棄てられた?いくつもの病気を抱えたミニチュアダックス 手術乗り越え愛情注がれ甘えん坊に変身 「がんばったあなたにきっとご縁があるよ」
まいどなニュース / 2024年5月23日 15時30分
2023年11月、寒空の下、愛知県内を彷徨っていたオスのミニチュアダックスフントがいました。長期にわたるのでしょうか、体はボロボロ。自慢の毛はところどころ禿げており、左目が白濁していました。
警察が保護しましたが、一週間経過しても飼い主の名乗りはなく、愛知県動物愛護センターへと収容されることになりました。センターでも一定期間、飼い主の名乗りはなく、意図的に棄てられた可能性をうかがえました。
ネグレクトの末に持病が進み、さらに棄てた可能性
衰弱しているこのワンコを放っておくわけにはいきません。愛知県を拠点に行き場を失ったワンコの保護活動を行うSORA小さな命を救う会では、このワンコを引き出し「クラッカーくん」と名付けました。
動物病院へ連れていくと、会陰ヘルニアと鼠径ヘルニアとの診断。歯の状態も悪く、白濁していいる左目は水晶体脱臼の疑いもありました。これほどの健康不良のすべてが棄てられた後に起こったとは到底考えにくく、おそらく飼い主はクラッカーくんの満足な世話をせず、かなり体調が悪くなったところで棄てたようにも思われました。
強い憤りと悲しみを覚えるスタッフでしたが、まずはクラッカーくんが健康を取り戻してくれることが最優先です。獣医師に迷わず手術を依頼しました。
預かりボラさんの前で笑顔を見せてくれた
保護されたその月に、次々と手術に臨んだクラッカーくん。衰弱した体と不安の中で、手術を乗り越えたことをスタッフは大いに褒め、提携の預かりボランティアさんの家で回復に努めることになりました。動物愛護センターでは「攻撃性やフードアグレッシブが見られる」と聞いていましたが、預かりボランティアさんの家ではその素振りは見せませんでした。動物愛護センターでの行為は、おそらく自分の命を必死に守ってのことだったのでしょう。
それと思うと胸が苦しくなるスタッフでしたが、何よりうれしかったのは預かりボランティアさんのたっぷりの愛情を受け、クラッカーくんが尻尾を振ってくれるようになったこと。スタッフは「これまでいっぱい辛くて怖い思いをしたけど、よくがんばったね。もう大丈夫だからね。これからは安心して過ごして、今度こそのお家を一緒に見つけようね」とクラッカーくんに声をかけてあげました。
「本当の幸せはもうすぐ」
クラッカーくんは保護から約半年の預かりボランティアさんのお世話を受け、心身ともに元気になり、超がつくほどの甘えん坊ぶりを発揮するようになりました。食べ物には目がなく、エサの匂いや音がすると、「ちょうだいよー!」と寄ってきて、体をすり寄せて甘えます。
散歩も大好きで、外に出かければ終始元気いっぱいでチョコチョコと歩きまわります。トイレだけはまだ苦手ですが、そんな元気なクラッカーくんの姿を見て預かりスタッフさんは目を細めながら、こう語りかけました。
「クラッカーくん、うちに来てくれてありがとうね。本当の幸せはもうすぐ。きっと近い将来、今以上に甘えさせてくれる里親さんとの縁があるはずだから、それまでの間、一緒に楽しく過ごそうね」
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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