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女の子向けアニメ『魔法の妖精ペルシャ』 男の子もTVの前に座っていた理由とは?

マグミクス / 2022年5月31日 6時10分

女の子向けアニメ『魔法の妖精ペルシャ』 男の子もTVの前に座っていた理由とは?

■男の子にも受け入れられていた『ペルシャ』

 1985年5月31日は、スタジオぴえろによるTVアニメ『魔法の妖精ペルシャ』の最終回が放送された日です。アフリカ育ちの少女・ペルシャが妖精の国・ラブリードリームを救うために愛のエネルギーを集めるために活躍します。当初、無邪気だったペルシャが現実の重みを知り精神的な成長を遂げていくストーリーは、思春期を迎えた少年少女たちに大きな学びを与えてくれました。

『魔法の妖精ペルシャ』が放送されていた当時、筆者はまだ小学生でした。同時期には『キャプテン翼』も放送されて大きなムーブメントを起こしており、筆者も近所の公園で夢中になってサッカーボールを追いかけていた記憶がありますが、なぜか『ペルシャ』の時間になると筆者も友人たちも遊びを切り上げて家に帰り、TVの前に座っていました。

 本来、女の子向けである『ペルシャ』を見ることは、当時の男の子にとっては少し恥ずかしい話だったはずです。しかしなぜか『ペルシャ』は少なくとも筆者の周囲では男の子にも受け入れられていたように思えます。

 それはなぜなのか。そもそも『ペルシャ』はアフリカ育ちで天真らんまんな主人公・速水ペルシャが、魔法の力でさまざまな職業のプロフェッショナルに変身して問題を解決していく物語です。当時、思春期を迎えていた少年たちにとって、同年代の少女であるペルシャが大人になり、さまざまなトラブルを解決していく姿に、自分が大人になった日の姿を重ね合わせていたということもあるかもしれません。

 当然、それだけではありません。序盤の『ペルシャ』は従来の魔法少女アニメのように1話完結の「魔法で解決していく物語」が展開していきます。しかし中盤以降は徐々にペルシャや周囲の人びとの心の動きが描かれていくようになっていき、時として魔法では解決できない現実もあることを思い知らされます。

 終盤ではペルシャ自身も望まぬ別れを強いられてしまいます。魔法の力に頼ることなく人とのつながりで苦しい状況を乗り越えていく姿は、1年かけて人がどのように成長をしていくのかをアニメを通じて見せてくれていたのかもしれないとも思えるのです。

■1回分だけ残された魔法

 さてここで、『ペルシャ』の最終話である48話「ペルシャが好き!」の展開を振り返ってみます。なお最終話のタイトルは原案であるマンガ『ペルシャがすき!』(著:青沼貴子)から取られていると考えて良いでしょう。

 凍り付いた妖精の国、ラブリードリームを救うために魔法の力を授けられたペルシャでしたが、本来この力は妖精のプリンセスフェアリに与えられるはずのものでした。しかしプリンセスフェアリは人間界で若手作曲家の沢木研二と出会い、恋に落ちてしまいます。愛し合うふたりでしたがプリンセスフェアリは妖精と人間の壁を超えられないことに苦しみ、眠りについてしまったのです。47話で沢木と再会し、復活したプリンセスフェアリでしたが人間と妖精では住む世界が違うという理由で、沢木に別れを告げてしまいました。

 プリンセスフェアリが復活した以上、ラブリードリーム側にはペルシャに魔法の力を与えておく理由はありません。お目付け役として派遣されていたカッパのゲラゲラ・プリプリ・メソメソ、そして途中参加のふわふわしたラブリードリームの住人であるボンボンにも撤収命令が下されており、別れの時は刻々と迫っていました。

 そしてペルシャには、もうひとつ大きな別れが待っていました。ペルシャと晴れて両想いとなっていた幼なじみの室井学が、弟の力と共にアフリカへと旅立つことになっていたのです。ペルシャは内心の寂しさを押し隠し、送別会、そして空港での見送りを乗り切ります。現代のように誰もがスマホを持ち、SNSでつながれる時代であれば簡単に連絡を取り合えますが、当時、そんな便利なものは存在していません。遠く離れてしまえば、つながり合うのは容易なことではないのです。

 帰宅したペルシャを待ち受けていたのは、さらなる別れでした。1年間を共にしたカッパたちは、「GOOD BYE」の文字を残し、姿を消していたのです。ついに耐えきれず号泣するペルシャ。しかし彼らの計らいで、ペルシャには1回分の魔法の力が残されていました。

ラスト、ペルシャは学の弟・力の彼女となった御友小夜と共に海へと向かいます。夕焼けの海を眺めながら、 ふたりはアフリカへ行こうと約束し、『ペルシャ』は終わりを迎えます。最後の魔法の使い道を明かすことはなく。

 魔法の力があろうとも、大切な人との別れを避けることはできません。その代わり、ペルシャはいつか自分がアフリカに行く夢を持ちました。特別な力に頼るのではなく、自分の足で未来へと歩いていくことが必要だ。それを『ペルシャ』は教えてくれたのかもしれません。

(早川清一朗)

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