つい応援したくなるマンガの悪役4選 ピンチにハラハラ 成長も主人公並みに熱い
マグミクス / 2022年5月31日 18時40分
![つい応援したくなるマンガの悪役4選 ピンチにハラハラ 成長も主人公並みに熱い](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_92948_0-small.jpg)
■もはや主人公?ガロウの成長から目が離せない
SNSなどを見ると、「小さいころに『アンパンマン』を見ている時、ばいきんまんを応援していた」という人たちが一定数います。毎回アンパンマンに戦いを挑むも絶対に勝てないばいきんまんに対し、ついつい応援してしまう心理が生まれるようです。ほかにも『ポケットモンスター』でロケット団側を応援したり、『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』の犯人を庇いたくなったり、スポーツマンガのライバル校側を応援したりと、誰もが一度くらいは「悪役・敵役」側をひいき目で見たことはあるのではないでしょうか。
今回はよく話題になる、人気マンガの「ついつい応援してしまう悪役たち」を振り返ります。
●『ワンパンマン』のガロウ
幼少時、まさに冒頭で述べた「悪役を応援する」子供だったのが、『ワンパンマン』に登場した「ヒーロー狩り」の悪役・ガロウです。かつて流水岩砕拳の達人・シルバーファングの弟子だった天才で、S級含む数々のヒーローや怪人協会の敵と戦うなかで急速すぎる成長を見せています。
小さい頃からヒーローの主張する正義に疑問を抱き、ヒーローごっこで無理やり怪人役をやらされ、いじめられるなどの「理不尽」を味わった彼は、成長してから自己満足で正義を振りかざすヒーローたちを血祭りにあげるようになりました。
「世の中に必要なのは不平等な正義ではない。平等な絶対悪だ!」
という信念の通り、誰もが恐れる「絶対悪」となって、人類の間での争いや理不尽をなくそうという風に、偏りまくりながらも世界全体のことを考えているガロウ。主人公のサイタマがあっという間に敵を倒すこともあり、ほとんど裏主人公のようなガロウの戦いを応援してしまう人が多いようです。
サイタマとの直接対決となっても「ガロウの目指す世界を見てみたい」「これぞダークヒーローって感じでめっちゃ応援したくなる」「ガロウとサイタマどっちも応援しちゃう」と支持を集めています。怪人となりながらもヒーローを誰も殺しておらず、いじめられっ子のタレオを守って戦うなど、安心して推せる悪役です。
●『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の吉良吉影
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場し、杜王町でひっそりと暮らしながら、数えきれない人数の手のきれいな女性を殺していた吉良吉影。今回紹介するキャラのなかでは、一番シンプルに極悪人で危険な男です。しかし、読者からの人気は絶大で、荒木飛呂彦先生本人が選ぶ好きなキャラランキングでも、東方仗助に次いで2位につけています。
SNSなどを見ると、吉良のしたことが許されないのは当然理解しつつ、それでも彼を「応援」してしまう人が一定数いるのは興味深い点です。平穏な「植物の心のような人生」を望んでいる点は共感しやすいですし、そんな生活を望んでいる割にはたまにおっちょこちょいでピンチに陥るところや、静かに暮らすために涙ぐましい努力をしているのも応援したくなるポイントと言えるでしょう。
重ちーが間違えて女性の手首が入った袋を持って行ってしまい取り返そうと奮闘したり、逃げ切るために自分の手を切り落として涙を流したり、成り済ました川尻浩作の筆跡を必死に練習したり、「猫草」から妻・しのぶを守ろうとしたりと名場面も多々あります。
また、逃げ切りたい一心でついにスタンド「キラー・クイーン」が進化を遂げて「バイツァ・ダスト」を身につけるなど成長も著しく、殺人鬼でさえなければ主人公のようですらありました。マンガ史に残る「激ヤバ」なサイコキラーでありながら、読者に応援する心理を生み出してしまう演出力とキャラの作り込み、さすが荒木先生です。
■本心は読めないが魅力的な鶴見中尉
複雑な気持ちで応援しちゃう? 鶴見中尉が表紙の「ゴールデンカムイ」Blu-ray&DVD 第二巻(NBCユニバーサル)
●『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のハドラー
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のハドラーは、同作で悪役側にいながらも著しい成長を遂げ、読者の人気を集めたキャラです。かつてダイたちの師匠・アバンに倒された魔王で、アバンからは「残虐にして卑劣」と評されています。大魔王バーン配下の魔軍司令として復活したものの、ダイたちとの戦いに苦戦し続け、自分の地位を失うことにおびえる人物として描かれていました。
しかし、武人として前線で戦い、相手に敬意を払う精神性も持っています。そして、負けるたびに自尊心を傷つけられた彼は、寿命の長い魔族としての体を捨ててでもアバンの使徒たちに勝つために、超魔生物に変身を遂げました。
その後もダイたちと正々堂々決着をつけることにこだわり続けたハドラー。バランとダイと対峙した際には、自身がバーンから秘密裏に体内に「黒の核晶」を埋め込まれていたせいで2人が本気を出せなかったと知って涙を流すなど、熱い男気を見せました。そして、自らの手でダイを倒すためにバーンの攻撃に割って入り反旗を翻したハドラーは、その後ついにダイとの「真竜の闘い」で全力を出し切り敗れます。
負けたのちもキルバーンの灼熱の罠に絶望するダイとポップを叱咤激励して助け、最後は戻ってきた宿敵・アバンの腕のなかで安らかに灰になったハドラー。その成長と高潔な精神はファンの胸を打ち、2022年のアニメで彼の最期が描かれた際は、SNSで「成長度合いではポップと双璧」「実質アバンの使徒」「途中からずっと応援してた」などなど、大きな反響がありました。「最後の最後で…オレは部下に恵まれた」と語る、ハドラー親衛騎団の面々との絆も感動的です。
●『ゴールデンカムイ』の鶴見中尉
2022年4月に堂々の完結を迎えた『ゴールデンカムイ』のラスボス、鶴見中尉は日露戦争で前頭葉の一部が欠けた異様な風貌の悪役として登場しました。しかし、ケガを負う前の美男子ぶりは作中屈指であり、そのカリスマ性や過去、アイヌの金塊を欲する理由が描かれていくうちに、第七師団の面々と同じように中尉の虜(とりこ)になる人が続出しています。
相手のことを調べ上げ、さまざまな人心掌握術で「手駒」を増やしてきた鶴見中尉。彼のせいで人生を狂わされた人間も多く、けして許される人物ではないのですが、その根底にちゃんと部下や日本、そして家族への「愛」があることも描かれています。彼自身も多くを失った(主にウイルクのせいで)背景があり、特にクライマックスは「鶴見中尉側と杉元側どっちも応援したい」と複雑な気持ちで見ていた人が多かったようです。
ずっと本心は読み切れなかった彼が最終話手前で見せた、ある「表情」も話題を呼びました。4月28日から6月26日(日)まで東京ドームシティで開催中の「ゴールデンカムイ展」でも、火曜日夜に「鶴見中尉ナイト」として中尉のお面が配られるイベントが開催されるほどの人気。鶴見中尉になり切りながら彼の戦いの軌跡を追うのも、興味深いかもしれません。
(マグミクス編集部)
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