「たこ焼きにキャベツ」はあり？なし？…関西人夫婦が思わぬ大バトル “同じ文化”のはずが…家庭の味をめぐる意外な真相

たこ焼きには地域によってキャベツを入れる場合があります　※画像はイメージです（naka/stock.adobe.com）

京都出身のAさんには、大阪出身の奥さんがいます。結婚する前は同じ関西地方出身のため、文化の違いなどで喧嘩になるようなことはないだろうと考えていた2人でした。しかし、結婚してすぐに「たこ焼き」をきっかけに口論することになりました。

ある日、家でたこ焼きを作ろうとしたAさん夫婦は、材料を買うためにスーパーに出かけます。奥さんが、たこ焼き粉や具材の蛸を買い物かごに入れていると、突然Aさんがキャベツも買い物かごに入れました。奥さんは「お好み焼きじゃないからキャベツは要らないんじゃない？」と言うと、Aさんは「たこ焼きにもキャベツは入れるよ」と当たり前のように答えます。

この会話をきっかけに、Aさん夫婦は「たこ焼きにキャベツを入れるか入れないか」をめぐって、スーパーで大バトルを繰り広げてしまいました。そして結局自宅で、キャベツ入りたこ焼きとキャベツなしたこ焼きの食べ比べをすることになりました。

実際にたこ焼きにキャベツを入れることは珍しいのでしょうか。大阪で飲食店のコンサルをされているオフィスわんさかの木村美季さんに聞きました。

ーー京都出身のAさんはたこ焼きにキャベツを入れるそうですが、はたして一般的なことなのでしょうか

店舗で提供するたこ焼きとしては珍しいですね。

私自身も大阪のたこ焼き屋で働いていましたが、キャベツ入りのたこ焼きは初めて耳にしました。また大阪生まれ大阪育ちの料理人にも聞きましたが、「初めて聞いた！」という反応です。

しかし、そのほかの都道府県出身の人に話を聞いてみたところ、家で作るたこ焼きには必ずキャベツを入れているという証言も得ています。つまりキャベツ入りたこ焼きは、家庭で作るたこ焼きならではのトッピングであり、特定の地域で愛される珍しいものだと分かりました。

またキャベツ入りたこ焼きを提供している店舗があるのか、大阪と京都に範囲を絞ってグルメ・レストラン予約サイトで調査しました。その結果、京都府にある7件のお店でキャベツ入りのたこ焼きを提供しており、店舗数は少ないもののキャベツ入りたこ焼きが味わえるたこ焼き屋があることも分かったのです。

ちなみに、おたふくソース株式会社の公式サイトに掲載されているたこ焼きのレシピには「キャベツはお好みで入れてください」と書いてありました。

ーーキャベツ入りたこ焼きとキャベツなしたこ焼きの味の差は大きいのでしょうか

私も実際に食べたことがなかったため、この機会に食べてみようと考え、キャベツ入りたこ焼きを40年以上作り続けているお店に伺いました。ひとつ口にすると、十分に火が通っているはずのキャベツが、シャキシャキとしていて驚きました。非常においしくいただきましたが、「キャベツなし」が当たり前になっている大阪人からすれば、「お好み焼きボールやん！」とツッコミを入れてしまうかもしれませんね（笑）。

ーーほかに変わった具材を入れるお店はご存知でしょうか

キムチや納豆を入れているたこ焼きを提供しているお店に行ったことはあります。

ただ、たこ焼き店全体の傾向として、作り置きをしていることが多いため、中の具材ではなくチーズをかけたり、明石焼きのように出汁にくぐらせるようにしたりと、トッピングで工夫をしている店が多いです。

私もコンサルとして飲食店に関わっており、たこ焼きはトッピングの種類や見た目の盛り付け・生地などで驚くことはあっても「たこ焼き本体で」驚かされることはほとんどありません。「キャベツ入りたこ焼き」という世界を知り、たこ焼きの奥深さを感じています。ますますたこ焼きにハマってしまいました。

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筆者も「キャベツ入りたこ焼き」について調査をしてみたところ、京都以外にも愛知県や滋賀県でもキャベツを入れるという情報を目にしました。さまざまなアレンジができるというのもたこ焼きの魅力でしょう。

◆木村美季（きむら・みき）愛嬌接客専門家　20歳の時「生ビールを知らないど素人」からスタートし、看板娘→女将→経営者→コンサル・講演・研修講師の道を更新中。大好物のたこ焼きを販売しながら飲食店を中心にサービス業で働く方々に「リピートされる接客術」を伝授。元吉本新喜劇女優。

（まいどなニュース特約・長澤 芳子）