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映画『バズ・ライトイヤー』の楽しみどころは「ウラシマ効果」 異なる価値観には戸惑いも

マグミクス / 2022年7月3日 7時50分

映画『バズ・ライトイヤー』の楽しみどころは「ウラシマ効果」 異なる価値観には戸惑いも

■トイ・ストーリー」シリーズの最新作

「無限の彼方に!」

 そんな決めゼリフで知られているのは、3DCGアニメ「トイ・ストーリー」シリーズの人気キャラクターであるバズ・ライトイヤーです。

 シリーズ第1作『トイ・ストーリー』(1995年)に登場して以来、カウボーイ人形・ウッディとバズとの固い友情、バズの勇敢さと憎めないずっこけぶりは、ファンを大いに楽しませてくれました。

 ウッディの旅立ちを描いた『トイ・ストーリー4』(2019年)を観て、寂しさを覚えた人も少なくないと思いますが、シリーズ最新作となる『バズ・ライトイヤー』が2022年7月1日より日本でも劇場公開されています。

■「ウラシマ効果」を扱った作品は感動作ぞろい

 本作は「トイ・ストーリー」シリーズの前日談にあたる、スピンオフ作品です。バズがオモチャ化されるきっかけとなった、1本のSF映画『バズ・ライトイヤー』が描かれています。つまり、アンディ少年は、このSF映画を観て感動し、バズのフィギュアが欲しくなったというわけです。

 オモチャのバズのモデルとなったのが、本作の主人公となる「スペースレンジャー」のバズ・ライトイヤーです。バズは有能で、責任感の強い「スペースレンジャー」ですが、自分の力を過信しすぎたために、1200人ものクルーを載せた母船を未知の惑星に不時着させてしまいます。

 同僚である女性レンジャーのアリーシャが見守るなか、バズは小型ロケットに搭乗し、危険なハイパー航行に挑みます。このハイパー航行に成功すれば、母船を地球に戻すことも可能です。

 わずか4分程度のハイパー航行の実験でしたが、この実験を何度も繰り返すバズは、惑星に残って待っているクルーたちとの間に、「ウラシマ効果」と呼ばれる現象が生じることになるのです。

 光速に近いスピードで運動していると時間の進み方が遅くなることを、SF用語では「ウラシマ効果」と呼ばれています。クリストファー・ノーラン監督の実写映画『インターステラー』(2014年)は、この「ウラシマ効果」をモチーフにした父と娘の感動ドラマとなっていました。

 日本でも、有名な SFアニメが早くから製作されています。庵野秀明監督の監督デビュー作となった、『トップをねらえ!』(1988年~89年)です。オリジナルビデオアニメとして低予算で製作された『トップをねらえ!』でしたが、序盤はスポ根アニメのパロディとして笑わせつつ、中盤以降はシリアスモードに。さらに「ウラシマ効果」によって、主人公のノリコとカズミは思いがけないラストシーンに遭遇することになります。

 新海誠監督の劇場デビュー作『ほしのこえ』(2002年)では、遠い宇宙へと旅立ったヒロインと地球に残った少年とがメールでやりとりする際に生じるラグタイムが重要な意味を持つことになります。「時間」をモチーフにしたSF作品には、泣けるものが多いことが分かります。

■中国や中東で上映禁止となった問題シーン

アリーシャと絆を深めるバズだが、地球への帰還を掛けた行動が思わぬ展開に……

 ピクサー&ディズニーの共同製作による『バズ・ライトイヤー』では、バズがほんの数分間のハイパー航行の実験を行う間に、レンジャーに同期入隊したアリーシャは結婚し、家庭を持ち、子供はどんどん大きくなっていきます。その様子を、バズは断片的に垣間見ることになります。アリーシャの幸せを願うのと同時に、どこか寂しげな表情も見せるバズでした。

 アリーシャが結婚相手に選んだパートナーが、バズのような勇猛なヒーロータイプではないところも、新しい時代のSF作品だなぁと感じさせます。

 中国や中東など14か国で『バズ・ライトイヤー』が劇場公開されないのは、アリーシャと結婚相手がキスするシーンが問題になっているからだと報じられていますが、実際のシーンはとてもサラリと描かれています。時間の流れだけでなく、多様化する社会の流れからも取り残されてしまったバズの孤独さを感じさせるシーンではないでしょうか。

 頭では理解できても、感情面ではすぐには受け入れられないことが人間は多々あります。脳と心の間にラグタイムが生じるのも、生きている人間だからだと言えるでしょう。

■世代も価値観も異なる新しいバディ

 序盤だけでも、自分の道を最後まで貫き通そうとするバズの古風な生き方にウルッとさせられるのですが、バズに新しい相棒が現れるところから、本作のメインストーリーが始まります。バズの新しい相棒役に志願するのは、アリーシャの孫娘・イジーでした。

 バズと若いイジーは世代も違えば、不時着した惑星に対する認識も大きく異なります。バズにとっては、あくまでも地球こそが母なる故郷です。みんなを地球に連れ戻すために、バズは危険なハイパー航行実験を繰り返してきたのです。ですが、イジーは不時着した惑星で生まれ育っています。この辺境の惑星こそが、彼女にとっての故郷なのです。

 世代も物事の価値観も異なれば、レンジャーとしての経験値も異なります。そんなバズとイジーは、はたしてバディとしてうまく機能するのか。本作のいちばんの見どころです。

 また、ネコ型ロボットのソックスが、見た目と違って意外なほどに大活躍し、バズたちを襲う巨大ロボットは『トイ・ストーリー2』(1999年)でおなじみのバズの宿敵「ザーグ」そっくり。多くの見どころが用意されています。

「無限の彼方に!」

 バズの決めゼリフがかっこいい本作を観た後は、アンディ少年のようにバズのフィギュアが欲しくなってしまうかもしれません。

●『バズ・ライトイヤー』
監督/アンガス・マクレーン
キャスト/クリス・エヴァンス(鈴木亮平)、キキ・パーマー(今田美桜)、ピーター・ソーン(山内健司)、タイカ・ワイティティ(三木眞一郎)、デイル・ソウルズ(磯辺万沙子)、ジェームズ・ブローリン(銀河万丈)、メアリー・マクドナルド=ルイス(沢城みゆき)、ウゾ・アドゥーバ(りょう)

配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン 7月1日より全国劇場公開中

(C)2022 Disney /Pixar. All Rights Reserved.

(長野辰次)

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