譲渡会の看板猫は希少なオスの三毛猫! 新しい飼い主との出会い待つ保護猫たちに「ボクが幸せを運ぶニャン」
まいどなニュース / 2024年10月27日 16時0分
熊本市を中心に、野良猫のTNR(捕獲し、不妊去勢手術を施して、元の場所に戻すこと)や保護した猫の家族探しをしている「NPO法人 犬ねこみらいサポート」(中野裕子代表、会員数はサポート会員含め約20人)。毎週日曜日、同市内で開催している譲渡会を訪れると、珍しいオスの三毛猫が人なつこく出迎えてくれた。その名も「三毛太郎」。今年(2024年)7月、TNR活動をしていたところ、捕獲器に入り込み保護された。その後の譲渡会で看板猫デビューを果たすと人気者に。今では新しい飼い主を待つ他の保護猫たちに幸せをもたらす存在になっている。三毛太郎との出会いや譲渡会の様子、同団体の活動などについて、中野代表に話を聞いた。
中野さん(以下同) 今年7月、メンバーの一人がTNR活動中、捕獲器の中に生後3ヶ月ほどの三毛の子猫が入っていたのを見つけました。猫風邪をひいていて鼻水や鼻詰まりがひどく、足もケガしていたそうです。飼い猫ではなく野良猫とみられ、すぐに保護して動物病院へ連れていって診てもらうと、獣医師さんいわく「この子は男の子ですよ」と。
三毛猫はほとんどがメスですが、染色体の異常でごく稀にオスが生まれることがあるとのこと。非常に珍しいので「縁起がよく、幸運をもたらす」とも言われています。25年以上、保護猫活動をしていますが、オスの三毛を保護したのは初めてです。メンバーたちも皆、びっくりでした。
三毛太郎は1週間ほどで元気になりました。通常、保護した子猫は譲渡会で飼い主さんを探しますが、メンバーらで話し合った結果、業者に転売される可能性もゼロではないですし、染色体の異常とのことで、健康に十分気をつけていくため、メンバー宅で大切に育てることにしました。いまは他の保護猫たちと一緒にのびのびと暮らしています。
性格はおっとりとして穏やか。人見知りせず、なでられたり抱っこされたりしても全然嫌がりません。新入りの子猫には毛繕いしてあげるなど、面倒もみてくれています。そんなフレンドリーな性格であることと、譲渡会に参加いただいた方々に幸せのお裾分けをしたいとの思いから、7月末の譲渡会で看板猫としてデビューすることになったんです。
外で暮らす猫たちは病気や交通事故、カラスに狙われるなど様々な危険があります。1匹でも多くそうした猫を救い、保護した子については生涯可愛がってくれる家族を見つけたいと、それぞれのメンバーができる範囲で活動をしています。
ただ、不妊去勢手術の費用や病気の治療費は各メンバーの持ち出しがほとんど。警戒してなかなか捕まえられない子もいます。不妊去勢手術をしていない子がいるとまた増えてしまうので、なるべく手術していない子を残さないようにしているのですが、ときには地域住民の方々の理解を得られないこともあり、資金面も含めて日々悩みながら保護活動を続けているのが現状です。
三毛太郎が譲渡会に参加するようになると、地元の新聞やテレビで珍しいと紹介され、記事やニュースをみた人たちが譲渡会を訪れてくれるようになりました。「あんたたちが毎日頑張りよるけん、そがんよかこつのあったたい(そんないいことがあった)」と声をかけてくれる町内会長さんもいました。
譲渡会の集客にはいつも苦労しています。やはりまずは譲渡会に足を運んでいただいて、保護猫たちと会ってもらわないことには何も始まらないですから。三毛太郎と触れ合った人は「会えて幸せ」「長生きしてよかった」「いいことあるかも」などと言って、みなさん笑顔で帰っていかれます。三毛太郎もいろんな人と触れ合えて嬉しそうです。
なにより励みになったのは、三毛太郎に会いにきてくれた方の中に、譲渡会場にいた他の保護猫と「運命の出会い」を果たした方がいたこと。譲渡会にはいつも40匹前後の猫たちが参加しているのですが、その方は、その中の1匹の子に一目惚れしたそうで、その後、トライアルを経て、めでたく正式譲渡となりました。
そんなふうに三毛太郎がきっかけになって、保護猫っていいなと関心を持ってくれたり、うちの家族に迎えようかなという気持ちになってくれたりする方が少しでも増えてくれたらと願っています。これからも家族を待つ子たちに幸せを運んできてほしいですね。
「犬ねこみらいサポート」インスタグラム @inunekomirai_support
三毛太郎のインスタグラムは @miketarokun
(まいどなニュース特約・西松 宏)
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