欲深過ぎ！ 「お金好きなキャラ」6選 仲間を平気で裏切ることも…

■「お金好き」は美女ばかり！？

　アニメ・マンガのキャラクターには、古くは『ゲゲゲの鬼太郎』（著・水木しげる）の「ねずみ男」など、お金のためなら躊躇なく仲間を裏切るような「お金好きキャラ」が存在してきました。

「お金好き」というと、「ケチ」「守銭奴」「しまり屋」など、言われてあまり嬉しくない、ネガティブなイメージがあります。しかし不思議なことに、「お金好き」の度合いが突き抜けてしまうとそれは魅力になり、キャラクターの人気にもつながっています。

　今回、「お金好き」なところが魅力になっているキャラクター5人を紹介します。

●『ルパン三世』の峰不二子

「お金好き」の美女といえば、『ルパン三世』（原作・モンキー・パンチ）に登場する魔性の女・峰不二子を思い浮かべる人は多いでしょう。
　
　峰不二子は、大怪盗、アルセーヌ・ルパンの孫であるルパン三世が恋してやまない魅力的な美女。彼女はルパンたちを助けたり協力したりもしますが、自分の欲望に正直で、お金やお宝のために、しばしばルパンたちを平気で裏切ります。そんな彼女の裏切りに関しては、ルパンも「裏切りは女のアクセサリー」だと容認しているようで、不二子を本気で非難し敵対することはありません。
　
　TVスペシャル第17弾『天使の策略～夢のカケラは殺しの香り～』では、そんな不二子の「あたし、世の中でお札の匂いが一番好きなの」という、お金にまつわる名言を聞くことができます。「お金」と言わず「お札の匂い」と言うところが不二子らしく、お札を持った手、その匂いを嗅ぐツンとした鼻、その下の濡れた唇、そして鼻腔を通ったお札の匂いが満ちた、彼女の豊満なボディ……と、脳内に流れる映像にドキリとしてしまいそうです。お札と不二子、なんというセクシーな組み合わせでしょう。
　
　抜群のプロポーションを誇り、セクシーなのにいやらしくはなく、他人に媚びることなく自分の欲望に正直に生きている不二子には、女性ファンも多いのが特徴です。そんな魔性の女、峰不二子の「お金好き」はたしかに彼女の魅力をさらにアップさせています。

●『ONE PIECE』のナミ

『ONE PIECE』（著・尾田栄一郎）に登場するナミは、海賊王になることを夢見る主人公・ルフィの仲間であり、海賊団「麦わらの一味」の航海士です。出会ったばかりのルフィにも、「好きなものはお金とミカン！」とハッキリ言うほどの「お金好き」ですが、それには悲しい理由がありました。

　戦争で親を失ったナミとノジコを育ててくれたのは、べルメールという女性です。まだナミが幼い頃、彼女たちが暮らすココヤシ島が海賊アーロン一味に襲われ、島民は大人ひとり10万ベリー、子供ひとり5万ベリーのお金を要求されます。ベルメールが用意できるのは10万ベリーだったため、彼女はそれを「母親として」、ナミとノジコのために支払い、自分はアーロンに撃たれ命を落としたのでした。そうしたことがあって、ナミはアーロンから「ココヤシ村を1億ベリーで買い取る」という目標のために、海賊専門の泥棒になり、必死でお金を貯めるようになったのです。

　そんなナミなので、金銭が絡むと目の色が変わるのは仕方のないことと言えるでしょう。あまりにお金に目がくらんで、目が「ベリーのマーク」になってしまったりすることもありますし、仲間からも容赦なく取り立てます。ゾロに10万ベリーを貸した際には、利子として、その3倍の額を要求しました。その一方で全財産を出してでも友達を助けようとしているので、ただの「お金好き」ではない、正義の「お金好き」だと言えそうです。

●『銀の匙　Silver Spoon』の稲田多摩子

『銀の匙 Silver Spoon』（著・荒川弘）は、進学校での激しい競争から逃げて北海道の農業高等学校に入学した主人公・八軒勇吾（はちけん・ゆうご）が初めての体験に悪戦苦闘しながら成長していく物語です。

　稲田多摩子（いなだ・たまこ）は、八軒勇吾の同級生で、実家は共同経営型の大規模な牧場を経営しています。多摩子は、それをさらに発展させて、世界と渡り合える農業を目指したいと考えている才女です。通常は卵に似た体型で、あまり女子扱いされない彼女ですが、体調を崩したり、本気でダイエットしたりすると周りを驚かせるような美少女に変身します。

「お金が大好き」だと明言する多摩子は、八軒の「豚肉ファンド」の金銭管理や作ったソーセージの価格付け、株式会社GINSAJIのピザ販売の際の経理で、いかんなく能力を発揮。価格の市場調査のために町に出る男子たちに、バス代が交通費になって計上されるのを避けるため、吹雪のなかでも歩いていくように言うなど、容赦なく咄嗟の判断もできるのが強みです。一方で「えげつないくらい完璧に金管理してくれそう」と、彼女の参加がまわりの生徒たちにとっては安心材料にもなっていました。
　
　その後、八軒が起業する際、企画書の添削などにも協力するなど、「お金好き」ならではの頼れる才能を見せました。

■金の亡者！ でも独自の美学も

ナミの成長も感じることができる『ONE PIECE Log Collection “UDON"』　(C)尾田栄一郎／集英社・フジテレビ・東映アニメーション

●『パタリロ』のパタリロ

『パタリロ』（著・魔夜峰央）の主人公パタリロ・ド・マリネール8世は、マリネラ王国の若き国王です。天才的な頭脳と超人的な身体能力を持っているにもかかわらず、他人をからかうのが大好きで、問題ばかり起こしています。
　
　彼が治めるマリネラ王国は、ダイヤモンド産出国であるため小国ながら豊かです。しかし、『明日の大金より、目先の小銭』というが信条の彼は、イギリスの情報部MI6のジャック・バルバロッサ・バンコラン少佐からは、「守銭奴！ごうつくばり！金の亡者！」と言われてしまいます。それに対してパタリロは、「単に人より金銭感覚が発達しているだけ」と反論しますが、小銭へのこだわりは増すばかりでした。
　
　基本的には、ハチャメチャ、ドタバタなパタリロですが、本当に困っている人のことは放っておきませんし、自分の命をかけて守ろうとするので、いろいろ面倒を起こすわりには憎まれてはいないようです。
　
　そんなパタリロが詠んだ一句は、「初春や　それにつけても　金のほしさよ」。そこに、「桜ちる　それにつけても　金のほしさよ」、「手紙です　それにつけても　金のほしさよ」と畳みかけるほど、お金好きなパタリロですが、なかなか思った通りにはお金儲けできません……。

●『忍たま乱太郎』の摂津のきり丸

『忍たま乱太郎』（原作・尼子騒兵衛）は忍術学園を舞台に、エリート忍者を目指す主人公・猪名寺乱太郎（いなでら・らんたろう）と個性的な仲間たちの日常を描いています。寮で乱太郎と同室なのが、「お金好き」な摂津（せっつ）のきり丸と実家が裕福な福富（ふくとみ）しんべヱです。
　
　きり丸は、戦で両親も家も失った天涯孤独の少年で、アルバイトをして生活費などを稼いでいます。そのためアルバイトを優先しがちで勉強する時間が少なくなってしまい、実技はほかの生徒と差はないようですが、成績は芳しくないようです。
　
　自称「天才アルバイター」で、自分のドケチぶりには誇りを持っています。「タダ」「安い」という言葉が大好きで、どんなに遠くても小銭の落ちる音は聞き逃しませんし、数km先に落ちている小銭も見逃しません。きり丸は、忍者学園の入学金も、いくつものアルバイトを掛け持ちして貯めた小銭で支払ったという根性のある「お金好き」です。

●『カイジ』シリーズの兵藤和尊

『賭博黙示録カイジ』（著・福本伸行）をはじめ、「カイジ」シリーズでは、多額の借金を背負った主人公の青年・伊藤開司（カイジ）が返済のために命を懸けた無茶なギャンブルに挑みます。命がけのギャンブルを主催するのが兵藤和尊（ひょうどうかずたか）率いる金融会社「帝愛グループ」でした。
　
　兵藤は、人が苦しむ姿や、命を賭けたギャンブルに人々が翻弄される様を見ることに喜びを感じる残虐な性格で、カイジにとっては、憎い宿敵にほかなりません。お金の執着はすさまじく、莫大な資金を有しているにもかかわらず、それでも満足できない、いわゆる「金の亡者」です。「足らん」「もっともっと……欲しいんじゃ……！」と、常にお金に飢えている兵藤は、お金を持っているにもかかわらず不幸な「お金好き」と言えるでしょう。
　
　帝愛グループの最高幹部のひとり、利根川とカイジが「Eカード」というギャンブルで勝負した際、兵藤はカイジの無謀な賭けを「命は…もっと　粗末に扱うべきなのだ……！」と称賛しました。「もっと思い切ったことをすべき」という、彼ならではのメッセージと思われます。

　今回、紹介した「お金好き」キャラクターが、ただ単に「贅沢がしたい」というだけではなく、それぞれ独自の美学を持っていることがわかりました。「お金が好き」なことにどんな意味があるのか、注目してみるとキャラクターの新たな魅力を発見できるかもしれません。

（山田晃子）