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出会いは19歳 電車の中で連絡先を交換 尾野真千子が映画「DitO」のオファーを即決した理由 「友達や恋人を通り越して身内のよう。腐れ縁ね」

まいどなニュース / 2024年7月21日 11時0分

同志との初共演を果たした、尾野真千子(C)DitO製作委員会Photo by Jumpei Tainaka

日本とフィリピン合作の映画「DitO」(7月26日公開)に出演する尾野真千子(42)。監督・主演の結城貴史(48)との縁は20年以上にわたる。

出会いは19歳の腐れ縁

フィリピンで再起を図るボクサーの神山(結城)の妻を演じた尾野は、取材の冒頭「答えることもなくてさ、どうしようかな…」ととぼけた。確かに尾野の出演場面は回想シーンのみでそれほど多くはない。しかし神山と一人娘・桃子(田辺桃子)をつなぎ止める心のよりどころとして強い印象を残す。

照れてとぼけたくなる気持ちもわかる。結城とは関係が深すぎるから。「出会いは20年以上前。当時私は19歳で、とあるCMオーディションで二次面接まで受かった人たちの中に結城がいてね。偶然みんなと帰りの電車が一緒になって連絡先を交換して、唯一今でもずっと交友が続いているのが結城。もはや腐れ縁だね」と笑う。

オファーにホッとする

芝居で飯を食っていくという夢を共有する同志として出会った二人だが、共演する機会はこれまで一度もなかった。そんな中で結城から直接届いた今回の出演オファー。

「出会いからしばらくして結城は制作会社を立ち上げたりして、俳優ではない方面でも活躍していました。ある時『俺の主演・監督で映画を撮るから出てほしい。俺はこれに命をかけている』といきなり連絡があって…。命かける!?荷が重すぎるよね!?」

サービス精神旺盛の尾野は面白おかしく話すが、本心は心底うれしかった。結城が俳優を続けている。そして出会った頃の夢を忘れてはいなかったことに。

「ありがたいことに私は朝ドラに出させてもらって、そこから徐々にお仕事をいただけるようになりました。一方、結城はその頃には製作者として忙しくしていました。それはいいことではあるんだけれど、私としては“お芝居はどうするんだろうな?”とちょっと寂しかった。だから今回の話をもらった時はホッとしたというか、ちゃんと諦めていなかったんだとうれしかったんです」

吹き飛んだ小っ恥ずかしさ

念願の初共演は、なんと夫婦役。「もうね、こそばゆい!結城とは長く付き合い過ぎて友達や恋人を通り越して身内のような感覚なので、とにかく小っ恥ずかしい!知り合いの俳優と共演する機会は何度かあるけれど、それとは質が違います」といまだかつてない感覚に陥ったらしい。

小っ恥ずかしかったのは最初だけ。演技を重ねていく中で雑念は霧散した。落ちぶれてもボクサーとしての栄光を掴もうと前進する壮年ボクサーの奮闘に、結城そのものの姿を見たからだ。

「いざ向き合ってみると恥ずかしさなんてどこかに吹き飛んで、結城が芝居する声を聞きたいと思った。結城の全てからこの映画に真剣に向き合っている本気度を感じて、私も選ばれたからにはちゃんとしたお芝居で応えなければいけないと。長い付き合いの友達から頼まれたから出ました…ではなく、神山の妻・ナツとしてそこに存在してしっかりと演じきりたいと思ったんです」

19歳で初めて出会い、そこから20年超。お互いに諦めることなく夢を追い続けていたからこそ実現した初共演。「答えることもなくてさ、どうしようかな…」とうそぶいていた尾野だが、本当のところは語り尽くせない深い思い入れがあった。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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