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「よそのマンション事情」を知りたい! 管理費の見直しに修繕計画の進め方、住民たちが本音で語る交流会をのぞいてみた

まいどなニュース / 2024年8月29日 16時0分

岡山市中心部に林立するマンション。築年数が古くなればさまざまな問題が起きてくる(本文とは関係ありません)

 マンションに長年暮らしていると、新築で入居した時にはなかったさまざまな問題が起きてくる。「管理会社から修繕積立金や管理費の値上げを提案された」「管理組合の役員に選ばれたが何をすればいいのか」「修繕計画はどのように進めればいいのか」―。築年数が古くなればなるほど思いもよらない問題が生じる。そんな困りごとを、住民たちが本音で語り合う「マンション居住者交流会 よそのマンションどーしょん!?」を毎月、岡山市が開いている。気になる「よそのマンション事情」を探るため、会をのぞいてみた。

セカンドオピニオン

 7月28日、旭公民館(岡山市北区広瀬町)で開かれた交流会。参加した10人は「管理会社から50%の値上げを提案され、会社自体を変更した」「管理人の勤務時間を減らしてコストを抑えている」など、自分たちが住むマンションの現状を包み隠さず語っていた。

 この日のテーマは「管理会社との関係はどーすりゃえー?」。区分所有者(住民)で組織する管理組合は、共用部と呼ばれる廊下の清掃やエレベーターの管理などを行い快適な住環境を整えるのが主な役割だが、素人では手が回らないことが多い。そこで、管理会社に業務を委託するのが一般的になっている。自分のマンション以外のことは知らない参加者が多く、契約書などに目を通しながら順に発表した。

 やはり気になるのはお金の話だ。管理組合は、管理費の徴収、決算や予算案の作成などを委託する事務管理業務費、管理人業務費、建物の維持・管理費などの名目で管理会社にかなりの額を支払っている。今回集まった人たちのマンションの事務管理業務費は戸数などの条件が違うとはいえ、月額4万円台から30万円台と幅があることが分かった。参加者は「管理会社のもうけの部分なので、会社によってかなり違う」「理事会で契約変更を検討したり、会社自体を変える場合は3社以上にプレゼンしてもらったりしたほうが良い」などと自身の経験を伝えていた。

 さらに管理会社のスタッフとの関係にも話が及んだ。同じ会社でも「きちんと対応してくれる」「トラブルについて真摯(し)に聞いてもらえていない気がする」と対応に温度差があることを訴える参加者もいた。

 毎回参加する男性(73)=北区=は「私たちは専門家ではないので、勉強しないと損をすることがある。こういった場で情報共有することはとても大切だと思う」と話し、2回目の参加という女性(60)=中区=は「大切な資産を守る上でも、管理会社に頼りすぎず、主体的に行動しないといけないと感じた」と語った。

 交流会は岡山市主催のマンションセミナー受講者から、住民同士でリアルな話ができる場をつくってほしいという要望で23年4月、本格的にスタート。エレベーターなどの設備の更新、災害時の対応、長期修繕計画など、毎月テーマを決めて意見交換している。同市住宅課の担当者は「マンション生活の“セカンドオピニオン”を聞く場になっている。良い事例を自分たちのマンションで取り入れてほしい」と話す。

先手を打てるように

 交流会以外にも、アドバイスをもらえる仕組みがある。岡山市が無料で行っている「マンション管理士派遣制度」だ。マンション管理士は2001年にできた国家資格で、組合運営や規約改正などについて専門家の立場で助言してくれる。

 県マンション管理士会の水田順治会長(71)は「最初に直面するのが、築十数年ごろに行われる大規模修繕工事。その後も、エレベーターのリニューアルや排水管交換など費用がかさむ事業が待っており、管理組合の修繕積立金の確保は特に重要」と指摘する。

 全国的にも、修繕積立金は不安の種になっている。国交省が全国約4300の管理組合を対象に行った「2023年度マンション総合調査」(回収率37.2%)によると、組合が取り組むべき課題に「修繕積立金の積立金額見直し」と「長期修繕計画の作成、見直し」が上位に挙がり、築年数が古いほど高い傾向が見られた。さらに「修繕積立金」が計画と比べて不足、または不明と回答している組合は6割に上っていた。

 背景には、新築分譲時に低く設定された積立金が、工事費の値上がりなどに応じて増額できていないことがある。水田会長は「マンション購入時に一括で積立金を入れ、月々集める額は低く抑えているケースが多いが、初回の大規模修繕工事でほぼ使い切るケースも少なくない」と説明する。積立金の値上げや銀行からの借り入れで対応することになるが、積立金名目で借入金の返済を繰り返す“自転車操業”になる恐れもあるという。

 そこで水田会長が提案するのは「早いうちの収支の見直し」だ。まずは、管理委託契約書や重要事項説明書をよく読み、管理人業務や点検費などコストダウンができる部分はないか、無料だった駐輪代を有料にするなど管理組合の収入を増やせないかなどを、理事会や総会でできるだけ早期に検討したほうがいいという。

 岡山市内には大小含めて500棟を超えるマンションがあるとみられ、うち300棟程度が築20年を超えている。今後は高齢化による役員のなり手不足や、活動に無関心な区分所有者の増加なども表面化してくる可能性が高い。水田会長は「マンション運営は丁寧な合意形成が必要なことも多い。分からないことは交流会や管理士の派遣などで教えてもらい、先手を打てるようにしておくことが大切」と訴えた。

 ◇

 岡山市のマンション居住者交流会は月1回、旭公民館で開かれている。対象は、岡山市内にある分譲マンションの区分所有者と居住者。参加方法などは、岡山市のホームページで確認できる。他の自治体でも同様の交流会やセミナー、相談会などを行っていることがある。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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