駐車場で保護された子猫、わずか1年で悪性腫瘍に…1歳6カ月で旅立った愛猫との別れと、飼い主の消えぬ悲しみ
まいどなニュース / 2024年10月4日 16時0分
もう一度、猫と暮らしたい気持ちはある。でも、大切な愛猫を失った痛みが癒えてくれない。そう葛藤するのは、もふもふ はやごんさん(@hayagon_100)。
飼い主さんの心にずっと住んでいるのは、今も愛して止まない亡き愛猫のみぃちゃん。みぃちゃんはお迎から1年ほど経った頃、消化管の上部に悪性腫瘍が見つかり、1歳6カ月でお空に旅立ちました。
会社の駐車場に遺棄されていた子猫を保護
2007年10月末、飼い主さんが勤める会社の駐車場に3匹の子猫がダンボールに入れられた状態で遺棄されました。
「数日間、子猫たちの姿は見当たりませんでした。でも、ある日帰宅時に会社の外へ出たら、駐車場に数名の人だかりができていたんです」
どうしたのだろう。不思議に思い、近づくと、怯えた様子の子猫1匹が倉庫外の隅で丸まっていました。子猫は飼い主さんが優しく声をかけると近づいてきて、足元でスリスリ。
「そっと抱っこして、そのまま保護しました。残りの子猫たちは周囲にいませんでした」
たくさんの人に囲まれていたため、保護時、子猫は終始怯えた様子だったそう。しかし、段ボールに入れて車に乗せ、自宅に連れ帰る際中には落ち着きを取り戻し、スヤスヤ。
夜だったため、飼い主さんは翌日、すぐに動物病院を受診。子猫は生後3カ月ほどの女の子であることが分かりました。
「少し汚れていて痩せていましたが、食欲はあり元気でした。病院では体重測定やノミ・ダニの駆除、野良猫に多い感染症の検査やワクチン接種などをしてもらいました」
魚嫌いでパン好きな愛猫と過ごした日々
子猫の名前は、みぃちゃんに決定。保護直後はケージの一部にシーツを被せて隠れられる場所を作り、なるべく構わないようにしました。
「少しの間、誰かに飼われていたのか、ケージ慣れしているように感じました」
2~3日ほどケージで過ごし、家の匂いや雰囲気に慣れてもらった後はケージの扉を開け、自分のペースで出られるように配慮したそう。すると、みぃちゃんはすぐにケージから出て、部屋を探索し始めました。
「我が家は来客がよくあるので、人馴れはすぐでした。家慣れも早く、自分の好きな場所で生活してくれるようになっていきました」
みぃちゃんは、食事の時間が大好き。お皿を鳴らして呼ぶと「ニャッ、ニャッ、ニャッ」と鳴きながら、どこからともなく現れました。
「でも、それは私がご飯をあげるときだけ。家族が代わりにお皿を鳴らしても出てこないことが多々ありました(笑)」
みぃちゃんは、お魚系のフードが苦手。そこで、飼い主さんはお肉系のドライフードにゆがいたササミや猫缶などを加えた、アレンジご飯をあげることに。
「日替わりでアレンジして召し上がっていただきました。たまにお魚を混ぜても、お魚だけを上手に残していました(笑)」
とにかくお魚嫌いのみぃちゃんは、食卓に魚が並んでいても知らんぷり。しかし、パンには目がなく、いつも強奪しようと目の色を変えていたそう。
「食べられないよう、パンを隠すのに困りました。獣医師は、幼い頃にパンで育てられた可能性があるとおっしゃっていました」
大好きな愛猫の消化管に悪性腫瘍が…
時折、クスっと笑えるような変顔を披露してくれたり、構ってほしい時にはカーテンにぶら下がったりするなど、日常にたくさんの笑顔をもたらしてくれたみぃちゃん。
しかし、癒し度満点の日々は突如、一変します。日頃から定期健診はしていたものの、突然、みぃちゃんの嘔吐が増え、食欲不振に。体重の減少も見られたため、動物病院で超音波検査を受けると、消化管の上部に悪性腫瘍が見つかりました。
腫瘍は胃や十二指腸などにも広がっており、完治が難しい状態。手術をするのは体力的にも厳しいと獣医師に告げられ、投薬やステロイド注射で経過観察をすることになりました。
しかし、病は着実にみぃちゃんの体を蝕み、やがて寝たきりの状態に。それでも、みぃちゃんは叔母さんが泊まりに来た時、布団中にムカデが這っているのを教えるなど、優しい行動を見せてくれました。
別れは、治療開始から1カ月ほど経った頃。みぃちゃんは昼すぎに一度だけ「ニャッ」と、か細い声でひと鳴き。その後、フラフラと立ち上がったかと思えば、その場で倒れ、息を引き取りました。
愛猫を亡くしたことでペットロスに
仕事があった飼い主さんは、最期を看取れず。お母さんに見守られながら、みぃちゃんはお空に旅立ちました。
「亡くなって数カ月間は、一緒に寝ていた時の温もりが恋しくて夜に涙が出ました。眠ることができず、無気力にもなりました」
みぃちゃんとの思い出を振り、愛猫を想う気持ちを誰かと共有したい。そう考え、飼い主さんはXを開設。ペットロスの悲しみと向き合いながら、かけがえのない日々を静かに振り返っています。
大切な家族を失う痛みは、「ペットロス」という言葉では表せないほど深いもの。飼い主さんが語ってくれたみぃちゃんとの思い出は、ペットロスがもたらす空虚感の深刻さや心にぽっかり空いた“猫型の穴”の満たし方を考えるきっかけも授けます。
「短かろうが長かろうが、愛する存在を失うことの喪失感は計り知れません。でも、一緒に生活した日のことや幸せだった時間を思い出して、自分の気持ちと向き合っていけたらいいですね。ゆっくりで構わないと思います」
そんな飼い主さんの言葉は、似た境遇の人に響くはず。お喋りな甘えん坊で、いつも傍を離れなかったというみぃちゃん。きっと、今もお空の上から飼い主さんの笑顔を願っていることでしょう。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)
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