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ファン歓喜なぜ?『ククルス・ドアン』登場で話題「シャア専用高機動型ザクII」とは

マグミクス / 2022年6月2日 19時50分

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■ガンダムと人気を二分した名機「R型」

 6月3日公開予定の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』で登場することが発表された「MS-06R-1A シャア専用高機動型ザクII」。ファンからは令和の時代に誕生した新たなシャア専用機に驚きの声が上がりました。

 メカ好きのガンダムファンなら有名な高機動型ザクですが、知らないという方は当然いるでしょう。そこで、この「R型(タイプ)」について説明いたします。

 現在のガンダムでの設定の基礎と呼ばれている書籍『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』(1981年9月)で、ザクのバリエーションのひとつとして文字設定だけが作られたのがR型の初出でした。その後、『SFプラモブック1 機動戦士ガンダム REAL TYPE CATALOGUE』(1982年4月)に、大河原邦男さんがデザイン画を描き起こしました。

 そして、アニメで登場したMS(モビルスーツ)をすべて発売した後、ボツデザインのアッグシリーズまでプラモ化したバンダイが、新しいガンプラシリーズとして立ち上げた「MSV(モビルスーツバリエーション)」の第1弾として発売されたのがR型だったのです。

 このR型はアニメで登場した「黒い三連星」がドムに乗る前まで使っていたという設定が魅力のひとつでした。使用したとされる他のパイロットもジョニー・ライデンやシン・マツナガといったエースぞろい。他のMSV機体と違うエース専用機特有の、ブランド感のようなものが子供心をくすぐったのでしょう。

 R型はMSVの顔と言うべき存在になり、主役機であるガンダムと肩を並べるほどのポジションを得ました。通常サイズの1/144にとどまらず、1/100や1/60のビッグスケールでもラインナップされ、ついには初の1/30サイズでバブルキャスト(発泡スチロール製)モデルまで販売されます。

 このR型の人気がガンプラブームをふたたび盛り上げ、後の新シリーズのアニメ化という道のりを後押ししました。そう考えると、今日のガンダム人気の一因を担ったザクだったと言えるかもしれません。

 この人気の高さは現在まで続き、ザクIIが立体化される際はバリエーションとしてシャア専用ザクIIがまず販売され、その次にR型がラインナップされることが比較的多くなっていました。

 さらにプレミアムバンダイでは期間限定品として、ギャビー・ハザード、マサヤ・ナカガワ、ロバート・ギリアム、ユーマ・ライトニングなど、色変えで各エースの機体をラインナップしています。世の中にはR型専門のコレクターがいるのでは?と思わせるほどの豊富な商品展開ですね。

 こうした背景からガンダムのMSファンには有名なR型ですが、ガンプラでの展開が中心だったためにアニメファンにはなじみの薄いMSかもしれません。ゲームなどを除くと、R型が初めてアニメに登場したのは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(以下オリジン)』(2015年4月)になります。

 そういった事情から、今回の劇場版でシャア・アズナブルの専用機として登場したことは、大変にセンセーショナルな出来事だと言えるでしょう。

■40年前から因縁? R型とシャア

ジョニー・ライデン搭乗の06R-2は、シャアと同じく赤いカラーリングが特徴的。地球連邦軍が「赤い彗星のRタイプ」と誤認したという逸話も。画像は「HGUC 1/144 MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用ザク (MSV)」(BANDAI SPIRITS)

 今回の劇場版に登場することになるシャア専用高機動型ザクIIですが、その存在に違和感を覚える人も少なくありません。その点も注目してみましょう。

 本来のR型の設定は一年戦争中期、量産型であるザクII(MS-06F) をベースに宇宙用にグレードアップした機体として開発されたものでした。しかし、前述した『オリジン』では開戦当時から黒い三連星の愛機として登場しています。

 この『オリジン』世界とも言うべき時間軸の流れで誕生したシャア専用高機動型ザクIIも、鎖骨部分にバルカン砲のある『オリジン』独自のタイプで、本来のR型とは若干デザインが異なっていました。

 そして、文中でお気づきになった人もいるかと思いますがR型は宇宙用。今回の劇場版の舞台は地球上です。つまり宇宙用の出番は本来ありません。これに関しては、往年の名シーンをあらためて『オリジン』版として製作したように、シャア専用高機動型ザクIIは大気圏突入前の戦いでガンダムと戦うと発表されていました。つまり、回想シーンでの登場ということらしいです。

 ちなみにMSVでの設定では、R型は高性能でしたが生産数は極端に少なく、合計で80機程度しか実戦配備されていません。諸説ありますがザクIを含めたザクの総生産数は約8000機、そのうちF型は3246機とされています。その数字から、いかにR型の生産数が少なかったかわかるというもの。

 このため、R型を欲しかった熟練パイロットの間では、「連邦軍の戦艦を沈めるよりもRタイプを手に入れるほうが難しい」とまで言われたそうです。そう考えると、作中ではR型に搭乗するということは、エースにも匹敵するステータスだったに違いありません。

 地上でも使える万能型のS型のパイロットであるシャアがどういった経緯でR型に乗り換えたかはわかりませんが、上記したR型の逸話を考えると、仮面の下はドヤ顔だったことでしょう。

 そういえばMSVの時の設定に、ジョニー・ライデン搭乗の06R-2を地球連邦軍が「赤い彗星のRタイプ」と誤認したという逸話がありました。まさか、その40年後に本当にシャアがR型に搭乗するとは誰も想像しなかったことでしょう。

 一応、ゲームブック『機動戦士ガンダム 最後の赤い彗星』で、幻の06R-2の5号機に乗ったシャアがトワニングのガルバルディと戦うという物語がありました。しかし、オフィシャルとは言えないと思うので、やはり今回のシャア専用高機動型ザクIIが初めてのシャアが搭乗したR型と言えるかもしれません。

(加々美利治)

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