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「店長、あいつを辞めさせて」接客が名物の居酒屋なのに…仏頂面であいさつもできない正社員に困っています【社労士が解説】

まいどなニュース / 2024年9月26日 7時20分

いくら指導しても笑顔とあいさつができない後輩社員… ※画像はイメージです(mapo/stock.adobe.com)

元気な挨拶と笑顔の接客をモットーにしている居酒屋で、正社員として働くAさん。当然、Aさん以外の従業員も全員大きな声であいさつをし、笑顔を忘れません。従業員たちの気持ちのいい接客のおかげもあり、リピーターも多く連日多くのお客さんがやってきています。

ただ半年前に入社した正社員のBさんだけが、あいさつできず仏頂面で接客していました。Aさんは彼が入社して以来教育担当となっており、あの手この手で指導をするも改善が見られません。ついには常連客から辛気臭いと言われてしまい、どうしたらいいのか途方に暮れてしまいます。

状況を見かねた店長が、Bさんに対して笑顔の接客と元気なあいさつを徹底するよう指導したのですが、Bさんは機嫌を損ねてしまいます。だんだんほかの店員にも悪影響が出始め、店の雰囲気も悪くなる一方です。AさんはBさんに辞めてもらった方がいいのではないかと考えるようになり、店長に「あいつを辞めさせてください」と訴えました。

はたして協調性が見られないBさんは解雇されてしまうのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに詳しく聞いてみました。

ーBさんを解雇することはできないのでしょうか。

解雇することは難しいでしょう。あいさつができないなどのBさんの態度だけで協調性が無いというのは少々短絡的ではないかと思います。店側としてもBさんがなぜあいさつができないのか、本人に寄り添って理由を確認する必要があるでしょう。

また仏頂面といっても定義が難しく、一歩間違えれば差別とみなされる可能性があります。周囲が仏頂面と思っていてもそれは主観的な話で、Bさん本人は努力して笑顔を作ろうとしているかもしれません。

ー指導する側がもっと歩み寄る必要があるのでしょうか

本人に伝わるように具体的に指導する必要があります。性格を直せというのは感覚的な話になってしまい、具体性に欠けます。例えば口角をあげなさいとか、これくらいの大きさで声を出しなさいなど、誰が見ても分かるような形で伝えなければなりません。

もちろん指導される側に悪意があって、わざと指導に従わないのであれば別です。Bさんの場合はきちんと出社してきているようなので、悪意があるとはいえないのではないでしょうか。

ーお店側がやっておいた方がいいことはありますか

接客マニュアルを作っておくことをおすすめします。文書化されている接客マニュアルがあれば、できているかできていないかを明確に判断することができます。できていなければマニュアルに沿って指導が可能です。

またマニュアルを使って指導した結果、誰もが一定レベルの接客ができるようになったという実績を作ることも重要です。某ファーストフード店に行くと、どの店員も一定レベルの接客ができています。あれがマニュアルと指導の賜物です。

それでもできない人がいるのであれば、マニュアルや指導方法を見直します。できないから使えないということではなく、マニュアルや指導方法を見直すバージョンアップの機会であると捉えるといいでしょう。

あらゆる教育手段をやり尽くした状況においても変化が見られないというのであれば、配置転換などを検討しなければなりません。店側がやれることをやって、それでも改善しないのであれば解雇するまでもなく、本人自らが辞めていくことになるでしょう。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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