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「もう激痛に耐えなくてもいいよ」闘病を経て3本足に…愛猫から学んだ“生きようとする強さ”

まいどなニュース / 2024年7月12日 15時0分

シャム猫のような見た目のどんちゃん

「全てがかわいい。末娘は、中途半端な色合いや完璧じゃないところが、たまらなくかわいいと言っています」

そう話す飼い主さん(DonDonDon413)は、3本足で生きる愛猫どんちゃんを宝物のように思っている。どんちゃんは胸腔内に存在する胸腺という臓器が腫瘍化する「胸腺腫」を患い、一時は余命宣告を受けたが、強い生命力を見せ、命を繋いでくれた。

公園で末娘さんに着いてきた子猫を保護

2004年4月12日、飼い主さんの末娘さんは近所の公園で友達と遊んでいたところ、どんちゃんと出会った。不思議なことに、どんちゃんは大勢いた子どもの中から、なぜか娘さんをロックオン。そばを離れず、自宅まで着いてきた。

事情を知った飼い主さんは迷子猫の可能性を考え、北海道特有である玄関ドアの外側につくられた「玄関フード」に、毛布を入れた段ボールに設置。食べ物をあげつつ、「朝になっていなくなっていたら、自分のおうちに帰ったと思ってね」と、子どもたちに伝えた。

しかし、翌朝、どんちゃんは変わらず段ボールの中にいたため、一時保護。

「私が高校生だった頃に捨てられていた子猫を拾ったのも同じ日だったので、密かに運命を感じました」

どんちゃんは猫用トイレを理解しており、お迎え後、すぐに用を足してくれたそう。下痢が見られたため、動物病院へ連れて行くと、生後4カ月ほどであることが分かった。

「ガリガリに痩せて小さかったので、2〜3カ月くらいだと思っていました。家庭の事情で猫を飼うのが難しい状況だったため、病院で里親募集リストに登録しましたが、いざ引き渡すとなると心配になり、来ていた問い合わせは全てお断りしてしまいました」

こうして、どんちゃんは正式に家族の一員に。無邪気で寂しがり屋のどんちゃんに、家族は何度も笑顔を貰った。

「私と息子と娘には一緒にいてほしいようで、バラバラになっていると呼んで集めるんです(笑)」

病気知らずだった愛猫が「胸腺腫」を発症して…

穏やかな猫ライフに変化が起きたのは、どんちゃんが9歳になった頃のこと。これまでに歯肉炎で上の犬歯を2本とも抜歯したことはあったものの、病気知らずだったどんちゃん。ところが、9歳になった年の10月、息切れや呼吸が粗い様子を見て、飼い主さんは病院へ駆け込んだ。

診察の結果、リンパ腫を患っており、胸水が溜まっていると告げられ、余命宣告を受けた。

飼い主さんは大きなショックを受けたが、詳しい検査をすると、胸腔内に存在する胸腺という臓器が腫瘍化する「胸腺腫」であり、手術が可能であることが分かった。

そこで、すぐに手術を受けたが術後の経過が思わしくなく、予定通り4日間で退院はできず。そして、血栓が飛んだことにより、右前足は麻痺が見られ、壊死。

どんちゃんは胸水を抜く管がなかなか取れず、全く食べなくなった。4㎏あった体重は2.4㎏まで減少。立ち上がって歩けるようになるまでには、1カ月もの月日を費やした。

退院後は、強制給餌。右前足にできた褥瘡(じょくそう)の治療をし、傷口からの感染症を防ぐため、飼い主さんは5カ月間、仕事の休みを合わせて週に2回通院した。

「病院側からは胸腺腫の手術で予後が悪かったため、3㎏を超えないと断脚手術は難しいと言われていました」

どんちゃんは痛みを感じており、動いたり寝たりするのが大変な様子だったそう。そこで、猫トイレを段差の少ないものに変更。家族は全員が留守にならないように仕事を調整したり、ホームカメラをつけて様子を見守ったりするなど、どんちゃん中心の生活を送った。

壊死した右前脚を切断

そんな日々が半年ほど続いた頃、壊死した右前足の肘から先がとれた。GW中でかかりつけ医と連絡が取れなかったことから、急遽、別の病院へ。すると、傷はすでに感染症は起こしており、炎症が骨まで広がって骨髄炎になっていたことが判明する。

「肘から先が取れてしまったことで、広範囲の肉がむき出しになりました。激痛と闘っている姿を見て、1秒でも早く足を取り、痛みから解放してあげたいと思いました」

リスクがあることを承知の上で受けた断脚手術によって、どんちゃんは3本足になったが、QOLは上がった。痛みから解放され、好きな体勢でのびのびと過ごせるようになったのだ。

「遊びたい」「走りたい」が止まらないどんちゃんを見て家族は嬉しさを噛みしめると同時に、必要な配慮を行うように。転ばないよう、肉球の間に生えている毛を剃るバリカンを買い、部屋にはカーペットを敷いた。

温かい配慮を受けたどんちゃんは3本足だということを忘れるほど早く走り、高い場所へも上がれるようになったそう。

「ただ、残った左前足1本にダメージが集中しないように、下りる時は慌てて回収しています」

もともと身体能力が高く、美しいジャンプを繰り広げていたという、どんちゃん。家族は回復に伴い、以前のような華麗なジャンプ姿が見られる日をのんびり待っている。

病気発見から、8カ月以上が経った今、どんちゃんは自分に残されたものを大切にしながら、ニャン生を謳歌。以前のような無邪気さも取り戻し、おうちでは一番の仲良しである末娘さんに喧嘩を仕掛けることも。

「娘もおちょくるんですが、娘の部屋から『助けてー!』という声がすることがあります。私が『こらっ!』と言うと、どんちゃんは何事もなかったフリをして、かわいい声で鳴きます(笑)」

末娘にとっては相棒。息子には、動物と触れ合う楽しみを教えてくれた。そして、私にとっては、間違いなく4番目の子ども。そう話す飼い主さんは、どんちゃんから生きようとする強さを学んだ。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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