレンジになるな」と語っています。俳優・松山ケンイチをさらに成長させた作品だった……のでしょうか。
■お叱りもイメージダウンも覚悟の上!
埼玉ディスリマンガを大々的に実写映画化して話題になった『翔んで埼玉』ビジュアル (C)2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会
●設定ぶっとび過ぎなのに、実写化実現!
「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!!」「ああいやだ!埼玉なんて言ってるだけで、口が埼玉になるわ!」など、埼玉へのディスりが止まらない『翔んで埼玉』(著:魔夜峰央)は、1982〜83年に「別冊花とゆめ」誌に連載されたマンガです。連載は未完のまま終了し、30年以上も知る人ぞ知る存在でしたが、SNSで取り上げられたことなどから2015年に復刊され、話題となりました。
しかし「ここまで言っていいの!?」と心配になるほどの埼玉ディスりが許されるのはマンガのなかだけ……かと思っていたら、2019年に二階堂ふみさんとGACKTさんのダブル主演をはじめ豪華キャストで派手に実写映画化され、埼玉ディスを広く全国に行き渡らせることとなります。
埼玉県民のみなさんはさぞかしお怒りかと思いきや、「もっとディスっても大丈夫!」などの声も上がったのだとか。さらに当時の埼玉県知事・上田清司氏からも、「悪名は無名に勝る」とのコメントが出されるほど話題になりました。やはり、勇気を出して映画化してみるものですね。
また、空知英秋先生の大人気マンガ『銀魂』も、パラレルワールドの江戸時代が舞台というぶっとび設定。地球人と「天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が入り乱れる、下ネタ、パロディなんでもアリのギャグ感覚は、ほのかに漫☆画太郎先生の香りさえ漂っています。これだけでも実写映画化は難しそうな気がしましたが、最大の難関は、ヒロインで宇宙最強の戦闘種族である夜兎族の少女・神楽ちゃんです。
なにしろ神楽は変顔するわ、ゲロを吐くわ(「ゲロイン」とまで呼ばれていました)、鼻をほじるわと、およそヒロインにあるまじき行動のオンパレードなのですから。仮に実写映画化されてもひとりだけCGだったりして……なんて心配は、やっぱり杞憂でした。その美しさから「千年に一度の美少女」と呼ばれた橋本環奈さんが顔芸込みで見事に演じきって、まさかの実写映画化となりました。
●ビジュアルの壁を越えて、実写化実現!
ストーリーや世界観には特に問題もなくても、誰もが「日本人キャストでの実写化は不可能だろう」と思っていた作品が、ヤマザキマリ先生の『テルマエ・ロマエ』です。なにしろ、舞台の大半は古代ローマ時代で、主人公・ルシウスももちろん古代ローマ人なのですから。
ところがところが、ほぼ日本人キャストだけで完成してしまったのはご存じの通り。主役の阿部寛さんはじめ、北村一輝さん、市村正親さん、宍戸開さんなどなど、濃〜い顔の俳優さんたちを総動員して古代ローマパートを作ってしまったのです。最初からできなさそう……などと思った自分を恥じ入ります。ちなみに作者のヤマザキ先生は、原作ファンのイタリア人男性から「阿部寛、僕も適任だと思いますよ」と言われたそうです。
また、赤塚不二夫先生の名作『おそ松くん』は、誰が見ても実写映画化が最も難しいマンガのひとつでしょう。なにしろ主人公が六つ子なのですから。演技ができるどうこう以前に、六つ子を探し出すこと自体が相当困難でしょう。CGを使って、超絶名優にひとりで6役演じ分けてもらうとしてもかなり難しそうです。
ところが邦画界は、やってしまいました。2022年3月公開の映画『おそ松さん』です。原作はマンガ『おそ松くん』の六つ子たちが、大人になってからの物語を描いたTVアニメシリーズ『おそ松さん』。
主役の六つ子はなんと、アイドルグループ「Snow Man」のメンバーです。もちろん血のつながりはないので、顔はまったく似ていませんが、ここまで堂々とやられると、もしかしてそっくり?とまで思えてきてしまいます。劇中では「こんなに見た目は違っても実写化だから全員顔は同じ設定」とのセリフまで飛び出し、さらに「物語終わらせ師」として、六つ子役以外の「Snow Man」メンバー3人が登場する自由さまで見せました。このナンセンス感はまさに「赤塚イズム」そのもの、きっと赤塚先生も天国で大笑いされていることでしょう。
(古屋啓子)
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