「本物の柿みたい」見事な出来ばえに感嘆の声「なんて美しい」どうやって作った?作者に聞いた
まいどなニュース / 2024年10月2日 16時30分
秋のフルーツのひとつである「柿」をモチーフに制作した七宝焼の写真が「X」に投稿されました。本物と見紛うばかりの色味や艶に、驚きと称賛の声が上がりました。
「毎年秋には必ず作る柿の七宝 渋オレンジが綺麗に出ると嬉しいです。」
そんなひと言とともに写真を投稿した作者の「菊地貴子」さん(@takakokikuchi)は、2020年東京藝術大学大学院を修了した後、作家生活に入りました。大学ではずっと日本画を学んでいたものの、在学中に出会った七宝の魅力にひかれ、好きなことは両方やった方がいい!との思いから自ら描画した日本画の上に七宝作品を配置するという作品スタイルを生み出し、現在はSNSや個展にて作品を発表しています。
七宝焼は金属の土台の上にガラス質の釉薬をのせ、高温で焼き上げて制作します。菊地さんは銀線を使って精緻な下絵を描き、その上に釉薬を盛って焼成する「有線七宝」という技法を用いて制作しています。
「なんて美しいんだ…」
「ふお!! え?七宝焼なんですか?! すんごい綺麗です!」
「新手の柿饅頭か、柿せんべいかと思った、、、。 お見事ッ」
端整な秋の芸術作品を称える声が届いています。
よりリアルにするためにあえて「傷」を描く
菊地さんに本作についてお聞きしました。
――この「柿」の色を出すために、こだわったこと、工夫したことを教えてください。
自然な色味を出すために、いつも釉薬は一色ではなく複数の色を混色しています。また、赤系の色味は特に焼成前と焼成後の色味が変わりやすく、微調整が難しいです。
――繊細な感性と集中力が必要なのですね。
そのため、焼き上がりの色味は勘頼りになる事が多いです。色だけではリアルにならないので、ちょっとした傷なども描いています。
「今までにない描画表現を見つけたい」
「七宝焼」という伝統的な技法を用いて、今後はどんな作品を作りたいですか、と菊地さんにお聞きすると「『有線七宝』という限られた技法の中で、日本画を学んだ経験を活かして今までにない描画表現を見つけたいです。今は小さい作品ばかり作っていますが、いつか赤坂迎賓館にある『七宝花鳥図三十額』のような大きい作品にも挑戦してみたいです」と今後の抱負を語ってくれました。
【菊地貴子さん情報まとめ】
◇今後の展覧会予定
・個展「tropical fish!」|2024/10/23ー12/16 日本橋高島屋S.C 本館2階アートアベニュー
・「めいてつ×タツノココラボフェス|2024/11/27~ 名鉄百貨店本店
・グループ展「FEEL」|2024/12/4ー12/10 浦和伊勢丹 6階 美術サロン
(まいどなニュース特約・山本 明)
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