36周年・色あせぬドラクエの魅力を『4コママンガ劇場』に再発見!
マグミクス / 2022年5月27日 16時40分
■『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』は、本編とは別の「冒険の書」
1986年5月27日にファミコン用ソフト、初代『ドラゴンクエスト』(以下、ドラクエ)が発表されたことから毎年5月27日は「ドラゴンクエストの日」! 記念日を祝してリリースされる最新情報の数々がファンを大きく沸かせることが、例年の恒例行事となっています。
とはいえ、『ドラクエ』も2022年で36周年を迎えるタイトル。世代をこえて愛されてきた国民的RPGだからこそ(お祝いしたい気持ちこそあるものの)今年発表されたスピンオフタイトルのニュースに、いまいちピンと来なかった方も多いのではないでしょうか。
そこで本日は、『ドラクエ』アニバーサリーを記念し、かつての勇者たちが愛してやまなかった「バイブル」である『4コママンガ劇場』シリーズの魅力を振り返ります。
『4コママンガ劇場』とは、当時のエニックスが刊行していたアンソロジーコミックシリーズの総称です。その歴史は1990年に発売された『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場(1)』まで、さかのぼることができます。
複数の作家が手がけるオムニバス形式の『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』(以下、ドラクエ4コマ)は、後に『南国少年パプワくん』でブームを巻き起こす柴田亜美先生や『魔法陣グルグル』をヒットさせる衛藤ヒロユキ先生など、多くの有名作家も参加していました。さらに特筆すべきは、エニックス「公式」のアンソロジーであったことです。
また、各作者のあとがきページである「楽屋裏」コーナーで「ネタのボツ率がとんでもない」と作家がこぼす通り……同じ作品をテーマにとり扱った他社のアンソロジー作品よりも、群を抜いてギャグのクオリテイが高かったことにあるでしょう。
もちろん、題材となるゲーム『ドラクエ』のキャラクターデザインは鳥山明先生ですが、『ドラクエ4コマ』では作家ごと、それぞれの個性が投影された絵柄、性格を持つ登場人物が自由に動き回ります。本編では描かれない冒険の道中や、戦闘の細部にまで焦点があてられた4コマは、それぞれの作家が『ドラクエ』を熱狂的にプレイしている目線で描かれるのです。
ゲーム本編に登場した(かもしれない)会話や、日常のドタバタにまで想像力をかき立てられる『ドラクエ4コマ』は、当時の読者にとって、もうひとつの「冒険の書」と、言って過言ではない存在でもありました。
■読者も作者もみんなファン、貸し借りしあうから『4コママンガ劇場』は面白い!
『ポケットモンスター 4コママンガ劇場』第4巻(エニックス)
『ドラクエ』のアンソロジー作品として産声をあげた『4コママンガ劇場』は、その後『スターオーシャン』『ヴァルキリープロファイル』などのエニックスのゲームタイトルも登場します。また、任天堂をはじめとした他メーカーのゲームタイトル『星のカービィ』『ゼルダの伝説』『ポケットモンスター』、『モンスターファーム』『テイルズ』シリーズなどの多数のタイトルが展開されていきました。
さらに、『Kanon』や『To Heart』と言った恋愛ゲーム、NHK Eテレで放送されていた『おじゃる丸』を題材にした単行本も刊行されました。
さまざまな垣根をこえ、幅広いジャンルのファンを魅了していく躍進を見せるのですが、2006年頃にブームのピークを迎えることになります。
いつの間にやら見かけることのなくなった、エニックスの『4コママンガ劇場』。アラサー以上のゲームファンであれば、何がしかの作品に見覚えがある方も多いのでは……と、推測できるのは、本シリーズがひんぱんに「貸し借り」される特色を持っていたからではないでしょうか。
ストーリーに連続性のない『4コママンガ劇場』は、とっつきやすく、読者が題材のゲームにさえ触れていれば、それが何巻の何ページであっても気軽に読むことが可能です。そのうえで、同じゲームのファンだからこそ『4コママンガ劇場』は皆で読む方が面白いのです。ゲームが友達同士のコミュニケーションツールとして語られる時、『4コママンガ劇場』は、その一側面を担う架け橋にもなっていました。
もっといえば4コマを手がける作家も、また、そのゲームのファンなのです。読者が魅了されることはもちろん、同じゲームを通じて、作家との距離感をも身近に感じられる、親近感にも似た魅力がありました。作家自身が元「ドラクエ4コマファン」であり、読者投稿企画「4コマクラブ」からデビューした例が多かったことも、理由のひとつでしょう。
「ドラゴンクエストの日」を記念して、久しぶりに実家の本棚を隅々まで探してみることも面白いかもしれません。色あせぬ魅力を『4コママンガ劇場』のなかにも発見できるのではないでしょうか。
(ふみくん)
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