線状降水帯で一瞬で車が浸水!体験者「車が浮きました」→プロに対処法を聞いた「発火の恐れもあり注意」
まいどなニュース / 2024年11月29日 7時20分
大型で非常に強い台風11号が猛威を奮いましたが、今年は台風だけではなく、線状降水帯にも注意が必要ということを再認識させられました。
そんな線状降水帯による豪雨によって車が浸水してしまったはがパパさん(@haganai_papa)の体験談が衝撃的だとSNSで注目を集めました。
「6時50分頃、車が水没して浮きました。初めて膝まで浸水した状態で車押しました。家の前は大丈夫でも、その先が悲惨でした……今はなんとかエンジン掛かって家まで帰ってきたけど、もう心折れたので休みます」
はがパパさんにお話を伺いました。
浸水は一瞬の出来事!車が浮いてしまう事態に
ーー投稿の様子からすると、見るからに大変そうでしたね。車が浸水したのは、どういう状況だったんでしょう?
「台風11号が猛威をふるっていた時の出来事です。台風から離れていた我が家の辺りにも、出勤するタイミングの朝7時頃、大雨警報が発令されていましたが、家の前の1車線の道路は全く水が溜まっていなかったので、問題ないと思っていつも通り家を出ました。ところが、2車線の大通りに出る道に差し掛かったとたん、20cmほどの波が車の通行に合わせて押し寄せてきました。でも、目の前の大通りには多くの車が走っていたため、自分も大丈夫だと思いそのまま向かってしまいました…今思えば止めておけばよかったです」
ーー通りがちょっと違っただけで、いきなり20cmほどの水深になっていたってことですよね。車が水没したのは初めての経験ですか?
「はい、水没したのは初めてです。2車線の大通りに出てすぐ、車の挙動がおかしくなり、ギアが1速から上がらなくなってしまいました。急いで引き返そうと、近くの中道を通って家に戻ろうとしたのが運の尽きでした…」
ーー家を出てからおそらく10分程度?あっという間の出来事ですね。どれぐらいのスピードで水没し始めましたか?
「中道に入ると、だんだん水かさが増してきて、20mぐらい進んだところで、車がフワッと浮き、タイヤが地についていない感覚になりました。まだエンジンは回っていましたので、試しにアクセルを踏むと前へ進み、バックへ入れると後ろに進む、ボートのような状態になっていた認識です。その後、エンジンはスンッと勝手に止まってしまいました」
ーー聞いているだけで恐ろしい!ちなみに車が浮くって……どんな感覚ですか?想像がつきません
「ドアの隙間から車内に水が流れ込み、このままだと『マズい』と感じて。思い切って外に出るか車中に留まるかの判断に迫られた瞬間が一番怖かったです。さらに水の流れがあったのか、車がだんだん民家の塀に近づいていたので、物損になる恐怖もありました。水圧が強くなりすぎるとドアが開かないということを思い出し、思い切ってドアを開けて外に出ました。開けた途端、水が車内に流れ込み、運転席の座面下ぐらいまで水に浸かりました。水深で言うと50cmぐらいだったでしょうか」
ーー怖すぎます。外に出てどうしたんですか?
「そこから車が民家の塀にぶつからないよう体を張って車を押し返していました。自分で何とかするしかないと、現状の把握に努めました。スマホは無事でしたのでダッシュボードの上に置きました。
浮いた車を押すことにしたんですが、どうにも曲がって真っ直ぐに進まなくて。なぜか理由を探ったところ、タイヤの向きが船の舵の役割をしており、タイヤが向いている方向に車が流されることがわかりました。とにかく大通りに戻ることが先決と考え、運転席の窓を全開にし、左手でステアリングを操作しながら、右手で車を押して進みました。電気系統は無事だったようで、パワステは機能していました」
ーー電気系統はまだ生きてたんですね。でも、これら一連の行動は力が必要で、女性では少し厳しそうですね。どれぐらい押したんですか?
「結局、大通りに出るまでの約20mほど浮いた車を押して進みました。大通りにたどり着くとタイヤが地面に着きましたので、そのまま大通り沿いの路肩に車を止めて車内に戻り休憩しました。完全に水没したわけではなく、電気系統も生きていましたので、大丈夫だと判断し、しばらくしてエンジンを掛けましたが、掛からず……。何度か試していると、無事にエンジンが掛かりました!その時には、水深も10cm程度に下がっていたため、ゆっくり車線に合流し、家まで運転して帰ることができました」
ーーなんとか無事に帰宅できたんですね。でも車内の掃除が大変だったのでは?
「そうですね、当日は疲労感が凄かったため、そのまま会社を休みました。雨もまだ降っていたため、ざっと車内の水分を掻き出すぐらいしかできませんでした。試しに除湿器も置いてひと晩中除湿してみましたが、意味があったのか……そこは謎です。結局2日ぐらい経つと悪臭が漂ってきたため、週末に車内の座席からカーペットまですべて外し、重曹に浸け置きし消臭に努めました。車内の掃除だけで土日潰れちゃいましたね。おかげで嫌な臭いはなくなりました。愛車はスズキのアルトで8年乗ってますが、現在も問題なく走行できています。ただ、『エンジンは浸水したら掛けてはいけない』と言われていますし、未だに妻が心配しているため、近いうちに点検に出そうと思っています」
ーー車の浸水経験者として、注意やアドバイスはありますか?
「まず第一に、浸水した道路で前方を走っている車が問題なく走行できているからと言って、自分の車も大丈夫とは思わないこと!また、困ったときに頼れるのは自分しかいないため、パニックにならず、冷静に判断することが必要、てことですかね」
車が浸水した時、どうすべき?!プロの見解は?
今回の件に関して、車トラブル解決のプロであるJAF兵庫の方にも話を聞きました。
ーー今回の件ですが、投稿主・はがパパさんの話では、浸水後にエンジンが止まったということですが、浸水でエンジンが止まる原因はなんですか?
「水没している場合、排気マフラーが水に浸かり、スムーズな排気ができなくてエンジンが止まる場合があります。また、空気と燃料をエンジンのシリンダー内に取り込むときに水を吸ってしまうと『ウォーターハンマー』という症状になる場合があり、こうなった場合はエンジン自体が壊れてしまいます」
ーー浸水した場合、エンジンを切った方がよさそうですよね。どれぐらいの水かさになったら、車のエンジンを切るべきですか?
「JAFユーザーテストでは水深30cm走行の可否は『〇』になっていますが、運転席から見て何cmかの判断が難しいと思います。歩道と車道の段差(都市によって差はありますが約20cmと言われています)が分からなくなるくらい冠水している場合は、路肩や広い場所にゆっくり停車してエンジンを停止し、JAFなどに救援要請してください」
ーー「発火の恐れがあるため、バッテリーのマイナスターミナルは外す」というアドバイスを見たことがありますが、これはどういうことですか?
「電気系統に水が入るとショートして発火する可能性があります。手順は以下の通りです。バッテリーを外す際は、必ずマイナス端子から外す必要があります。プラス端子から先に外した場合、誤って工具とボディが接触してしまうとショートして、スパークや引火爆発の原因になるので、絶対にやらないでください」
【バッテリーの外し方】
①エンジンを止めて車のキーを抜く
②ボンネットを開けてバッテリーのマイナス端子(通常はバッテリーの「-」マークの近くに位置しています)にあるボルトやナットをスパナやレンチで緩める
③マイナス端子(バッテリーそのものに付いているマイナスの部分)からバッテリーターミナルを外す
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)
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