「途中下車」という言葉がいずれ死語に?JR「東京近郊区間」が来春には長野まで広がる不思議
まいどなニュース / 2024年7月1日 20時30分
JRには大都市の近郊区間というエリアがあります。普段の生活で、まったく影響がないと思われる近郊区間ですが、旅行の際は役に立つ知識になるかもしれません。まったく、と言っていいほど知られていない、大都市近郊区間のルールを見ていきましょう。
東京、仙台、新潟、大阪、福岡にある近郊区間
近郊区間は、東京、仙台、新潟、大阪、福岡に設定されています。問題はそれぞれのエリアの大きさです。たとえば、新潟近郊区間は東は村上、西は直江津、南は小千谷、五泉となり、新潟県内におさまっています。
一方、東京近郊区間は松本まで広がっており、もはや東京の枠を突き破っているように感じます。6月22日付の「のりものニュース」によると、2025年春に東京近郊区間が長野駅、穂高駅まで拡大する予定です。
近郊区間内は有効期間1日のみ
近郊区間は、きっぷの有効期間と途中下車の扱いがポイントです。まずは、片道きっぷの有効期間から。JRでは営業キロ100キロまでは、有効期間1日、101キロ以上は200キロまでが2日。以降は200キロごとに、1日追加されます。たとえば500キロだと、有効期間は4日です。
しかし近郊区間内のみの利用は、どれだけ営業キロが長くても、有効期間は1日です。たとえば、相生から米原までの営業キロは219キロ。本来のきっぷの有効期間は3日ですが、両駅ともに大阪近郊区間に属するため、有効期間は1日です。
反対に考えれば、大阪近郊区間に属さない駅まで買えば、有効期間は延びる、ということです。米原駅の隣駅にあたる醒ヶ井駅は、大阪近郊区間に属さないため、相生から醒ヶ井までのきっぷの有効期限は、3日となります。
近郊区間は途中下車はできない
次に途中下車です。途中下車は後戻りしない、ことを条件に、きっぷの有効期間内であれば、何回でも下車できます。ただし、すべてのきっぷが、途中下車できるわけではありません。
まず、営業キロ100キロまでの片道普通乗車券ですと、途中下車はできません。
次に近郊区間内のみの利用では、途中下車はできません。そして、近郊区間とは別に設定されている、特定の都区市内ゾーン内を発着する乗車券は、それぞれの同じゾーン内の駅では途中下車できません。
都区市内ゾーンは東京、大阪などの11都市内に設定されています。近郊区間と重なっている駅もあれば、重なっていない駅もあります。この都区市内ゾーンも、いろいろと調べると、おもしろいのですが。
話を途中下車に戻しましょう。たとえば、都区市内ゾーンの東京都区内から大阪市内までの乗車券(東海道本線経由)ですと、それぞれのゾーン、すなわち東京都区内、大阪市内に属する駅では、途中下車できません。反対にいうと、圏外にあたる川崎~吹田間であれば、後戻りしない限り、何回でも途中下車できます。
2025年春に東京近郊区間が拡大しますが、今後も近郊区間は拡大するものと、考えられます。先ほど紹介した近郊区間のルールは、交通系ICカードと相性がいいからです。なぜなら、交通系ICカードは途中下車を前提としていない、からです。
ひょっとしたら、近郊区間の拡大にともない、「途中下車」という言葉自体が死語になるのかもしれません。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)
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