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リモートワークで通勤手当が実費精算に→「休日も都心に出かけるので、定期を買い続けても大丈夫?」【弁護士が解説】

まいどなニュース / 2024年7月28日 18時0分

通勤にも土日の遊びにも使えた定期券が… ※画像はイメージです(naka/stock.adobe.com)

感染症対策の一環として企業で多く取り入れられ始めたリモートワーク。今では、自宅から通勤せずに仕事をおこなうことができる便利さから、働き方のひとつとして定着しました。

大阪府内のIT企業に勤めるAさんも、会社の方針でリモートワークをはじめたひとりです。以前は自宅から電車で30分の通勤をしており、電車通勤に使っている定期券を活用して、休日には大阪駅近辺まで遊びに行くこともありました。

しかしリモートワークの開始に伴い、通勤手当に関する方針も変更されます。以前は原則として会社に出社するのが義務付けられており、通勤手当として毎月の定期券代が支給されていました。しかしリモートワークにより出社義務が週3日になったことで、通勤手当が実際に出社した分を実費精算することになります。

この制度変更についてAさんは、土日に定期が使えなくなることをもったいないと考えます。というのも、休日に都心に出かける移動費も含めた交通費を計算したところ、週3日の出社と休日に使う移動費を合算すると、定期券を購入する方が安上りになることが判明したからです。そのためAさんは、会社には通勤分の交通費のみを支給してもらいつつ、定期券は引き続き購入し続けることにしました。

会社は実費精算を求めていますが、Aさんのように定期を購入するのは問題ないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞いてみます。

ー休日の予定を考慮して定期を購入することは問題ないのでしょうか

会社が労働契約書や就業規則で通勤手当をどのように規程しているかによります。そもそも通勤手当は、労働基準法で支給基準や上限額が定められているものではなく、企業が支払う義務はありません。それぞれの企業が自由に設定できる手当なのです。

もし会社が、実費精算の領収書をもって精算すると定めていれば、それに従わなければなりません。ただ日常の通勤で生じる電車・バスの交通費の領収書を求めるケースはほぼ無いです。さらにいうと、Aさんの行為は特に会社に対して不利益を生じさせているわけではないので、会社がAさんを咎める可能性は低いと考えます。

ー会社側に不利益を与えるとはどういう時でしょうか

例えば、会社には電車通勤をしていると言って定期代分の通勤手当を受け取っていながら、実際は定期を購入せず自転車通勤をしていたという場合です。この場合、正しく自転車通勤であることを申請していれば、会社は通勤手当を支払わなくて済みます。つまり社員の虚偽申請によって、会社は通勤手当分の不利益を被っていることになります。

また実際は通勤に1時間ほどかかる実家に住んでいると申請して、その分の通勤手当を受け取っておきながら、会社近くのアパートに寝泊りをしているという人もいました。この場合は、その社員が「今も実際の住居は実家で、アパートはあくまでも知人の住居」であると主張があったため、それ以上の追及は難しかったようです。

ただその後、規程の改定によって実際に購入した定期を見せないと通勤手当を支給しないことになったため、上記社員はあきらめて実家から通勤するようになりました。

ー通勤手当の不正受給が判明するとどのような処分になるのでしょうか。

不正受給の期間が短かったり少額であれば、会社側から是正するよう注意を受けるでしょう。それでも是正しない場合には、不正受給額分の返還を求められます。さらに金額が多額であったり、悪質だと判断された場合には、減給や停職といった懲戒処分を受ける可能性もあるので注意が必要です。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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