睡眠障害を発症し働けず、生活保護に→保護猫カフェのボランティアで「自分を必要としてくれる場所を見つけた」
まいどなニュース / 2024年5月27日 11時50分
夫婦で運営する2階建てバスの保護猫カフェ「ひだまり号」(名古屋市西区、オーナー祖父江吉修さん)で、保護猫のお世話をするボランティアスタッフの反中啓人(たんなか・ひろひと)さん(38歳)。実は20代の頃から「ナルコレプシー1型」という病と闘っています。
睡眠障害の一種であるナルコレプシーは、日中に過度な眠気を伴い、脱力発作などを引き起こす病気です。日本人は600人に1人がナルコレプシーの患者であるともいわれています。そんな病を持ちながら社会復帰を目指したいという反中さん。病気のことや保護猫カフェで活動を始めるきっかけなど、お話を聞きました。
21歳の時にアルバイト先で倒れた 半年後に「ナルコレプシー1型」と診断
――日中の過剰な眠気や突然眠り込む“情動脱力発作”を起こすという「ナルコレプシー1型」。病気に気付いたのは。
「飲食店のアルバイトをしていた21歳の時です。閉店作業に入っていて、バイト仲間と話しながら作業をしていた時に急に足が崩れ落ちてしまって。金縛りにみたいな感じになり、突然体が動かなくなったんです。『大丈夫?』『どうした?』という周りの声は聞こえていました…2、3分間くらいうずくまっていましたが、そのまま立ち上がりその後は何事もなかったように動けました」
――病院には?
「翌日病院へ行きました。当時レントゲンを取っても全く異常がなく、病名が分かりませんでした。初めて倒れた後も何度も同じように崩れ落ちて倒れたので、数件以上病院を回りましたが、分からなくて。病名が分かるまで半年かかりました」
――半年後に病名が分かったのですね。
「どうしたらいいのかと思いまして、症状からいろいろ調べてみました。夜眠れないとか、日中に眠くなるということが頻繁に起きていたこともあり、睡眠専門の病院に行けば分かるかもしれないと思って睡眠障害などの専門医がいる病院に足を運んだんです。そこでナルコレプシー1型だと判明。ただ根本的な治療がないようで、薬を飲めば完治する病気ではないことを知りました。原因不明で突然発症する病だとのこと。周りに同じ病気の人がいなくて、周りと同じ生活をしていてなぜ僕だけがこんな病気になるんだと、自暴自棄になりました」
――お仕事に支障は。
「薬を飲んでいても仕事中に発作を起こして支障が出てきてしまい、転職を繰り返しました。努力しても治らない…この病気に一生付き合うしかないという覚悟で働き続けたんです。選ばなければいろいろな職場があって、いつか自分の病気を理解してくれるところがあるはずだと信じて働きました。でも、ついに3年ほど前、精神的にも肉体的にも限界を感じて働くことを中断し、生活保護を受けることに」
根本的な治療がない睡眠障害 仕事を辞めて保護猫カフェと出会った
――お仕事を辞めた後、保護猫カフェ「ひだまり号」に出会ったそうですね。
「はい。生活保護を受けてから1、2カ月は心がもやもやしていました。何となくYouTubeを見ていた時に、保護猫活動をしている人たちの動画がたまたま目に入ったんです。一人暮らしをしていた頃に猫を飼っていたこともあり、ふと保護猫に興味を持って。近くに保護猫活動ができるところがないかなとインターネットで調べたところ、ひだまり号のホームページを見つけました。すぐに電話をし、ボランティアスタッフとして猫たちのお世話をすることになったんです」
――「ひだまり号」で活動を始めてみて、いかがでしたか?
「マスター(祖父江吉修さん)もママさん(昌子さん)も自分の病気のことを理解していただいて受け入れてくれたことが何よりもうれしかったです。猫たちも懐いてくれて…子猫がカフェに入った時には、ミルクをあげたりしました。ミルクを飲む姿がとても愛おしくて。また野良猫ちゃんが入った際には初めはシャーシャーしていたのですが、徐々に懐いてスリスリしながら甘えてくれるようになったりしてたまりませんでした。こうして僕がお世話をした猫たちに里親さんが見つかり、幸せになってくれる時が僕にとってもこの上ない喜びです。カフェでの活動はやりがいを感じ、ようやく自分を必要としてくれる場所を見つけたと思いましたね」
――今後の抱負は。
「実はひだまり号のご縁がきっかけで、6月から障害を持つ方々に就労の機会や生産活動の場を提供する『就労継続支援B型作業所』で社員として働くことになりました。ついに社会復帰ができるようになります。もちろんひだまり号でのボランティアも続けながら働くつもりです。
僕のような治らない病気になって諦めて引きこもってしまう方も多いかもしれませんが、自分を信じて行動することで未来が開けるとあらためて思いました。行動をすれば今自分に必要なものに出会えます。それが僕にとってひだまり号でした。病気と向き合いながら希望を持って行動した結果、僕にはこうして社会復帰のチャンスが巡ってきたんです。同じ病気で悩んでいる方も、最後まで諦めないで動いてみてください」
◇ ◇
「ひだまり号」では、保護猫たちの里親さんを募集しています。実際に「ひだまり号」に来店し、猫と触れ合って決めていただきたいとのこと。詳細は電話にて。
▽保護猫カフェ「ひだまり号」
愛知県名古屋市西区香呑町(こうのみちょう)3-74
電話:052-522-6295
営業時間:11:30~20:00(最終入店:19:00)
定休日:毎週水曜日、木曜日
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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