「増えるワカメあげたらつけてくれた」ワカメで着飾るカニの姿「おしゃれ上級者!」ユニークなカニの生態が話題に
まいどなニュース / 2024年10月25日 11時40分
「増えるワカメあげたらつけてくれた」
細切れにしたワカメを全身に装着するカニさんの姿を映した動画が「X」で話題になりました。
「おしゃれ上級者!」
「わ〜!ドレスアップしたみたいですね!なんか綺麗…」
「パリコレモデル並の派手さ」
などとその姿を称える声が寄せられたほか、
「子供の国語の教科書にでてきたモクズショイを、まさかXでみかけるとは...」
「我が子も『うみのかくれんぼ』という話を音読しています。この動画を見せたらとても喜んでいました。ありがとうございました!」
という声も届きました。
動画を投稿したのは「でんか」(@K_theHermit)さんのアカウントです。東京海洋大学卒業後、海洋生物の研究を行うでんかさんは、海の生物を観察・撮影した写真や、自身の飼育するヤドカリやウミウシなどの美しくユニークな姿を撮影した写真をSNSに投稿しています。
今回話題になったカニさんは「モクズショイ」といいます。「モクズショイ」は体全体が毛でおおわれたカニで、でんかさんは話題になった動画に続けて「カギ状のちいさな毛がたくさんならんでます。マジックテープの片側みたいな」とリプライで説明しています。この毛に海藻などを付着させる習性があり、その姿が藻のくずを背負っているようであることからこの名まえがついたのだそう。
このユニークな海の生物について詳しい話をでんかさんにお聞きしました。
「レアな姿の撮影会を始めました」
――「装着完了」した姿をご覧になったときは?
モクズショイがいる水槽に乾燥ワカメをいれたのは初めてだったので「なんとゴージャスなドレスをお召しになって!」と驚きつつ、レアな姿の撮影会を始めました。
――「撮影会」(笑)。確かに目を引く姿です。
私は定期的に海で海藻やカイメンという付着物を採集して水槽にいれているのですが、採集量が少なくモクズショイが寂しい姿になることもありました。水槽内の海藻が少なくて、時には濾過器の人工スポイトをちぎってつけることも。乾燥ワカメを着飾った姿を見た時は、これで代用できると安心したところもありました。
――話題になった動画では、どのくらいの時間をかけて「ワカメ」を全身に付着させましたか?
ワカメをいれたらモクズショイはすぐに反応して近くにいき、ワカメがふやけるのと同時に他の動画(「プレゼントしたらすぐに着てくれる」というひと言とともにポストされた動画。「ミル」という丈夫な海藻をちぎって身に付けていく姿を撮影)のようにちぎっては体につけていました。他の生物の邪魔がなければ30分ほどで全身に着けていたと思います。
せっかく装着したワカメを食べられちゃった!?
――「ガンガゼ(※ウニの一種)」に食べられてる」という動画も拝見しました。これはモクズショイが「装着」したワカメを食べているのですか?
ガンガゼのエサとして乾燥ワカメをいれているので、食べていると思います。
――この後は?
ご存知のとおり乾燥ワカメはふやけていって柔らかくなるので、モクズショイが動いて岩に擦れたりするとちぎれてしまいます。擦れたり他の生物に食べられたりして、時間とともにどんどんちぎれていき、最後にはなくなってしまいました。
――「せっかく装着したワカメ」を食べられても平和に共生を?
観察していると、ガンガゼがくっついていても気にしていないようでした。モクズショイはその生態から体になにかくっついていると安心すると思うので、ガンガゼがくっついていたら落ち着くのかもしれません。
――動画が拡散し、コメントが多数届きました。
過去にもカニに関する投稿はいくつか話題になっているので、最近の海の生物への人気を感じつつ、さらに興味を持ってもらえたら嬉しく思います。そういう点では、小学校の教科書に海洋生物の生態について書かれたものが掲載されているのは喜ばしいことです。
水族館にもいないような海の生物の姿を投稿
続けて、でんかさんは「『どうやって海藻をつけているのか』といった質問のコメントが印象的でした」と話し、さらに「私のふだんの投稿には比較的小さくて水族館にもいないような、ふだんなかなか目につかない生物がよく登場します。そういう生物に興味をもってもらえると嬉しく思います」と海の生物への愛情を語ってくれました。
また「海の生物は風変わりな生態をしているものが多々いますので、質問などがあった際には答えられるものはなるべく答えるようにしています」とも言うでんかさん。アカウントのタイムラインには、海の生物の姿を映した興味深く、楽しい動画が多数投稿されていますので、興味のある人はチェックしてみてはいかがでしょうか。
(まいどなニュース特約・山本 明)
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