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将棋が一般常識になった世界 卒業式の祝辞では人生にも役立つ格言の連発で「面白い」

マグミクス / 2022年7月3日 16時10分

将棋が一般常識になった世界 卒業式の祝辞では人生にも役立つ格言の連発で「面白い」

■将棋用語が分かるとより楽しめる?

 卒業式に、校長先生が卒業生へお祝いの言葉をかけています。しかし、そこは普通とは違う「将棋が義務教育化」した世界。校長先生の言葉にも「居飛車の税金」「硬い穴熊」「玉の早逃げ、八手の得」など、将棋にまつわる用語や格言が盛りだくさんです。生徒たちはそれを聞いて感動するという、一見シュールな光景が繰り広げられています。

 このユニークな発想の作品は、漫画家の杉野アキユキさん(@sugino_akiyuki )がTwitterで公開した創作マンガです。本作のストーリーからも分かるように、杉野アキユキさんは大の将棋好き。これまでに趣味で発表した将棋マンガを1冊にまとめ、Kindle版の電子書籍として自費出版もしています。

 今回の作品には、主に将棋を愛する読者たちから「めちゃくちゃ面白い」「こんな学校に行きたかった」「将棋愛を感じるマンガ」「実社会で必要な格言だと思います」などのコメントが寄せられました。一方で、あまりの専門的な内容と将棋ファンの熱量に「将棋勢にはピンとくる感じなんでしょうか……(笑)」と、微笑ましく感じている読者もいたようです。Twitter投稿には、1500件以上のいいねが集まっています。

 作者の杉野アキユキさんに、お話を聞きました。

ーー杉野アキユキさんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 展示即売会「コミティア」で実施されている企画「出張編集部」にて、新潮社の「コミックバンチ」編集部の現担当さんに出会ったことがきっかけです。「男子高校生が女子生徒の髪の毛を収集する」という、今思うとかなり攻めた読み切りでデビューさせてもらいました。その後、『クイズ!正義の選択』で連載デビューしました。

ーー将棋を好きになったのはいつ頃からでしょうか? また、将棋のどのようなところに魅力を感じていますか?

 ルールを覚えたのは小学生の頃です。2歳上の兄に教わりました。大人になってからは指さなくなりましたが、将棋熱が再燃したのは2年ほど前です。

 連載中、メンタル面が不安定になった時期がありました。原因は、24時間ずっとマンガについて考えてしまうこと。ワンルームに住んでいたので、生活をする部屋と仕事をする部屋を分けることができず、切り替えが難しかったのです。

 そこで気軽にできる息抜きを探しましたが、どれもなかなか没頭できませんでした。紆余曲折を経てアプリで将棋を指してみたら、その時間だけ仕事のことをすっかり忘れられたのです。将棋の魅力は「日常の全てを忘れて夢中になれること」だと感じています。

ーー今回の作品のお話は、どのように生まれましたか?

 もともとは「卒業式のあいさつをやたら将棋にたとえてくる校長」にしようと思っていました。校長が式辞に将棋用語を織り交ぜる内容は変わりありませんが、生徒たちはツッコミ役でした。しかし、描き進めるうちに「この校長なかなか良いこと言うなぁ。こんなに良いこと言ってるのに突っ込まれたらかわいそうだ」と思い、ツッコミ不在の世界観に変更しました。その世界観を成立させるため、「将棋が義務教育化された世界」という設定にしました。

作者が電子書籍で自費出版した『将棋漫画まとめました。』(杉野アキユキさん提供)

ーー将棋に関する格言で、杉野アキユキさんが一番好きなものは何でしょうか? その理由も合わせて教えて下さい。

 ふたつあります。ひとつ目は「へぼ将棋、玉より飛車をかわいがり」です。まるで自分のことを言われているようで好きです(笑)。対局中はいつも脳の片隅に置いています。

 ふたつ目は「桂の高跳び歩の餌食」です。これは将棋だけでなく、日常にも応用できると感じています。言い換えると「調子に乗るな、足元を掬われるぞ」です。仕事や私生活で多少良いことがあっても、一喜一憂せずに地に足つけて謙虚に頑張ろうと思わせてくれる格言です。

ーー作品に対する読者からの反応では、どのような声が特に印象に残っていますか?

「笑いました」という意見はもちろんうれしかったのですが、今回は「泣けました」という意見が多くて驚きました。泣ける話を描いたつもりではなかったので(笑)。でも、このマンガで泣ける人は私なんかよりも遥かに将棋が好きな方でしょうから、少し羨ましかったです。

 毎回、どんな些細な感想でもすごくうれしいです。気軽に反応や感想をもらえるのが、Twitterにマンガを載せる醍醐味だと感じています。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 Twitterでは「描きたいもの」を描いていきたいです。商業誌で連載する場合、商売なので当然ですが、「描きたいもの」より「読者が読みたいもの」を描くことが大切になってきます。しかし、それだけではガスが溜まってしまうこともあります。Twitterでは「描きたいもの」を発表して、ガス抜きができればと考えています。

 同時にTwitterでいただける反応が、私を初心にかえらせてくれています。高校の授業中、ノートに先生の似顔絵を描いていたら、皆が笑いながら回し読みしてくれたことがありました。その時の感覚に近いものがあります。プロになってからしばらく忘れていた「楽しいからマンガを描く」という当たり前のことを、Twitterが思い出させてくれます。これからも楽しく活動を続けていきたいと思っています。

(マグミクス編集部)

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