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本屋で気になるページを、スマホでパシャパシャ撮影…「デジタル万引き」って犯罪じゃないの?【弁護士が解説】

まいどなニュース / 2024年7月9日 7時5分

窃盗罪にならない?デジタル万引きに困る書店が増加しています ※画像はイメージです(zephyr_p/stock.adobe.com)

カメラ付きの携帯電話やスマートフォンが普及し、簡単に写真撮影ができるようになった現代。書店やコンビニで陳列されている書籍を手に取り、中身を撮影する「デジタル万引き」といわれる行為が問題になっています。

本好きのAさんが、いつものように会社帰りに書店に寄ったところ、ファッション雑誌のコーナーで怪しげな行動をする人がいたそうです。その人は、置いてあるファッション雑誌を手に取り、次から次へと気に入ったページの写真を持っていたスマホで撮影していました。

Aさんは店員さんに急いで伝えにいったのですが、撮影していた人は満足したのかそそくさと店を後にしていました。店員さんから話を聞くと、「デジタル万引き」をする人は何人かいるものの、店としてどう対処していいかわからないと嘆いていました。「デジタル万引き」は窃盗罪などの罪にならないのでしょうか。「まこと法律事務所」の北村真一さんに話を伺いました。

店側は泣き寝入りするしかないのか

―書店やコンビニで書籍を撮影するのは罪になるのでしょうか?

刑事責任を追及するのはかなりハードルが高いです。まず『万引き』の言葉のとおり、『窃盗罪に問われるのでは』と考える人もいると思いますが、窃盗罪は『他人の財物を窃取』することが構成要件なのです。今回のケースでは、書籍の情報を盗んでいると考えられますが、情報は物とは考えられないため窃盗罪の対象にはなりません。

―では、著作権の侵害は問われないのでしょうか?

著作権の侵害を問うことも困難です。写真を撮る行為は著作物の複製にあたるため、著作権者が保有する『複製権』を侵害していると考えられます。しかし、著作権法は『私的利用のための複製』であれば、複製権の侵害にはあたらないと定めています。撮影した写真を公開したり人に配布したりすれば、複製権の侵害を訴えることができますが、自分用に撮影しているだけであれば侵害しているとはいえないでしょう。

―ほかに考えられる刑事罰はありませんか?

その客が写真を撮影するためにやってきたということであれば、書店やコンビニ側が入店を許可する範囲を超えているとして、建造物侵入罪で訴えることも考えられます。ただしこの場合は、入店時に撮影目的であったと立証する必要があるので、実際に警察を頼るのは難しいと思われます。

―店側は泣き寝入りするしかないのでしょうか?

刑事罰に問うのは難しいですが、民事上の不法行為として訴えることは可能です。書店やコンビニの営業権を妨げている行為なので、損害賠償請求をすることができるでしょう。また、書籍や雑誌の大半を撮影して読んでいるということであれば、著作権者が損害賠償請求することも可能です。

―店側がすぐにできる対策はありますか?

書籍や雑誌の写真撮影を禁止するという掲示物を貼っておくといいでしょう。掲示していないと損害賠償請求ができないわけではありませんが、客に対する警告になるからです。それでも辞めない客に対しては出入り禁止を通告し、通告を破って入店してきた場合には建造物侵入罪で刑事告発ができます。

いずれにせよ、最終的には刑事告発も不可能ではないと知って、毅然とした態度で悪質な客に対応することが重要です。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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