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娘の不登校がきっかけ 猫と過ごせるフリースクール開校 保護猫活動で笑顔と自信を取り戻す子どもたち

まいどなニュース / 2024年6月16日 16時30分

「フリースクールゆきレオ」は、居場所を求める子どもが猫と一緒に過ごせる場所(福本さんより提供)

学校に行けなくなった時や、学校以外の居場所を探しているけれど人が苦手で悩んでいる子に来てほしい――。大阪府河内長野市にあるNPO法人「フリースクールゆきレオ&保護猫施設ゆきレオ保育園」の代表・福本亜弥さんは、そう話す。

「フリースクールゆきレオ」は、居場所を求める子どもが猫と一緒に過ごせる場所。スクール内には現在、13匹の猫たちがおり、心優しい里親との出会いを待っている。

我が子の不登校を機に猫と過ごせるフリースクールを開校

亜弥さんがフリースクールを立ち上げたきっかけは、我が子が2人とも不登校になったことだった。当時、小学4年生だった娘の凛さんは不登校になってから元気がなくなり、笑顔が減った。

そんな中、興味を持ったのが保護猫活動。

「野良猫は思っていたより多かった。捕まりにくい子もいて捕獲には時間がかかり、大変でした」(凛さん)

家族のサポートを受けつつ、保護猫活動をするうちに凛さんには変化が。人前や譲渡会で話すことができるようになったのだ。

その姿を嬉しく思うと同時に、不登校の子やその親と知り合う機会が増えた亜弥さんは家庭以外の居場所を求める子どもたちが安心して過ごせる場所を作りたいと思うようになった。

「もともと動物が好きで動物看護士の経験もあり、アニマルセラピーにも興味があったので、娘が保護した猫たちと不登校の子どもたちが一緒に過ごせるフリースクールを立ち上げようと決意しました」

猫がいるフリースクールならではの「アニマルセラピー効果」

維持費を考慮し、フリースクールは自宅の2部屋を改装して開くことに。改装費にはクラウドファンディングで集まった資金と自身が銀行で借りたお金を費やした。

また、亜弥さんは自分たちの活動を法人化。それは、亜弥さん親子なりの誠意の表し方だった。

「娘の保護活動に対して支援をしてもらうこともあったので、法人化しようと思いました。人からお金を貰うのは責任があることだと思うので、信用してもらえるような形にしたくて」

こうして2023年5月、NPO法人「フリースクールゆきレオ&保護猫施設ユキレオ保育園」を設立。フリースクールの運営をする中で、亜弥さんは猫がもたらすアニマルセラピーのすごさに驚いた。

初対面の時には全く話さず、無表情だった子が猫との交流を通して、よく笑うようになったり、親御さんから「子どもが以前のように明るくなってきた」と言われたりしたのだ。

「私もそうだったけれど、我が子が学校に行けなくなった時、親はまず学校以外の居場所を探すんです。でも、子どもは興味がないと行きたくない。だから、一歩踏み出せないこともあるのですが、うちは猫がいるから子ども側から『行きたい』と言ってくれるケースが多いんです」

現在、フリースクールの在籍人数は8人。毎日4組を定員としているが、気分や体調により、当日来られなくなっても構わないと亜弥さんは話す。

スクール内で子どもたちは保護猫活動に参加したり、猫のお世話をしたりとアクティブに活動。時には自分たちで企画し、猫カフェイベントを開催することもある。

「子どもたちは画像制作アプリを使って譲渡用のポップを作ったり、動画を作ったりもしています。猫カフェイベントの時は内容や営業時間、サービス料なども自分たちで話し合って決めていました」

なお、フリースクールには凛さんも時折、顔を出すそう。同い年の子と交流する中で、凛さんは他の子と意見が違っても、自分の意志を伝えられるようになってきた。

「ゆくゆくは、子どもたちが主体の団体やフリースクールになってほしい。それが私の夢です」

中1の少女が保護猫活動の末に辿り着いた“将来の夢”

フリースクールという居場所を作りながら、家族で保護猫問題に取り組んでいる福本さん一家。これまでに救った猫は143匹。現在、施設で暮らす13匹以外は、すべて里親に繋げてきた。

譲渡率の高さには、SNSやウェブメディアなどで積極的に猫の魅力を発信していることが大きく関係している。

インスタグラムには、その子ならではの生い立ちやストーリーが分かりやすくまとめられており、見る人の心を掴む。

そんな風に365日、猫の命と向き合っているからこそ、凛さんには憤りを感じることがある。それは保護猫活動に関する行政の支援がないことだ。

亜弥さんいわく、凛さんはクリスマスプレゼントやお年玉を貰わず、子どもながら私財のすべてを保護猫活動に費やしているそう。そんな子どものまっすぐな想いを知っているからこそ、亜弥さんも動物後進国な現状に歯がゆさを感じている。

「今の目標は、今年中に来年度の保護猫カレンダーを作ることです。売り上げは保護猫活動費に回します」(凛さん)

そう語る凛さんは、とにかく猫ファースト。猫にかかるストレスを考慮し、今後は譲渡会ではなく、自宅である保護猫施設に直接来てもらい、譲渡を進めていきたいと考えている。

将来は、白血病や猫エイズの猫も受け入れられるほど施設を大きくしたい――。そんな決意を話してくれた凛さんの姿は、とても頼もしく見えた。

自分以外の命を大切に思うことで、自分を大事にできることもある。「フリースクールゆきレオ」は、そんな気づきも授けてくれるサードプレイスだ。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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