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『ベルセルク』が連載再開! 誰かが「引き継ぐ」のは有りかなしか?

マグミクス / 2022年6月8日 17時10分

『ベルセルク』が連載再開! 誰かが「引き継ぐ」のは有りかなしか?

■故・三浦建太郎先生の親友・森恒二先生が後を引き継ぐ

 2022年6月7日、『ベルセルク』が6月24日(金)発売の白泉社「ヤングアニマル」にて再開されることが発表されました。

 驚くべきことに、作者の故・三浦建太郎先生は、30年ほど前に親友である漫画家の森恒二先生に『ベルセルク』のストーリーを最後まで伝えていたというのです。いや、伝えていたという言い方は違うのかもしれません。森先生は三浦先生を追悼する小冊子に「自分の全ての作品は三浦君と相談して作ったものです。信じられないかもですが、三浦君の作品も(原作有以外は)そうです」と書いており、森先生と三浦先生は一心同体のような存在だったことを明かしているのです。ベルセルクのストーリー自体も「“蝕”をやらなければいけないのでネームの相談に乗ってくれ」と呼び出され、一週間ほど軟禁されてそのとき最終回までのストーリーを共に考えたことを明かしています。

 その日の夜、筆者は知人のクリエイターたちに「親友とはいえ他人が続きを描くことをどう感じるか」と尋ねてみました。筆者自身は連載再開に関して全面肯定なのですが、最前線で作品を送り出している人間の目に、今回の出来事はどう映っているのかを知りたくなったのです。

 結論は「今回の形なら有り」でした。

「もしお金目当てで関係のない第三者が関わって再開するのであれば反対するけれど、今回は三浦先生から生前に頼まれていた森先生が監修をする。アシスタントもやる気があるなら託せると思う」

 その場にいたクリエイターたち皆の意見は、おおむねそのようにまとまりました。

 森先生は高校時代に三浦先生と出会い、その後は紆余曲折を経て漫画家となり『ホーリーランド』や『自殺島』など数々のヒット作を世に送り出した一流の漫画家です。現在も「ヤングアニマル」で『無法島』、「イブニング」で『創世のタイガ』を連載中で、いずれの作品も『ベルセルク』と共通する、人の奥底にある生々しさをさらけ出す作風が持ち味です。

 三浦先生は森先生に対し「オレたちは脳を共有しているからひとつ」とよく言っていたそうです。「ずっと一緒にものを考えてきたからオレはモリちゃんの脳を使って考えられるし、モリちゃんもオレの脳を使って考えられるんだ」とも語っていたそうですが、筆者のような凡人にはさっぱり意味が分かりません。おそらく、共に一流漫画家としての人生を作り上げていった天才同士にしか分からないことなのでしょう。いずれにせよ、『ベルセルク』を引き継げる方がいるとしたら森先生を他に人はいません。

 そして作画を手掛けるのは故・三浦先生のお弟子さんたち。現状の最新話である364話は三浦先生が途中まで手を入れていたのですが、最後の数ページはキャラクターが入っていないコマもある状況でした。その状態から、誰が見ても「これは三浦先生のマンガだ」と思わせるレベルにまで仕上げていたのです。森先生からこの事実が明かされるまで、筆者は最後まで三浦先生が描いたものと信じて疑ってはいませんでした。三浦先生が亡くなった後も『ベルセルク』を描き続けるための道しるべが、お弟子さんたちのなかに既に存在していたのです。この技量と熱意を持つ方々になら、安心して『ベルセルク』を託すことができるでしょう。

 亡くなった方の後を他の作者が継いだ事例としては過去にライトノベル『ゼロの使い魔』などがありますが、『ベルセルク』のような美麗を極めた作画を含めてとなると、前代未聞の出来事です。おそらく連載再開に不平不満を持つ方もいるとは思いますが、森先生をはじめとする関係者の方々が決めた覚悟はかなりのもののはずです。

 今はただ、新たに生み出される失われたはずの未来を、楽しみに待つべき時間なのだと思います。

(早川清一朗)

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