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「肺炎」は日本の死亡原因の第5位 「65歳以上の人は肺炎球菌ワクチンを受けて」発信する医師に聞いた

まいどなニュース / 2024年10月10日 7時6分

肺炎が重症化すると、入院が必要な場合も(Monet/stock.adobe.com)※画像はイメージ

 総合内科専門医および感染症専門医として勤務する「DR.L@感染症専門医」(@infection_dr_L)さんが、「肺炎球菌ワクチン」接種の大切さをSNSに投稿して注目が集まりました。

「65歳以上の人々には、肺炎球菌ワクチンの接種が強く推奨されます。肺炎球菌ワクチンは特定の肺炎球菌性肺炎に対して46%の効果があり、侵襲性肺炎球菌感染症に対しては70%以上の効果が示されています。特に65歳以上の高齢者においては、入院を要する肺炎の発生率を顕著に減少させることが確認されています。」

 厚生労働省の『肺炎球菌の感染症を予防できるワクチンがあります』によると、「肺炎は日本の死亡原因の第5位であり、成人の肺炎の約2〜3割は、肺炎球菌という細菌により引き起こされるとの報告があります」と書かれています。さらに「肺炎で亡くなる人(新型コロナが原因の死亡者は含まれません)の97.7%が65歳以上(2021年)」(「肺炎予防.jp」より)と、65歳以上の人にリスクが高いことがわかります。

 そのため、65歳以上の高齢者(65歳の1年間)、60〜64歳の「心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害がある方」「ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方」には成人用肺炎球菌ワクチン接種の定期接種(市区町村が実施する予防接種)がおこなわれています。

 定期接種は「23価肺炎球菌ワクチン」が使用され、成人用肺炎球菌ワクチンをはじめて接種される方のみ公費助成が受けられますので、該当する方はお住まいの市区町村に確認してください。

※日本で使用されている主な肺炎球菌ワクチンには、結合型肺炎球菌ワクチン(PCV)と23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)があります。
 PCV13(プレベナー13®):13種類の血清型をカバー
 PCV15(バクニュバンス®):15種類の血清型をカバー
 PCV20(プレベナー20®):20種類の血清型をカバー (最新)
 PPSV23(ニューモバックスNP®):23種類の血清型をカバー

 DR.Lさんの投稿には、「肺炎球菌ワクチン接種してたら、私の親族も助かったかもしれない」「これは定期的に流してほしい情報…その年代になったら必ず接種しよう」などのコメントが寄せられました。

 風邪と肺炎は異なります。風邪は主に上気道に影響を及ぼします。肺炎は、細菌やウイルスなどの病原体が肺胞に感染して、炎症が起こって発症します。風邪は通常は対症療法で自然回復を待ちますが、肺炎は抗生物質や抗ウイルス薬が必要になることが多く、重症の場合は入院治療が必要になります。

 ワクチンを打つことについてDR.Lさんは「肺炎球菌ワクチンは、肺炎や髄膜炎、血液感染といった命に関わる深刻な病気を防ぐ効果があります。日本でも、肺炎球菌感染症で亡くなる方が多く、特に65歳以上の方に多いのが現状です。しかし、ワクチン接種によって多くの命を救えるのです。また、薬が効きにくい肺炎球菌も増えているため、ワクチンでの予防がますます大切になっています」と話します。

 「肺炎球菌ワクチンは、医療費の面でも効果的です。ワクチン接種で肺炎球菌による入院を防げれば、医療費の節約にもつながります。肺炎球菌ワクチンは私たちの健康を守り、社会全体の医療負担を減らす重要な手段です」(DR.Lさん)

DR.Lさんによる、肺炎球菌ワクチンに関するQ&A

Q1: 肺炎球菌ワクチンを接種したことがあるが、再接種した方がいいのか?

A1: はい、再接種が推奨される場合があります。特に以下の点を考慮してください

 前回の接種からの経過時間:PPSV23の場合、前回の接種から5年以上経過していれば再接種を検討できます。

 年齢と健康状態:65歳以上の方や、慢性疾患を有する方は、再接種のメリットが高い可能性があります。

 ワクチンの種類:以前にPPSV23を接種した方でも、PCV13やPCV15の接種を検討する価値があります。これらのワクチンは異なる免疫応答を引き起こすため、追加の保護効果が期待できます。

Q2: 肺炎球菌ワクチンと他のワクチン(例:インフルエンザワクチン)を同時に接種できるか?

A2: はい、一般的に肺炎球菌ワクチンは他のワクチンと同時に接種することができます。ただし、以下の点に注意が必要です

 接種部位:同時に接種する場合、異なる部位に接種します。例えば、左右の腕にそれぞれ、同じ上でなら3cmあけて接種するなどです。

 免疫応答:複数のワクチンを同時に接種しても、それぞれのワクチンに対する免疫応答は通常影響を受けません。

 副反応の可能性:同時接種によって副反応のリスクが著しく高まることはありませんが、個々の副反応が重なる可能性はあります。

 個別の状況:特定の健康状態や薬剤使用中の方は、同時接種について医師と相談することが推奨されます。

 スケジュールの利便性:同時接種は、複数回の医療機関訪問を減らし、予防接種スケジュールを簡素化できるメリットがあります。

Q3: 肺炎球菌ワクチンの費用はどのくらいか?また、補助はあるのか?

A3: 肺炎球菌ワクチンの費用と補助については、以下の点が重要です

定期接種の場合:
 - 65歳の方、および60~64歳で特定の条件に該当する方を対象に、PPSV23の定期接 種が実施されています。
 - 接種費用の一部は公費で賄われますが、補助額は市区町村によって異なります。
 - 自己負担額は自治体によって異なりますが、通常数千円程度です。

定期接種の対象者:
 - 65歳の人
 - 60~64歳で、心臓や腎臓、呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される人

保険適用:
 - PPSV23は、脾臓を摘出した人への接種が保険適用となっています。
 - それ以外の場合、通常、予防接種には健康保険が適用されません。

任意接種の場合:
 - PCV13、PCV15、あるいは定期接種対象外のPPSV23接種は、全額自己負担となることが多いです。
 - 費用は医療機関によって異なりますが、おおよそ7000〜10000円程度です。
自治体による補助:
 - 一部の自治体では、定期接種対象外の方や任意接種に対しても独自の補助制度を設けています。
 - 補助額や対象者は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の保健センターや医療機関に確認することをお勧めします。

  費用や補助の詳細は、地域や個人の状況によって異なるため、接種を検討する際は、かかりつけ医や地域の保健所、医療機関に直接問い合わせることをお勧めします。また、定期接種の詳細については、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

■DR.Lさんのプロフィール
総合内科専門医および感染症専門医として勤務。HIV感染症を専門とし、この分野の研究に携わる一方で、新型コロナウイルス、エムポックス、HPVなど幅広い感染症全般について情報提供を行っています。#UequalsU運動を支持し、LGBTQコミュニティのStraight Allyとして医療における平等と尊厳の擁護に尽力。最新の医学研究と臨床経験に基づいた信頼性の高い医療情報を提供することを心がけており、SNSでの啓発活動やnoteでも関連記事を執筆。日々の臨床経験と最新の研究結果に基づいて、感染症の予防と治療に関する情報提供に努めています。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)

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