「誰が書いたんですか?」-サトテルに詰め寄られた!?トラ番記者を直撃 神宮のあの夜何があったのか、真相を聞いた
まいどなニュース / 2024年10月3日 17時30分
プロ野球・阪神タイガースの佐藤輝明選手と番記者の間でトラブル発生か…問題のシーンが収められた動画がSNSで拡散され、阪神ファンの間で衝撃が走っている。
巨人が優勝を決めた9月28日、阪神は神宮球場でヤクルトと対戦。その試合後、クラブハウスにつながる通路前の三塁側ファールゾーンで、佐藤選手のぶらさがり取材が行われていた。取材後、いったん離れた佐藤選手がきびすを返し、報道陣に近づいている様子がその動画に映し出されていた。
報道陣の輪の中から一人の記者が佐藤選手に近づき、何かを話している様子。球団広報とみられる人物が二人の間に入り、佐藤選手をなだめるようにも見えた。SNS上でこの動画を視聴したユーザーたちの間で、記者が佐藤選手を怒らせるような質問をしたのではないか、と憶測が広がった。あるユーザーは「今シーズンは佐藤選手のエラーで試合を落とした試合が多かったですが、それらの試合を取れていれば優勝できていたと思いますが、いかがでしょうか」と質問したようだと投稿した。
この質問内容の投稿をきっかけにさらにヒートアップ。動画を拡大する画像なども投稿され、その結果、デイリースポーツの記者と特定する投稿も拡散された。記者個人に対し、「クソ記者」「調子に乗んな」「日本から消えてくれ」など誹謗中傷が相次いだ。
佐藤選手とデイリー記者の間で本当は何があったのだろうか。デイリースポーツはすでに自社サイトで「弊社の記者に関する動画について」という声明文を掲載しているが、広報担当に詳細について問い合わせたところ、試合中に伏線となる出来事があったという。「佐藤輝選手はその試合の二回、左翼線二塁打で出塁し、三塁進塁後に梅野選手のショートライナーで飛び出してアウトになりました。これを受け、弊社の速報担当デスク(内勤)が『走塁ミス』としてネット記事を配信。しかし、試合後に岡田監督が「(サインが)ゴロゴーやから戻れんやろ」と説明したため、速報記事を差し替えました」と説明。本来は取材の経緯を明らかにしていないが、今回、佐藤選手との会話の内容や、そのやり取りを公開することで、実態が少しでも伝わればという考えから答えてくれた。
実際、デイリースポーツは当初【阪神 佐藤輝明が二塁打も痛恨走塁ミス 梅野のライナーで飛び出し併殺 岡田監督は厳しい表情 ライナーバックが求められる状況】という見出しで速報記事を配信した。その後、岡田監督への取材を終え、【阪神 佐藤輝明が二塁打も 梅野のライナーで飛び出し併殺 岡田監督「ゴロゴーよ」「ライナー打つのがアカン」】と訂正した。
デイリースポーツ記者を直撃した
佐藤選手とグラウンド上でもめたように見えたデイリースポーツの記者にも、当日の状況を聞いた。
――試合後の囲み取材で佐藤輝選手が激怒したと言われています
「佐藤選手は試合後に速報記事を知ったようで、そこへの不満があったのは確かだと思いますが、あの囲みの場では冷静に“あれを書いたのは誰ですか?”と聞かれました」
――いったん帰りかけてすぐに振り返って戻ってきました
「現場から出稿された記事ではなかったこともあり、私はその記事を把握しておらず明確な回答ができませんでした。そこで佐藤選手はクラブハウスへいったん向かおうとしましたが、再度“誰が書いたか分からないんですか?別に怒っているわけではないんですよ”と問いかけてきました。そこで私は駆け寄り“おそらく現場ではなく、内勤の人が書いたと思います”と説明しました」
――大きな声を出していたようにも見えます
「スタンドからの歓声が大きく、お互いの声が聞こえづらかったため大きめの声で話していたのは事実です」
――SNSなどでは記者が佐藤選手を怒らせるような質問をしたからではないのかなどの臆測が広まり、失礼な質問がねつ造されて拡散されています
「その日の囲み取材で私は質問をしていませんし、他社の記者も含めてSNS上に拡散されたような失礼な質問はしていません。もちろん我が社のネット記事が原因で佐藤選手に不快な思いをさせてしまったことは事実ですので申し訳なかったと思います。ただ、あの現場で起こっていたこととは全く事実と違うことが、あたかも本当のことかのように拡散され、非常に困っています。球場周辺では指を差されることもあり、身の危険すら感じています」
――その後、佐藤輝選手と話しましたか?
「内勤の速報デスクから出稿されていた記事だったことを確認した上で翌日、阪神担当キャップと2人で本人に改めて説明し、速報記事の間違いについて謝罪しました」
――佐藤輝選手の反応は?
「“もう少し選手に敬意を払った記事を書いてほしい”という要望も受けましたが、ご理解いただけました」
その場にいた他社の記者は
拡散された動画を見返すと現場には他にも8人ほど取材者がいたことが確認できる。どんなやり取りがあったのか、その場にいた一人の他社記者に聞いてみると「ちょうどヒーローインタビュー中だったので、正直言って何を話しているのか、聞き取れませんでした」と返ってきた。近くにいたにもかかわらず、二人の会話が聞こえなかったということは、さも聞いてきたようにX上に投稿された記者の質問自体がねつ造であったことが容易に分かる。結果的には、その質問が一人歩きして、デイリー記者に対し、SNS上での誹謗中傷が繰り返された。
しかしながら、事の発端は速報記事の間違いであることに違いない。デイリー広報担当は「ネット記事の間違いについては翌29日、担当者が佐藤輝選手に改めて説明した上でおわびし、ご本人、球団にはご理解いただけました。いったん『走塁ミス』として報じてしまったことについては、深く反省しております。申し訳ございません」と謝罪。加えて「弊社は今後、佐藤選手に限らず他のアスリートに対しても、よりリスペクトを持って、取材・記事執筆をしてまいります」とコメントした。
一方で、件のデイリー記者がいわれのない誹謗中傷を受けていることも事実だ。「まず記者の名誉をどのようにすれば回復できるのか。その方策の一つとして顧問弁護士に相談した上で、兵庫県警本部に出向いてサイバーセキュリティ―担当の捜査官と協議しました。今後も様々な選択肢を検討していきます」という思いから、ウエブサイトやXに掲載した会社の見解の中に「法的措置」と記述した。
<騒動の経過>
【9月28日】
★ヤクルト戦の二回、阪神の佐藤輝明選手が左翼線二塁打で出塁。三塁進塁後、梅野選手のショートライナーで飛び出してアウトに。デイリーは速報記事の見出しに佐藤選手の「走塁ミス」だったと配信。岡田彰布監督によると試合後、該当の場面は「ゴロゴー」でサインであったことが判明。それを受けてデイリーは速報記事の見出し及び本文を訂正。
★試合後、神宮球場三塁ベンチ前からレフトファールゾーンまでで佐藤輝のぶら下がり取材中に、佐藤選手がデイリー記者に「誰があの記事を書いたのですか」と質問。当該記者は何のことか分からず。取材終了後、いったん帰りかけた佐藤選手が振り向き「誰ですか?」と再度確認。そこへデイリー記者が近づいて説明。この一連の様子を、客席から撮影されたと思われる動画がSNSで拡散。拡大画像まで出回り、デイリーの記者だと広まる。さらにX上ではデイリー記者が佐藤選手を怒らせる原因となったねつ造の質問「今シーズンは佐藤選手のエラーで試合を落とした試合が多かったですが、それらの試合を取れていれば優勝できていたと思いますが、いかがでしょうか」が投稿された(現時点でアカウントは削除されている)。上記投稿を事実と誤認した一部ユーザーから「クソ記者」「調子に乗んな」「日本から消えてくれ」など誹謗中傷が相次ぐ。
【9月29日】
★午後、甲子園球場でデイリー記者が佐藤選手に謝罪、速報記事に間違いがあり訂正したことを説明した。佐藤選手はこの謝罪を受け入れた上で「ミスを責めるばかりではなく、選手へのリスペクトも忘れないでほしい」
【9月30日】
★一部ネットニュースで騒動が取り上げられる
・鬼の形相!引き返して記者に詰め寄った!阪神・佐藤輝明をブチ切れさせた「禁断の質問」(アサ芸プラス)
★夕方、デイリースポーツがサイト上で「弊社の記者に関する動画について」と声明文を掲載
【10月1日】
★Yahoo!などポータルサイトのネットニュースでも騒動が取り上げられる。
・阪神ファン騒然「佐藤輝明ブチギレ事件」の真相が判明! 原因は「憶測による戦犯扱い」だった!(FRIDAY DIGITAL、9時配信)
・阪神・佐藤輝選手が記者にブチギレた? 動画拡散 デイリースポーツは「事実無根」(弁護士ドットコムニュース、11時56分配信)
・阪神・佐藤輝明選手が記者の質問にブチ切れ?動画が拡散 名指しされたデイリーは異例の反論、その真相は(Jcastニュース、20時3分配信)
(まいどなニュース・小森 有喜)
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