『幽☆遊☆白書』のトラウマ場面5選 仙水が変わってしまった地獄の光景…
マグミクス / 2022年6月5日 19時10分
■雪菜の目の前で小鳥が……
『幽☆遊☆白書』は交通事故で一度死んだ中学生・浦飯幽助が、霊界探偵となって活動するなかで凶悪な敵と戦うバトルマンガで、冨樫義博先生の代表作のひとつです。恐ろしい妖怪たちと対峙するシーンも多く、そのなかにはトラウマになるようなエピソードや描写が数多くありました。
●乱童の力で小さくされた桑原の骨が折られる
奥義やぶりを専門にしている妖怪・乱童に霊波動奥義を伝承させないため、幽助は桑原とともに幻海の弟子を選定する試験に潜入します。審査を次々とクリアし、志願者同士が戦う4次審査に進んだ時のことでした。その準決勝で、桑原は少林という小坊主と対峙するのですが、彼こそが幽助たちが探していた乱童だったのです。
乱童は名の知れた呪詛師から奪った技で桑原の身体を小さくすると、彼の身体を拾い上げ、ギブアップしないことをいいことに左腕をへし折ってしまいます。この時の乱童は本来の姿にはなっておらず、妖怪の面影はまるでありません。しかし、桑原の腕をマッチ棒みたいにもろいと笑い、最後には放り投げるその姿にちょっと恐怖を感じます。
●「魔回虫」に操られた人々が蛍子を襲う
朱雀・青龍・白虎・玄武からなる「四聖獣」という妖怪の犯罪組織は、人間界に移住するため、寄生虫「魔回虫」を使い、人間界を支配しようと考えます。四聖獣のトップ・朱雀が虫笛で操る魔回虫は人間の体内に入り込み、人々を凶暴化させます。霊界からその虫笛を壊し、虫を全滅させるように命じられた幽助は、桑原、蔵馬、飛影とともに四聖獣と対峙。そして幽助たちが朱雀の元へとたどり着いたとき、人間界では魔回虫に寄生された人間たちが、ぼたんと蛍子を襲っていました。
幽助にとって最も大事な存在の蛍子が教師や町の人から命を狙われ、追い回される光景はまるでゾンビ映画のようです。追いかけてくる人間たちはよだれを垂らし、目の焦点も合っていない異常な雰囲気。自分の町がこうなったらと考えるだけでも恐ろしいうえに、その後の蛍子を見ていても、よくあんなことがあった後に幽助やぼたんと危険な場所に足を踏み込もうとするなと驚いてしまいます。
●氷泪石を作らせるため……氷女・雪菜が目にした残酷な光景
宝石「氷泪石(ひるいせき)」を作らせて商売をしようと考える男・垂金権造から氷女・雪菜を救出するよう言われた幽助と桑原は、さっそく屋敷へと向かいました。雪菜が涙を流せばその涙が宝石となるため、垂金はいかにして雪菜に涙を流させようかと考えます。結界が貼られた一室に監禁されている雪菜は外に出ることが叶わず、窓際にやってくる鳥たちと戯れることしかできないのですが……。垂金の用心棒として現れた戸愚呂兄弟により、1羽の小鳥が彼女の目の前で殺されてしまいました。
戸愚呂・兄の伸びる指によって捕まえられ、絞め殺される罪のない小さな小鳥の姿は、雪菜が涙を流すのも当然の残虐シーンです。さらにテレビアニメでは、小鳥の骨の折れる音まで表現されており、余計に嫌な場面として記憶に残ります。
■巻を追うごとにグロテスクさは増し、ひとりの男の人生観をも歪める
●武威の一振りで、敵の内臓がバラバラに
妖怪が死闘を繰り広げる「暗黒武術会」に招待された幽助たちは、次々と強大な敵を相手に奮闘し、決勝戦まで勝ち進みます。幽助をこの大会に招いた戸愚呂兄弟も、鴉、武威とともに準決勝まで勝ち進み、「五連邪チーム」と対峙しますが、戸愚呂弟は不在。そして、五連邪チーム5人に対し、戸愚呂チームは3人で戦うのですが力の差は歴然でした。
鴉は見えない爆弾で相手の身体を吹き飛ばし、戸愚呂兄は3人を相手取り、全身から展開した針で串刺しにしてしまいます。なかでもグロテスクだったのが、武威の試合です。足が沈むほどの重さがある大きなオノを一振りして、相手の身体を一刀両断。骨や内臓、目玉までもがバラバラに吹き飛んでしまいました。
戸愚呂チームの登場を喜んでいた観客たちも絶句してドン引き、さらに武威が吹き飛ばした敵の臓器が客席まで飛んできて大騒ぎになります。大ゴマで描かれたこともあり、強く印象に残るシーンでした。
●悪と思われていた妖怪が虐殺されるのを見て、仙水の価値観が変わる……
暗黒武術会を終えた幽助たちは、人間界と魔界を繋ぐトンネルを塞ぐ任務を言い渡されます。トンネルを作ろうとしていた仙水忍は、かつて幽助のように霊界探偵として任務を言い渡されていた人物でした。しかし、当時トンネル作りを目論んでいた左京率いる「ブラック・ブック・クラブ」幹部のアジトを強襲した際に、人間が妖怪を拷問・虐殺している光景を目にしてしまったのです。
吊るされて釘や針を全身に刺され涙を流し、臓器をバラバラにされる妖怪たち。そして、拷問や妖怪の血の池地獄を楽しむ人間たちの姿を見たことで、「妖怪は悪」と信じて疑っていなかった仙水の価値観は崩壊してしまいました。仙水はその場のすべての人間を殺し、後を追って来た樹に対し「ここには人間はいなかった 一人もな」と言います。そして、仙水は人間の恐ろしすぎる犯罪が記録された「黒の章」を霊界から持ち出して行方をくらませ、その後人間を滅ぼそうと考えるようになったのです。
生真面目で使命感の強い男だった仙水がおかしくなってしまうのも当然なくらい、虐殺される妖怪たちの姿は衝撃的な光景でした。TVアニメシリーズでは妖怪たちの叫び声と、血の池が映し出されるという程度でしたが、それでも恐ろしいです。
同じ冨樫先生の『HUNTER×HUNTER』でも、「キメラ=アント編」を筆頭に、かなり残酷な描写がありましたが、こういった場面があるからこそ、主人公たちの強さや真っ直ぐ立ち向かう精神力がより輝くのではないかと思います。光と闇を容赦なく描く冨樫先生の作品は、何年経っても色褪せない面白さを感じます。
(弁天寿)
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