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センターの大部屋で他の犬の「踏み台」に 控えめ性格のミックス犬 預かりボランティアに心を開いて甘えん坊に 第2の犬生に向けて山形へ

まいどなニュース / 2024年7月19日 17時30分

小柄で控えめで優しい性格から他のワンコにいつも押され気味に過ごしていたメスのミックス犬・茱

茨城県動物指導センターでは、いくつかの区画に分けて行き場を失った犬猫を収容しています。この中に通称「大部屋」と呼ばれる区画があり、この中には常時20匹前後のワンコがおり、職員が近くを通ったり部屋の中に入ると恐怖におののいたワンコたちが重なって団子のようになってしまうことがしばしばあります。

そんなワンコたちの中で、小柄で控えめな性格のためいつも「踏み台」にされてしまい、一番下で息を潜めて暮らしていたワンコがいました。推定5〜6歳のメスのミックス犬の茱(ぐみ)というワンコです。

他のワンコを優先させ自分はじっと我慢

野犬だった茱は、人間と同じ空間で過ごすことになったのはセンターが初めて。大部屋にいる他のワンコ同様、人間が怖くてたまらないはずですが、それでも他のワンコを優先させ、じっと我慢していました。

そんな控えめなところに注目したのが保護団体・Delacroix Dog Ranchでした。「こんなに優しい性格なら、きっと『家庭犬』としての第二の犬生を歩んでいけるはず」と後に引き出すことにしました。

控えめながら甘えたり遊ぶ様子も見せ始めた

茱はすぐに預かりボランティアさんの家に迎え入れられました。耳を伏せ、警戒心を抱くような表情ながらも、センターにいた頃と同様に唸ったり噛みつくような素ぶりは見せず、やはり穏やかで優しい性格に映りました。

お風呂でのシャワーやシャンプーもすんなり受け入れてくれ、この日は身を小さく丸めながら静かに就寝。

翌日以降、予期せぬ大きな音などに戸惑いパニックになってしまうこともありましたが、預かりボランティアさんのたっぷりの愛情を感じ少しずつ心を開き、センターにいた頃とはまるで違うリラックスした表情を浮かべてくれるようになりました。

何よりうれしいのが、控えめだった茱が人間に甘えたり、おもちゃで遊んでくれるようになったこと。「オヤツもっとちょうだい」と預かりボランティアさんの近くにやって来たり、ボールで楽しく遊ぶ姿を見ると顔がほころんでしまいます。

リードをつけての散歩もマスター。リードを見ると「散歩なんですね!」と笑顔を浮かべ、うれしそうにテクテク歩くようになりました。

山形の優しい里親さん夫婦の元に巣立っていった

この家にいる少々クセのある先住犬とのコミュニケーションもバッチリ。そして、うれしい知らせも。里親募集開始からほどなくして「迎え入れたい」という山形県に住む優しい里親希望の夫婦からのお呼びがかかりました。

まずは一定期間のトライアル。里親希望者さんはこの家にいる先住猫2匹と茱の双方にできるだけの配慮しお互いが良きパートナーになれることを目指しました。

この優しい里親さんの思いを受け、よりリラックスして過ごせるようになった茱は、この家が本当の「ずっとのお家」に決まりました。

ずっと茱に寄り添い世話し続けた預かりボランティアさんも大喜びです。

「過去の茱には本当にいろいろあったと思うけど、そんなこと忘れるくらい優しくしてもらい、かわいがってもらえて本当に良かったね。いつか山形に遊びに行くね」と巣立っていく茱に声をかけ、幸せいっぱいの第二の犬生を祝福しました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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