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話題の「完全栄養食」、毎日食べても大丈夫なのか? 人気の「完全メシ」「BASE FOOD」に聞いた

まいどなニュース / 2024年8月21日 7時5分

完全メシと、BASE FOOD…最近コンビニでよく見るようになりましたが人気の背景は?(写真、各社提供)

手軽だけど、栄養価が高いものが欲しい…というときに気になるキーワードとなっている「完全栄養食」。はたしていったいどんなものなのか? 人気上昇中の2ブランドを取材した。

食の栄養、気にはかけているけども…

普段の食生活と健康意識や行動の調査(※1)によると、健康を意識している人(とても意識している、やや意識しているの合計)は74%。その方法としては、朝・昼・夜の食事(67%)となり、栄養バランスを大切にしている人は55%。

厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」によると、気にはかけているものの実現できていない理由は、「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」(27.5%)、「面倒くさいこと」(25.3%)が挙げられており、ほかにも「自分を含め、家で用意する者がいないこと」「経済的に余裕がないこと」など。ちゃんと食べたいのに、食べられない実情が浮かび上がってくる。

そんななかで、厚生労働省の「日本人の食事摂取量基準」で設定されたビタミンやミネラルなど33種類の栄養素に焦点を当てた商品の人気が高まってきている。パウダータイプの「完全栄養食」もあるが、そのまま食事、もしくは食事の一部として楽しめる手軽さの「完全メシ」や「BASE FOOD」だ。

コンビニで、よく見かけるように

2016年に創業し、パンを完全栄養食とした「BASE BREAD」が有名な「BASE FOOD」(本社:東京都目黒区)。1食で1日に必要な栄養素の1/3を1商品に加えることを目標とし、現在はパスタ、パン、デリ、クッキーで展開。「かんたん・おいしい・からだにいい」がテーマの“スマートフード”を目指し、2024年6月末には累計販売数は2億袋を突破した。

当初は認知度が低かったがAmazonでの販売を機に広がりはじめ、ドラッグストアやコンビニでの展開が徐々に増えて入手しやすく。今や香港、中国、シンガポール、台湾でも展開。特に香港では、1購入あたりの袋数が日本に比べて2倍以上、2022年の販売から累計販売数50万袋もの売り上げを記録している。

そして、「日清食品」(本社:東京都新宿区)の「完全メシ」は、2022年に誕生。ビタミンやミネラルなど33種類の栄養素とおいしさを追求し、「カレーメシ」や「日清焼そばU.F.O.」など、日清食品を代表する人気ブランドを中心に「完全メシ化」することで、従来のファンを取り込む戦略をとっている。

ほかにもスムージーやカップスープ、冷凍食品の「冷凍 完全メシ DELI」シリーズ、さらには他企業とのコラボ商品と、多彩なラインアップを展開。発売から約2年で累計出荷数2800万食を記録したヒットになっている。

現代が抱える”食”の問題に向き合って…

それぞれの発案となったきっかけも興味深い。

日清食品の創業者・安藤百福は、満足に食べ物を得られなかった戦後の時代に、誰もにとって手軽な食を開発したい思いからインスタントラーメンを開発。“食の課題”を解決するための精神が引き継がれ、現代に誕生したのが「完全メシ」。飽食による「肥満」やシニアの「フレイル」、身体に必要な特定の栄養素が不足する「隠れ栄養失調」の増加という深刻な問題と向き合った商品となる。

BASE FOODは、開発者の橋本舜さんが大手IT企業で多忙な日々を送っていた28歳のときに、健康診断の結果が悪化していることに気づいたのがきっかけ。コンビニ飯が中心で栄養が偏っているのは自覚があったものの自炊する時間もなく。そこで、主食が完全栄養食だったら?と浮かんだアイデアを実現するために独立して開発。

「完全栄養の主食」を目指してパスタのシリーズ「BASE PASTA」が完成し、今やコンビニでもおなじみとなったパンのシリーズ「BASE BREAD」へとつながっていく。

どんな人が買っているの?

「完全メシ」は商品によって購買層が異なるそうだ。カップライスやカップ麺は30代半ば〜40代の男性、カップスープ、スムージーは幅広い年代の女性から人気があり、冷凍食品は男性が多いとのことだ。

また、BASE FOODの調査(※2)によると、男性33.5%、女性は62.7%(無回答・不明3.8%)で、20代は23.4%、30代25.1%、40代22.6%と、20〜40代がまんべんなく支持。購入する目的としては、ダイエットが42.6%、食生活の改善34.6%となっている。

さまざまな食材をそろえずともすみ、手っ取り早く栄養が摂れる、頼れる存在だと男女ともに支持されていることがうかがえる。食生活については「3食インスタントやコンビニめし」や「自炊するよりもインスタントのほうが安い」といった投稿をSNSで見るが、そこで気になるのが、はたして、それだけを食べておけば大丈夫なのかどうかだ。

ずっと食べ続けても大丈夫?

日清食品の担当者によると、意外な答えが…。「一般的に食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスが重要とされており、弊社は「完全メシ」だけ食べ続けることを推奨していません。主食、主菜、副菜を基本に、バランスのとれた食事をとっていただく中で、「完全メシ」を取り入れていただければと思います」と担当者。

BASE FOODの担当者も、「BASE FOODだけを食べ続けて欲しいということは考えておりません。無論、完全栄養食として必要な栄養バランスを摂ることはできますが、食事は栄養素だけではなく、趣向やその時の気分、環境によって選択肢は多々出てくると思います。「健康」を通じて自分らしく輝き人生を楽しんでいただくための「選択肢の一つ」であると考えています」と、必要に応じて食することを推奨している。

あくまでも、栄養バランスが気になるときに普段の食事と置き換えるなどして、 3食これだけを食べればいいという極端な考え方は避けた方がいいだろう。また、賞味期限が長いものもあるので、震災などのために備蓄しておくローリングストック(通常の生活で消費し、買い足していくことで、普段食べている食品を一定量、家で備蓄しておくこと)にも重宝しそうだ。

栄養バランスと「おいしさ」の両立は難しい!?

日清食品によると、栄養バランスを整えながら、普段の食事と変わらないおいしさを実現するうえでハードルとなるのが、栄養素が持つ独特な苦みやエグみだそうだ。これまでインスタントラーメンの開発で培ってきた「おいしさの再現技術」「減塩技術」といった独自技術を駆使することで解決している。

ちなみに、日清食品を代表する「カップヌードル」は、まだ「完全メシ」化されていない。「お客様が”いつもの味”をはっきりと覚えている商品は“いつもの味”と少し違うだけでも、違和感を覚えてしまう」からだそうで、普段と変わらないおいしさを実現することの難しさが伝わってくる。

BASE FOODは全粒粉やチアシードなど、主に自然由来の原材料10種類以上をアレンジして製造。そのため素材そのものがもつ苦味や雑味をマイルドにしたり、食感を改良し続けているという。そのため「BASE BREAD」だと、ややふんわりしつつも弾力があるような独特な歯ごたえがクセになるような食感に。そして「メープル味」であれば控えめながらも、ほんのりした甘さで食べやすくなっている。

同社では、コミュニティ「BASE FOOD Labo」を設けて、タイムリーに顧客からのフィードバックを得ることで、研究開発チームが技術を駆使して新商品開発と商品改良を行っているそうだ。「少数精鋭で迅速におこない、顧客のニーズ・嗜好にあった商品を素早く提供することができます」と、客の声をもとに改善し続けることを重視している。

外食でも”栄養”を意識したい!?

こうした食品は、家や会社でサッと食べられるのが魅力だが、飲食店で栄養バランスを意識してメニューを選ぶのはなかなかハードルが高い。そんななか外食として楽しめるような動きも。

BASE FOODは、パンケーキミックス「BASE Pancake Mix」を使ったオリジナルメニューを5月(すでに終了)にカフェ「TSUBASA COFFEE」(東京都新宿)で展開。「反応はとてもよく、店舗さまから今後もまたぜひ実施したいとのお声をいただいております」と好調だという。今後もコラボやポップアップショップとして実施し、現時点では予定はまったくないものの「外食への参入の可能性も今後ゼロではございません」とのことだ。

日清食品は「大阪マリオット都ホテル」(大阪市阿倍野区)とコラボ。「完全メシ 10種類の野菜と大阪ウメビーフカレー」4500円、「完全メシ 10種類のフルーツとヨーグルトクリームサンドウィッチ」3000円を8月31日まで提供している。こちらは同社とホテルのシェフが協力して開発し、構想から1年以上をかけて実現したものだ。健康を気遣う年配層だけでなく、30〜40代の注文も多く、サンドウィッチに関しては20代からの人気も高いそうだ。

こういったメニューが今後増えれば、ついつい高カロリーの食事を選んでしまいがちな人や、自身の食生活に不安がある人にとっては、ボリュームがありつつ、栄養バランスとカロリーに配慮されたメニューが選択肢のひとつとなる、ありがたい存在となりそうだ。

※1 「Withコロナにおける普段の食生活と健康意識や行動」インターネット調査 期間:2022年3月4日~3月8日 調査対象:国内在住20~60代の方(有効回答数) 「ロイヤリティ マーケティング」調べ

※2 「BASE FOOD」による2020年7⽉から2024年2⽉に実施した購⼊アンケート対象者 155,528⼈の回答

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース)

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