「駐車」と「停車」の違い、正しく理解していますか 「5分以内なら駐車にならない」「エンジンがかかっていれば停車」は誤解です
まいどなニュース / 2024年9月28日 8時32分
車を停止させる際、「駐車」と「停車」の違いを正しく理解していますか?どちらも車を止める行為ですが、正しく理解していないと、思わぬ違反を招くことがあります。誤解しやすいポイントを整理します。
駐車と停車の違いとは?
駐車と停車の大まかな違いは、以下の通りです。
・駐車:継続的な停止、運転者が車両から離れた状態での停止
・停車:すぐに出発できる状態での停止
一部の事由を除き「何分ならどっち」という時間の定義はありません。また停止の目的によっても、どちらに該当するかは変わります。両者の違いを正確に把握するには、それぞれの定義への理解が必要です。
▽【パターン別】駐車と停車の区別表
以下では、運転者がクルマを停止する複数の状況で駐車 / 停車のどちらに当てはまるかを示しています。
・待ち合わせ場所で人を待つ(相手が未到着) → 駐車
・5分を超えて荷物の積み下ろしを行う → 駐車
・クルマを停止し、トイレに行く → 駐車
・故障した車両を置いてその場を離れる → 駐車
・待ち合わせ場所で人を拾う(相手が乗ったらすぐ出発) → 停車
・駅などで人を降ろす(相手が降車したらすぐ出発) → 停車
・5分以内で荷物の積み下ろしを行う → 停車
それぞれの状況がなぜ駐車 / 停車になるのかは、次の定義の説明で確認してください。
駐車の定義を分かりやすく
駐車は、道路交通法で以下のように定義されています。
◇ ◇
車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止(特定自動運行中の停止を除く。)をし、かつ、当該車両等の運転をする者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
※出典:道路交通法第2条第18項「駐車」
◇ ◇
法律の文章で読むと難しく見えますが、簡単にまとめると、駐車に該当するのは以下の3パターンです。
・客(人)待ちや荷待ち、故障などでの継続的な停止
・5分を超える貨物の積み下ろし
・運転者がクルマから離れた状態での停止
「継続的」という表現に、厳密な定義はありません。ただし人待ちや荷待ち、故障への対処など「客観的に見てどれくらい時間がかかるか分かりにくいもの」が駐車にあたると考えられます。
【人待ちは短時間でも駐車】
道路交通法の条文を見ると、「人の乗降のための停止」は駐車に含まれません。しかし「客待ち」は、時間を問わず駐車と定義されています。客待ちはタクシーなどの客だけでなく、家族や知人など「人待ち全般」を指します。短時間でも相手が来るのを待つ状況なら駐車です。
停車の定義を分かりやすく
停車は、道路交通法で以下のように定義されています。
◇ ◇
車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
※出典:道路交通法第2条第19項「停車」
◇ ◇
駐車以外の車両等停止とは、つまり以下のような状況です。
・5分を超えない貨物の積み下ろし
・人の乗り降りでの停止
・すぐ運転できる状態でのごく短時間の停止
停車は「すぐに出発できる」ことが前提です。例えば待ち合わせ場所に到着済みの人を乗せてすぐ出発するなら、停車と扱われます。また、地図やナビで道を確認するためのごく短時間の停止も停車と判断される可能性が高いです。
一方で、人の乗り降りや5分以内の貨物の積み下ろしでも、運転者が喫煙やトイレで席を離れることがあれば、駐車となります。
【「5分以内なら停車」は誤り】
「5分以内なら停車」という解説を見ることがありますが、これは誤りです。先述の通り、貨物の積み下ろしを除けば駐車と停車に具体的な時間のルールはありません。
駐車と停車が禁止されている場所は?
駐車や駐停車の禁止場所は意外と多いです。また場所以外だけでなく、停め方にも注意する必要があります。
▽駐車のみが禁止されている場所
駐車のみが禁止されているのは、主に以下の6カ所です。
・「駐車禁止」の道路標識がある場所(標識が指定する範囲)
・駐車場や車庫など、自動車用の出入口から3m以内
・道路工事区域の側端から5m以内
・消防用機械器具の置場、消防用防火水槽、これらの道路に接する出入口から5m以内
・消火栓、指定消防水利の標識がある位置や消防用防火水槽の取入口から5m以内
・火災報知機から1m以内
なお、駐車禁止の標識は、赤い丸に斜線が1本入ったデザインです。一方「駐停車禁止」の標識は、赤い丸に「×」印のような2本の斜線が入っています。より制限の強い駐停車禁止の標識が「×」マークと覚えると良いでしょう。
参考:道路交通法第45条「駐車を禁止する場所」
【無余地場所の駐車も禁止】
上記以外に、道幅が充分に広くない場所での駐車も禁止です。具体的には、クルマを道路の左端に停めた時に、右側(車道)に3.5m以上の余地がない場所(無余地場所)での駐車が禁止されています。
駐車も停車も禁止されている場所
駐車と禁止の双方が禁止されているのは、主に以下の10カ所です。
・「駐停車禁止」の道路標識がある場所(標識が指定する範囲)
・交差点、横断歩道、自転車横断帯
・踏切、軌道敷内
・坂の頂上付近、勾配の急な坂、トンネル
・交差点の側端または道路の曲がり角から5m以内
・横断歩道または自転車横断帯の側端から前後5m以内
・安全地帯の左側とその前後10m以内
・バスの停留所から10m以内(※運行時間中のみ)
・路面電車などの停留場表示板(表示柱)から10m以内(※運行時間中のみ)
・踏切の側端から前後10m以内
前述の通り、駐停車禁止の標識は赤い丸に「×」印で斜線が入ったデザインです。また、上記の他にも駐停車の時間制限がある場所や、「高齢運転者等標章」を有する運転者しかが駐停車できない場所もあります。
※参考:道路交通法第44条「停車及び駐車を禁止する場所」
【停車のみ禁止の場所はない】
法律では、駐車または駐停車の双方を禁止する場所はありますが、「停車のみ禁止」という場所はありません。停車が禁止されている場所は、必然的に駐車も禁止です。
駐停車の方法次第でも違反に
駐停車は場所だけでなく、停め方にも注意が必要です。
例えば駐停車は道路の左端にします。進行方向と反対向き(右端)に停めてはいけません。
また、気を付けたいのが路側帯の種類や幅に応じた駐車です。路側帯とは、歩道がない道などに設けられた歩行者用(一部自転車も走行可)のスペースです。 実線1本の路側帯は、路側帯の幅が0.75m以下なら実線の外側、0.75m以上なら実線を踏んだ上で端から0.75mの距離をあけて駐停車します。それ以外の路側帯なら、路側帯の外側で駐停車しましょう。
駐車違反や駐停車違反の罰則
万が一駐停車違反をした場合は、違反点数と反則金が発生します。
▽放置駐車違反と駐停車違反に分かれる
駐車違反には「放置駐車違反」と「駐停車違反」の2種類があります。両者の違いは「クルマをすぐ発車できるか否か」です。
運転者が車両を離れていれば放置駐車違反、その場にいてすぐ発進できるなら駐停車違反と判断されます。両者の違反点数と反則金は以下の通りです。
【放置駐車違反】
駐停車禁止場所等 違反点数:3点 反則金(普通車):18,000円
駐車禁止場所等 違反点数:2点 反則金(普通車):15,000円
【駐停車違反】
駐停車禁止場所等 違反点数:2点 反則金(普通車):12,000円
駐車禁止場所等 違反点数:1点 反則金(普通車):10,000円
※停車による違反はすべて「駐停車違反」と扱われる
※参考:埼玉県警察「交通違反の点数・反則金等の一覧表」
▽反則金がさらに増える場所も
例えば高齢運転者等専用駐車区間に「高齢運転者等標章」なしで駐停車すると、これも違反とみなされます。この場合、反則金は前述の金額よりそれぞれ2,000円高くなります。
▽駐車違反の紙が貼られたらどうする?
禁止場所にクルマを停め、駐車違反の紙(放置車両確認標章)を貼られた場合は、標章を持って警察署や交番に出頭しましょう。出頭するのは原則として運転者です。その後事務手続きをし、反則金の支払い等を行います。
駐停車に関してよくある質問
▽Q. 人の乗り降りは何分でも停車?
人の乗り降りは、原則として時間に関係なく停車と扱われます。
▽Q. 人待ちは5分以内でも駐車?
人待ちは、時間に関係なく駐車扱いです。
▽Q. エンジンがかかっていれば停車?
駐車と停車の定義に、エンジンの状態は関係ありません。エンジンがかかっていても、人待ちや荷待ちなどの事由で停止していれば駐車と判断されます。また、車両から運転者が離れている場合も同様です。
(まいどなニュース/norico)
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