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なぜ『ガンダム』の指導者はモビルスーツで前線に出たがる?理由はSF設定にアリ

マグミクス / 2022年6月5日 13時10分

なぜ『ガンダム』の指導者はモビルスーツで前線に出たがる?理由はSF設定にアリ

■最前線に出たがる軍の司令官たち

 人気アニメ『機動戦士ガンダム』と、その派生作品では、モビルスーツやモビルアーマーに搭乗し、自ら最前線で戦う司令官の姿が頻繁に見られます。例えばシャアは一年戦争終盤では大佐の地位にありますが、モビルスーツで出撃します。

 現実の軍隊では、大佐は大型軍艦の艦長や、連隊(1000~3000人程度の陸軍部隊)を指揮する部隊指揮官ですから、もしシャアが戦死すると、味方の指揮系統は大混乱に陥るはずです。というか、部隊を束ねる高級指揮官が、最前線で敵のモビルスーツと戦っていて、部隊指揮など執れるのでしょうか。

 最前線に立つのは、シャアだけではありません。キシリア少将は前線視察のためにモビルアーマー「アッザム」で前線に赴き、ガンダムと交戦します。ドズル中将もソロモン要塞の最高司令官の立場ですが、要塞陥落が避けられないと見るや、モビルアーマー「ビグ・ザム」で出撃して戦死しています。現実では中将と言えば、艦隊司令官や、一方面の戦線を任される軍団長ですから、司令官の生存による指揮系統維持は最優先されると考えられます。

 続編の『機動戦士Zガンダム』では、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの3勢力が三つ巴で戦うことになります。このうち、エゥーゴとティターンズでは指導者交代が発生します。そのことで、エゥーゴのクワトロ・バジーナ(シャア)と、ティターンズのパプテマス・シロッコ、アクシズのハマーン・カーンは「モビルスーツに乗り最前線で戦う」最高指導者として戦うことになったわけです。

 最高指導者が前線で撃墜されたら、組織が崩壊しかねません。実際、クワトロが行方不明になったエゥーゴは、宇宙巡洋艦アーガマを中心とする、ごく一部しか戦えなくなります。シロッコやハマーンの戦死は、組織を崩壊させました。

 このようなリスクがありつつも、ガンダムの偉い人たちが前線に出たがるのは、なぜでしょうか。筆者はふたつの要因があると考えています。

■「ミノフスキー粒子」と「ニュータイプ」

ティターンズの幹部であるパプテマス・シロッコは、メッサーラやジ・ Oに搭乗し戦線に立った。画像はシロッコがジャケットに描かれる「機動戦士Zガンダム 13」DVD(バンダイビジュアル)

 最高指導者たちまでが、モビルスーツで最前線に立ちたがる理由のひとつは「ミノフスキー粒子」です。この粒子を戦場に散布することで、レーダーや通信手段の多くが無力化されるため、長距離での精密誘導兵器が使用できません。必然的に「目で見える近距離」での戦闘が多発することになります。

 つまり、軍の最高指導者が本国や後方から指揮を執るというのは、通信障害やタイムラグが発生するために非現実的ということです。実際、モビルスーツには乗らないジオンの最高指導者ギレン総帥でも、地球連邦軍の攻撃目標である要塞ア・バオア・クーに移動して、現地で指揮を執っています。

 ドズル中将が「ビグ・ザム」で出撃したのも「自分が先に撤退すると、戦況が把握できなくなる」という事情があったのでしょう。実際、ドズルは地球連邦軍主力を自ら攻撃することで時間を稼ぎ、ソロモン・ジオン軍の組織的撤退を成功させています。

 続編『機動戦士Zガンダム』以降で、最高指導者が前線で出撃する事例がさらに増えますが、それは、もうひとつの要因「指導者がニュータイプとなったから」ということも関わると感じます。

 強力なニュータイプは、距離に限界はあるようですが、レーダーを必要としない探知能力を有しています。そして、他のニュータイプの存在を感知することも多々あります。最高指導者が戦艦や要塞で指揮を執ったとしても、敵のニュータイプに存在を感知されて、直接攻撃されることもあるということです。

 例えば『Z』の中で、シャアはモビルスーツ・百式にメガ・バズーカ・ランチャーを装備して、10話、32話、38話、49話で遠距離狙撃を試みています。10話、32話で狙われたシロッコは、モビルスーツ・メッサーラに搭乗した10話では回避していますが、戦艦ドゴス・ギアに搭乗していた32話では命中弾を受けています。

 38話で重巡洋艦アレキサンドリアを狙撃したときも、ニュータイプのレコアに攻撃意志を感知された結果、砲塔だけを破壊する結果に終わりましたが、一応当てているわけです。一方で、シャアやシロッコ、ハマーンのような強力なニュータイプが超高性能モビルスーツに搭乗している時は、ほとんど命中弾を受けませんし、受けてもほぼ致命傷は避けています。

 つまり「超高性能モビルスーツに乗って、最前線に出ている方が、ニュータイプ能力で危機を回避できるので、後方よりもむしろ安全。暗殺もされにくい」ということでしょう。加えて、ニュータイプや強化人間は、テレパシーのようにお互いに意志疎通が可能なことが多いですし、近距離であれば通信が通じる描写も見られます。

 つまり「指揮官として有能な軍人で、かつニュータイプの最高指導者」であれば、最前線に出て、有力な味方(特に味方のニュータイプや強化人間は、有力な戦力でしょう)に直接指示を出す方が、戦力を有効に投入できるということです。

 この「ミノフスキー粒子」「ニュータイプ」の組み合わせが、「最前線に最高指導者が出る」というアニメ映えする戦闘描写に繋がっていると考えるなら、設定として秀逸だと言えるでしょう。

(安藤昌季)

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