TVアニメ『スローループ』海釣り回を再現？ 横須賀で開催の「船釣り体験イベント」

■船釣り初心者が多く参加、遠く宮城県などからも

　2022年5月28日、横須賀市の荒崎漁港でTVアニメ『スローループ』のコラボ企画として船釣りの体験イベントが行われました。TVアニメ第6話で主人公のひよりたちが楽しんだ相模湾の船釣りを楽しむ企画です。

　イベント当日は、多少の雲こそあるものの、初夏の日差しが差し込む好天に恵まれました。気温こそ30度に達したものの微風が吹いており、それほど暑苦しさも感じさせません。

　作中に登場した釣船のモデルとなった「荒崎漁港 丸伊丸」に乗船したのは、横須賀市とTVアニメ『スローループ』のコラボレーション企画「釣り体験イベント」に応募した15名の参加者です。同イベントはすでに4月に1回目が開催されており、その時には「初級」としてカサゴやアカハタを狙い、5月の2回目では「上級」のオニカサゴ五目で実施する予定でしたが、初級への参加希望が非常に多く、急きょ5月も「初級」に変更された形で開催されました。そのため、「上級」には乗船予定のなかったインストラクターとして、横須賀市で活動する釣り具メーカー「YAMASHITA Maria」から4名が乗船し、対応に当たって下さいました。

　今回の参加者のなかで釣りの経験者は半分程度。船釣りの経験となるとひとりかふたり程度しかいない状態でしたが、宮城県や茨城県など遠方からいらっしゃった方もいるほどで、TVアニメ『スローループ』を見たことをきっかけに、船釣りを体験してみようという熱意が感じられました。4月に開催された際には関西方面から足を運んだ方もいたそうで、TVアニメ『スローループ』の持つ影響力を感じさせられます。

　出発前には、作中の第6話にも登場した丸伊丸船長の鈴木孝幸(すずき たかゆき)さんによるフライフィッシングのデモンストレーションも開催され、「シイラを狙うときは放水しながら撒き餌としてイワシを使う」などの説明も交えながら、キャスティングを披露していました。

　鈴木さんによると、今の釣れ筋は「最近の相模湾ではカサゴ・アカハタ、それにまだアオリイカやスルメイカ、あとはアジ・イサキかな」とのこと。今日の対象魚はカサゴとアカハタなので、期待は高まります。

　そうして9時を少し過ぎたころ、すべての準備と乗船を終え、丸伊丸のエンジンがうなりを上げ始めます。いよいよ出港です！

■前日の雨が影響？　根掛かりやオマツリも頻繁に

TVアニメ『スローループ』船釣り体験イベントの参加者全員で記念写真

　今日のターゲットであるカサゴとアカハタは「根魚」と呼ばれ、海の底の岩場（根）を住処にしている魚です。アジやイワシのように群れをつくって海のあちらこちらを泳ぎ回る「回遊魚」と呼ばれる魚とは違い、ひとつの根を釣り尽くすとしばらく魚がいなくなるので、頻繁なポイント移動が必要とされる釣りとなります。

　インストラクターの指示に従い仕掛けをつなぎ、餌として配られた塩漬け鯖の短冊切りを針につけ、ポイントに到着したら船長の指示に従い仕掛けを降ろします。根魚を狙うときはどうしても仕掛けが岩場にひっかかりやすいので、オモリが海底についたら「ちょん」と上げる行動を繰り返すのですが、底につけるのも上げるのも慣れるまでは少しコツが必要なので、「根がかり」（海底に仕掛けが引っかかる）が続出し、インストラクターが対応に追われていました。

　それでも少し慣れてくると釣れる人も出始めます。このとき筆者も竿を出していたのですが、ほどなくカサゴがヒットして「ボウズ」（一匹も釣れないこと）を逃れることができてひと安心。その後は11時くらいまでコンスタントに釣れていたのですが、少し慣れたにもかかわらず根がかりが非常に多く、筆者も持ち込んだ仕掛けやオモリの大半を失ってしまいました。

　さらには左右の人と仕掛けが絡んでしまう「オマツリ」もたびたび発生しており、少し根がかりもオマツリも多すぎると感じたので船長さんやインストラクターの方に尋ねたところ、前日まで振っていた雨の影響か、海の中の潮の流れが早く、仕掛けが流されやすい状態だと教えてくれました。

　また、海水が濁っており、魚の視界が遮られているので餌の食いも悪いそうで、運よく魚の目の前に餌が落ちるのを期待しなければならず、細かく動かしすぎると根がかりが頻発するという、少々難しい釣りとなっていたようです。船には十分な数の予備の仕掛けやオモリが用意されていたのですが、イベントが終わりに差し掛かるころには仕掛けが底をついている状況でした。

　それでも午後1時すぎまで船のどこかではカサゴとアカハタがあがり続け、無事にイベントは終了。最後は全員で記念撮影を行い、お弁当が配られ解散となりました。この時配られたお弁当は、TVアニメ『スローループ』第3話で小春が作ったお弁当を、横須賀市内のうどん屋「よこすか猿麺」が再現した特製のコラボ弁当でした。

　筆者自身はカサゴ6匹、アカハタ1匹を無事ゲット。持ち帰って唐揚げと刺身、あら汁にして楽しませていただきました。初夏の海で釣りを楽しみ、持ち帰って新鮮な海の幸を楽しむ。控えめに言って、最高な1日を過ごせたと思えます。

（早川清一朗）