なぜスレッガーがいる?「ククルス・ドアンの島」事前に知っておきたい旧アニメ版との違い
マグミクス / 2022年5月30日 11時50分
![なぜスレッガーがいる?「ククルス・ドアンの島」事前に知っておきたい旧アニメ版との違い](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_93128_0-small.jpg)
■ファンが不思議に思った違和感の正体
いよいよ公開間近となった劇場版『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。公開前に続々と情報が明かされていますが、一部のファンからは違和感を覚えるという声が聞こえてきました。それはなぜでしょう?
一部のファンが気になった違和感とは時系列の問題でした。TV版15話にあたる本作で、本来なら31話よりホワイトベースに加入するスレッガー・ロウがいることがおかしいというのです。確かにTV版や旧劇場版とはつながりません。
しかし、これには理由があります。それは劇場版公式サイトのストーリーページに書いてありました。以下に一部抜粋します。
「ジャブローでの防衛戦を耐えきった地球連邦軍は勢いのままにジオン地球進攻軍本拠地のオデッサを攻略すべく大反攻作戦に打って出た。アムロ達の乗るホワイトベースは作戦前の最後の補給を受ける為にベルファストへ向け航行。そんな中ホワイトベースにある任務が言い渡される。……」以下省略
TV版と旧劇場版を知る人なら時系列の違いに気づきましたでしょうか? そう、今回の劇場版はこれまでの私たちが知ってるアニメでの時間軸とズレがあります。なぜなら最初に発表されたように、今回の劇場版は旧シリーズのキャラクターデザインを担当した安彦良和さんが、雑誌『ガンダムエース』で描いたマンガ版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(以下オリジン)の時間軸でアニメ化されたからでした。
実は『オリジン』は忠実に旧作をリファインしただけのものではなく、旧作の「一年戦争」で疑問に思うポイントを積極的に変更した作品だったのです。そのため、旧作とは一部のキャラの性格や、メカと歴史の設定などが異なるものになっていました。
ストーリー的に大きく変わった部分が、ちょうど今回の劇場版にあたる前後です。地球に降下した後、ホワイトベースの進路が北米大陸からアジア、ヨーロッパへと地球を一周して南米にある地球連邦軍本部「ジャブロー」を目指すのは不自然ということで、ガルマが戦死した後、そのまま南下していました。
その後、ランバ・ラル隊との激闘、黒い三連星との戦いを経て、ホワイトベースはそのままジャブローに到着します。つまりオデッサとベルファストは通過していません。そのため、ジャブローでスレッガーは合流、マ・クベはいまだ健在というわけです。
単純に時系列を考えると、オデッサ作戦とジャブロー攻略戦が入れ替わっている。……そう理解するとわかりやすいかもしれません。
■よりリアルさを追求したため変更された設定の数々
旧アニメ版の「大佐」から「中将」へと二階級特進を果たしたマ・クベ。画像は『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』16巻(KADOKAWA)
それでは今回の劇場版を観る前に、旧作と『オリジン』の設定的な違いをいくつかチェックしてみましょう。
デザイン的にはディテールが追加されている程度に見える主役MS(モビルスーツ)の「ガンダム」ですが、実はコア・ファイターが搭載されていません。これには「オモチャのための設定でリアリティがない」からだそうです。しかし、この設定は若干の修正が行われ、ジャブローで「コア・ポッド」という脱出システムが組み込まれました。
ちなみにコア・ファイターは普通の戦闘機として登場し、それを利用したコア・ブースターは今回の劇場版でセイラ・マスが搭乗しています。
また、ガンタンクとガンキャノンの設定も大きく変わっていました。旧作では共にガンダムと同じく「V作戦」で開発されたMSという設定でしたが、『オリジン』ではザク開発以前から10年以上前に量産化された大型主力戦車がガンタンクで、ガンキャノンはザクIに対抗して開発・実戦投入された地球連邦軍初の量産型MSという設定になっています。
この他、ジムの実戦配備がグフと同時期になっていて、オデッサの作戦前にはかなりの数が戦場に投入されていました。もちろんホワイトベースにも配備されており、スレッガー専用のカラーリングがほどこされたタイプも今回の劇場版で登場します。
旧作との違いはキャラにもありました。旧作ではパイロットの少なさから活躍の機会が多かったカイ・シデンとハヤト・コバヤシでしたが、『オリジン』ではサイド7襲撃の時点で生き残った兵士も少なくなかったことから目立った活躍はあまりありません。もっとも今回の劇場版では、事前に発表されているパイロットが少ないことから活躍が期待できそうです。
逆に旧作以上に『オリジン』で活躍していたのがジョブ・ジョンでした。アムロ・レイに次ぐホワイトベースのパイロットという立ち位置でしたが、今回の劇場版ではガンペリーのパイロットという一歩引いた立ち位置にいます。
立ち位置の変化といえば、階級が大きく変わったキャラもいました。それがマ・クベです。旧作では大佐でしたが、『オリジン』ではジオン公国軍地球侵攻軍総司令・中将に設定され、二階級も昇進しています。これも旧作で疑問視されていた部分だそうで、立場に相応しい階級となりました。
こうした『オリジン』で改変された設定を事前にチェックすることで、いよいよ公開となる劇場版『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を存分に楽しめればと思います。
(加々美利治)
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