台湾・花蓮地震発災4カ月 観光の街はいま 道路復興まで5年以上 観光タクシー営む一家「苦しいのは私たちだけではない。日本の能登の人たちも同じです」
まいどなニュース / 2024年7月30日 19時0分
2024年4月3日朝、台湾東部・花蓮沖を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生。18人が死亡し、2人がいまだ行方不明です。
美しい山々があり、太平洋にも面した花蓮は、古くからの景勝地。台湾の観光客はもちろん海外でも人気の高い場所です。
野趣あふれる花蓮を楽しむためにはアクセス道路が欠かせませんが、4月の地震発生により山岳部を抜ける道路がところどころ崩壊。地震後も余震による土砂崩れが起きました。
伏せた地面からの「揺れ動く家」「土砂崩れの音」
花蓮で観光タクシー業を一家で営む「花蓮觀光旅遊包車古小姐(以下、古さん)」は、地震発生の瞬間をこう振り返ります。
「4月3日の早朝、孫娘を幼稚園に送りました。7時55分頃に家に帰り、庭の花や植物に水をやろうとしたところ、しばらくして空が揺れました。すぐに地面に伏せましたが、揺れがどんどん大きくなり、家が揺れ動くのがはっきりと見えました。また山のほうから土砂崩れの音が聞こえ『世界の終わりだ』と思いました」
幸い古さんの家は、各所のひび割れや家電製品が壊れた程度で済みましたが、花蓮の被害は甚大でした。日本でも繰り返し報道された「斜めに倒れたビル」の他にも、地震で全壊した家屋があり、各所の道路も寸断。発生当初、山間部に取り残された人もいました。
台湾の「緊急時の対応の速さ」は花蓮の地震でも
コロナ禍において台湾の感染症対策が迅速かつ合理的だったように、緊急事態の対応の速さはこの地震で証明されました。
発生後、各地から救助隊が駆けつけ、支援物資も届き、余震が続く中ではあったものの「最低限の生活は過ごせた」と古さんは言います。
「台湾各地の心優しい人たちが、自分たちの地元で『花蓮のために』と、まず食料・衣類・義援金などを集めてくれました。これらがまとまったところで花蓮に届けてくれ、被災した町では緊急性を要する被災者を優先し配布しました。私たちが暮らす村にも支援が届き、薪、米、油などが配られました」
「私たちだけではなく、苦しいのは能登や東日本の人たちも同じ」
地震による直接の被害は大きくありませんでしたが、古さん一家には悩ましい問題がありました。観光客の激減です。
台湾西側と花蓮とを結ぶ道路が寸断され、簡単にはアクセスできなくなったことに加え、残った道路の通行に際し現状では時間制限がある状況です。
また、今後も災害の不安がないとは言えず、花蓮の観光の復活にはまだまだ先のことになるとの見方があります。そんな中でも古さんは「震災で苦しんでいるのは花蓮の人々だけでなく、日本で甚大な地震が発生した能登や東日本の人たちもきっと同じ。私たちだけが泣き言を言うわけにはいかない」とも語ります。
「4月3日の地震以降、台湾の親戚・友人だけでなく、日本をはじめ海外の友人らが心配してSNSなどで温かいメッセージをくれました。また、日本からは花蓮に多くの義援金が寄せられ本当に感謝しています。台湾は日本と繋がり、これからも助け合える関係でいたいと思っています」
地震から約4カ月。大変な生活を強いられながらも「苦しいのは私たちだけでなく、日本の被災地も同じだ」と語る古さんの言葉を聞き、熱いものが込み上げました。
山々の観光は難しくとも花蓮の魅力は平野部にもたくさんある
花蓮・太魯閣で300年以上続く家系の古さんはエリアの山々を知り尽くし、地震以前は、海外からのリピーター客を多数抱えるほどの人気でした。
しかし、台湾政府は寸断された道路の復興について「最低でも5年以上はかかる」と発表。古さんの観光タクシーの持ち味である台湾の美しい山々を巡るツアーも数年間の中断を余儀なくされることになりました。
花蓮の平野部にも美しい自然、グルメ、また日本統治時代の遺構も数多くあります。花蓮の山々の観光ができない間は、平野部の魅力もより一層注目されるべきだとも思いました。古さんはこんなことを話してくれました。
「花蓮が完全に復興するまでの数年間で、これまでとはまた違う花蓮の魅力が多くの人に届くと良いなと思います。そして復興までの間に、台湾政府が花蓮の人たちに対し、より一層耳を傾けてくれることにも期待しています。台湾がんばれ! 花蓮がんばれ!」
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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