マンガの「気は優しくて力持ち」キャラたち！ いちばん味方になってほしいのは？

■見た目も器もデカい男たち

　劣勢な状況のなかでも自分が一番苦しいポジションを担い、味方を引っ張り、勝利へと導く。そんな頼りになる存在と言えば『ドカベン』の山田太郎に代表されるような、「気は優しくて力持ち」(フレーズの元ネタは、明治33年に作られた唱歌「ももたろう」の一節とも言われています)なキャラです。山田は口数は少ない男ですが、ここぞというときの天才的バッティングや意外性あふれるリードで何度もチームを救いました。また、初期の柔道部時代にも怪力を見せています。今回は他にもいる優しい怪力キャラたちを紹介します。

●『アイシールド21』の栗田良寛

　アメフトマンガ『アイシールド21』に登場する栗田良寛は、「気は優しくて力持ち」にドンピシャでハマる男です。泥門高校アメフト部2年生でセンターラインのポジションを担当する、まさにチームの要。蛭魔妖一や武蔵とは昔馴染みで、クセの強いキャラたちとも常に平和的に接し、チームのバランスを取っています。

　とにかくいい人で、その分弱気すぎる面がありましたが、関東大会決勝の白秋ダイナソーズ戦で栗田は覚醒しました。敵チームの超怪力選手・峨王力哉のタックルによって蛭魔が負傷退場したことで一旦は心が折れた栗田でしたが、それでも峨王に立ち向かうセナたちの姿に奮起。「護る為の殺意」に目覚めた栗田は峨王と互角のパワー勝負を見せつけ、「大丈夫 もうこれ以上泥門の誰一人壊させない その前に僕が峨王くんを倒すから」と頼もしすぎる言葉も残しました。

●『北斗の拳』の山のフドウ

　優しくて頼れる力持ちキャラとして、『北斗の拳』に登場する南斗五車星のひとり・山のフドウをイメージした方も多いかもしれません。人間離れした大きな体はバットやリンを両肩に乗せて楽々歩けるほどで、戦いにおいてはそのパワーを活かし、並の相手ならば指一本で倒してしまえます。

　実はかつて無法者だったフドウは、鬼のフドウとして若き日のラオウに身動きできないほどの恐怖を与える存在でした。しかし、ユリアとの出会いによって命の尊さを知り、拳を封印。ケンシロウと出会ったときには、世話する孤児たちから優しい父として慕われるほどの人格者となっていたのです。フドウは最期、ラオウの部下が放った巨大な矢によって命を落としてしまいますが、子供たちを守るためにラオウと戦い、退かせる勇姿を見せました。

■死闘になるほど頼りになる男たち

●『ゴールデンカムイ』の牛山辰馬

『ゴールデンカムイ』最強の力持ち・牛山辰馬も、脱獄囚ではありますが気は優しくて力持ちな男のひとりです。柔道家として10年間無敗を誇ったことから「不敗の牛山」と呼ばれるほどの実力者で、稽古によって鍛え上げられた肉体はまさしく牛のような大きさと強さを誇り、目の前に壁や障害物があっても闘牛のような突進力でぶち壊しながら進みます。石垣の下敷きになっても無傷どころか、髪型を整える余裕まで見せました。

　そんな牛山の性格は、抑えの利かない性欲で時に暴走することはあるものの、味方となればこれ以上頼りになる人はいません。第6巻では、滞在していたホテルの爆発によって柱の下敷きになった家永を助け、さらに爆発の炎に対して自分の体を盾にして守る漢気を見せていました（もちろん本人はほぼ無傷）。また、9巻ではヒグマを背負い投げするという、離れ業を披露しています。アシリパ（リは小文字）からは最大限の尊敬を集めており、歴戦の剣士・土方や永倉、主人公・杉元からも一目置かれる存在です。

●『ワンパンマン』のぷりぷりプリズナー

『ワンパンマン』に登場するS級ヒーロー・ぷりぷりプリズナーも、気に入った男をつい襲ってしまう変態ですが、気は優しくて力持ちな人物のひとりです。普段の振る舞いや動きはオネエっぽいものの、いざ戦いとなれば自らが率先して体を張る男らしさを見せてくれます。

　ムキムキに鍛え上げた体で相手と正面から殴り合う肉弾戦を得意とし、若者や可愛い顔をした男子を守る状況ではさらに力を発揮します。ハリネズミのような姿をしたフリーハガーとの戦いでは、相手の体から生えているトゲによって、攻撃すればするほど自分もダメージを負う状況に苦戦しますが「愛を以て痛みを受け入れればいいんだ」という境地に達し、「エンジェル☆ハグ」という相手を抱きしめながら締め倒す技で見事勝利をつかみました。

●『GANTZ』の風大左衛門
　SFバトルマンガ『GANTZ』に登場する風大左衛門も、戦いにおいてこの上なく頼りになる男のひとりです。博多出身の格闘家で、喧嘩最強を求めて上京するほどの好戦的な性格をしています。実際、その実力は達人レベルで、中国武術の八極拳を操り、星人たちとの戦いでも銃を使うことがほぼなく、自らの拳と技で撃破しています。オニ星人の戦いでも周りが動きについていけずに苦戦するなか、風だけが互角に渡り合う場面を見せました。

　そんな風ですが、ぶっきらぼうに見えて仲間とはしっかり協力し、時には率先して守るなど情に厚い男です。また自分を「筋肉ライダー」として慕う男の子・タケシとの出会いにより、喧嘩最強を目指す戦いから誰かを守るための戦いへと心情の変化も見せていました。

（吉原あさお）