薬局で「ジェネリックに変更しますか?」どう答えるのが正解?→「知らなきゃ損する」「2024年10月からは注意」
まいどなニュース / 2024年5月29日 7時25分
「薬局がジェネリック医薬品を勧めてくる驚きの理由」というX(旧Twitter)への動画投稿が話題となっています。投稿主は、薬局で繰り広げられるさまざまな出来事をわかりやすく、面白く解説してくれることで人気の薬剤師・中野昇さん(@sho_molth)。
「なぜいつも聞かれるのか不思議でした!納得!!有り難いです」
「お金儲けで言ってるのかと思っていました」
納得したというコメントに加えて
「病院のロビーで流したい」
「国策なんですよねえ.知られてませんが」
「もっと浸透してほしい」
同業の薬剤師や医療関係の方からもコメントが寄せられました。その投稿は次のような内容でした。
薬局でジェネリック医薬品をすすめられるのはナゼ!?
薬局のジェネリック薬品(後発品)についてのやりとりを動画にした以下の投稿。
「(中野さん)ジェネリック医薬品に変更できるものって、変更してもいいですかね?」
「(患者さん)なんで薬局って、ジェネリックいつも聞いてくるんですかぁ?」
「(患者さん)薬局が儲かるからですか?」
毎度聞かれる「ジェネリック」のフレーズに、ちょっとイラッとしているかのような女性の返答が入ります。でもこうした疑問を心の中で思っている人も多いのではないでしょうか?!
「(中野さん)やっと聞いてくれましたね…」
待ってましたとばかりに、満面の笑みでジェネリック医薬品の現実について語り出す中野さん。どれだけ心待ちにしていたんだ、嬉しそうです。
「(中野さん)ジェネリック医薬品を推奨しているのは、薬局ではなく国の方針」
「(中野さん)日本の薬剤費は年々膨らんでいて10兆円くらいあるんですけど……」
と動画は続きます。
増え続ける日本の医療費を少しでも減らすため、国は先行品より安いジェネリック医薬品をできるだけ多くの人に利用してもらうよう、薬局に働きかけているといいます。とはいっても、どんな薬もジェネリック医薬品に変えられるわけではないらしく、ジェネリック医薬品に変更しない方が良い場合には、処方箋に医師からの指示が書かれているそうです。
動画へのコメントにも、
「物によっては後発品が合わない(その逆も)ことがあるので、その辺をしっかり相談できる薬局や薬剤師さんだとありがたいですね。子どもの薬でそのようなことがあり、薬剤師さんに薬を変えてもらった経験があります」
「ジェネリックはメーカー変えても薬疹が出るので怖くてほぼ使えません。お医者様からも『先発で貰ってください』と言われ、AG(オーソライズド・ジェネリック)があるものはAGでお願いしてます」
などと、ジェネリック医薬品が使用できない人たちからのコメントも見受けられました。動画についてはもちろん、さらに深まる疑問も合わせて、中野さんにお伺いました。
ジェネリック医薬品はなぜ安価? 成分は先発品と同じ?
さまざまな疑問に回答
ーージェネリック医薬品への変更は国の意向とのことですが、どれぐらいの割合の薬がジェネリック対応できているんでしょうか?
「現時点で約80パーセントと言われています」
ーーなぜジェネリック医薬品の方が、先に作られた薬より安価なんでしょうか?
「医薬品を新しく開発する際、実は相当なコストがかかります。先発品がジェネリックより高いのはその開発費のためです。しかし、初めて開発した企業は特許を取得することで、その薬を独占的に販売できる期間が設定されます。
その独占期間が終了した後、同じ有効成分を使った薬を他社が製造し販売することが可能になります。それがいわゆるジェネリック医薬品(後発品)と呼ばれる薬です。後発品は先発品と比較して試験なども少なく開発費用がかからないため、安価に供給することができるのです」
ーーなるほど!だからジェネリック医薬品を使うと医療費が下げられるということなんですね。ところで、先発薬とジェネリック医薬品は全く同じなんですか?
「厳密にいうと全く同じ薬ではないです。添加物や製造過程が違うため、人によっては効き目に差を感じたり使用感の違いを抱く場合も。僕が担当した患者さんの中にも少数ですが、ジェネリック医薬品に切り替えて、効果の差を感じた人はおられます。副作用に関しては、効果の差を感じる人以上に少ないように思いますね」
2024年10月からは要注意!ジェネリック医薬品に変えた方がいい場合も
ーーだからコメントにも、ジェネリック医薬品が体に合わないという意見があったんですね。そんな時は先発品でお願いすることはできますか?
「もちろん対応できます。ただ、2024年10月から医療上の妥当性がない場合は、先発品の自己負担費用が増えることになったので注意が必要です。厚生労働省が2024年3月に発出した通知『長期収載品の処方等又は調剤について』(※1)にて、『同じ成分、効能効果で価格の安い後発品を使用できるにもかかわらず、あえて高額な長期収載品(先発品)を選択する患者には、特別負担をしてもらう』という点が明確にされました。しかし、医師の指示で先発品指定がある場合や、供給が不足しているものは対応できないですが」
ーーそういえば、コロナの薬が今、費用が高いと話題です。1錠2000円と言ってる人もいましたが……後発品ができる可能性はありますか?
「コロナの薬は今先発品のみなので価格が高くなっています。コロナが継続的に続き、患者数として一定規模ある場合は、今後ジェネリック医薬品が出る可能性はあるかもしれないですね」
ーーほかにも知っておきたい、ジェネリック医薬品の話題はありますか?
「先ほど、ジェネリック医薬品が合わないから嫌だという人のコメントが出てるとおっしゃっていましたが、AG(オーソライズド・ジェネリック)というものも知っておいて欲しいですね。これは添加物や製造法も先発品と同じジェネリック医薬品で、意外と知られていないと思います。実は採用している薬局さんも多く、知らずに処方されている場合がほとんどだと思います。なので、ジェネリック医薬品をむやみに怖がらず、適切な知識を持って判断してください」
中野さんのコメントからも、薬局では薬剤師の方たちが、できるだけ低価格で症状に合う薬を適切に出せているか、しっかりと確認してくれていることが伺えます。
だから「ジェネリック医薬品に変えてもいいですか」という質問は、ある意味気遣いだと心得たいですね!
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)
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