招き猫の発祥は中国? 謎の熱意で商品化された中国製「招き猫ロボット」 設計解説本は110ページ 組み立て作業行程285の大作に挑んだ
まいどなニュース / 2024年7月25日 18時30分
先日中国を訪れた際、玩具問屋で目に止まったものがありました。それは「招き猫ロボット」。
日本の招き猫を模した玩具ですが、随所に取り入れられた日本的意匠、さらに中国的過剰に進化させているのがよくわかります。
玩具問屋での価格は日本円で6500円。「分別がついた大人が買うものではない」と店を後にしたものの、メカニカルな招き猫ロボットがカクカクと筆者を呼び戻している気になり、玩具問屋に引き返し、購入しました。
招き猫は、日本より早い1600年以上前に中国に存在した?
招き猫ロボットの正式な商品名は「超級招財猫(スーパー招き猫)」。気になったのがパッケージに書かれた文言でした。
猫が招き猫として最初に考証されたのは(略)陝西省・岐山で発見された1600年以上前の南北朝時代の『招き猫』の石彫です。石彫はしゃがむ姿勢も、手を振る猫の爪も、今の招き猫に酷似しています。
またまたご冗談を……と思いつつ調べてみると、確かに中国では2014年に同様の報道があり「招き猫・日本発祥」を覆す説が一部で唱えられていました。
ことの真偽はさておき中国人にとっても「富と繁栄を引き寄せる」と考えられている招き猫。その未来形として開発されたのが招き猫ロボットのようです。
開発者の異常な熱意を感じる、285工程もの組み立てフロー
招き猫ロボットはレゴと互換性のあるブロックを、設計通りに組み立て完成させる玩具です。その工程は実に細かく設計解説本は全110ページ、作業行程は285にも及ぶ大掛かりなもので、完成にはかなり集中力を必要とします。大ブームを巻き起こしているわけでもない「招き猫」をモチーフに、異常とも思えるこだわりの設計。開発した中国メーカーの熱意にただただ感心するばかりです。
言うまでもなく、あらゆる分野の商品は、どれだけの市場があり、商品を投入した際に歓迎される商品は何か、そして商品開発にあたってどれだけのコストがかかるか…こういったビジネスの基本原則を熟考した上で企画・開発されます。
が、この招き猫ロボットはこれらビジネスの基本原則を全てすっ飛ばした、開発者の異常な熱意と執念によって商品化されたのように思えました。
16時間を費やし「招き猫とロボット」が完成
招き猫ロボットの285工程を終えるまでに筆者が費やした時間は16時間でした。「いい年齢の大人が…」と思われる向きもあるでしょうが、完成した瞬間、何ともいえない達成感がありました。
組み立て中、あるはずの部品が入っていなかったり、こちらが不安になるほど部品が余ったり。設計本に複数の誤表記があったりもしましたが、そこはご愛嬌です。ブロックの特性を活かし適宜アレンジを加え、筆者なりの招き猫ロボットを組み立てました。
「招き猫ロボット」細部に見る過剰な表現
穏やかに微笑む招き猫の目の奥は「¥」マーク。微笑んでいても実際は「お金しか頭にない」ことが表現されています。
さらに後頭部には、視覚認知の中枢を司るいくつもの機械が備えられています。また、腹部には中国の富と繁栄の熟語があしらわれ、前述の「招き猫のルーツは俺たちのほうが先なんだ」説への矜持を感じます。
カクカクした招き猫の腕の中には財宝がいくつもあり、この腕を回すとゴロゴロと腕の中で弾ける仕組みです。
達成感と合わせて強く感じた「だからナンなんだ感」
完成した招き猫ロボットを眺め達成感が落ち着くころ、湧き上がってきたのは、独特の造形のよる「だからナンなんだ感」でした。
一見無駄にしか見えないもの真剣に取り組む。筆者が仕事の上で大切にしている信条ですが、この招き猫ロボットの設計や商品化ににかかわった人も恐らく同じでしょう。わけもなく感動し、固く握手したい気持ちになりました。
招き猫ロボットは中国版Amazon『淘宝』や中国の通販サイト『Ali Express』などで購入可能です。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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