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飼育放棄を申告した飼い主 保護されたボクサー犬は痩せこけ表情はうつろ 愛情注がれ生きる喜びを知った

まいどなニュース / 2024年11月22日 15時30分

保護されたメスのボクサー犬

残暑厳しい2024年9月、宮崎県の保護団体・咲桃虎(さくもんと)に連絡が入りました。内容は「私はネグレクトです」「メスのボクサー犬を飼ったはいいが、育てるのが難しく引き取ってもらえないか」というもの。

通常、ネグレクトなどの場合、近所の人が見るに見かねて保護団体に相談を持ちかけることはあっても自ら「ネグレクトです」「育てられないから引き取って欲しい」と申し出る例はそう多くなく、同団体のメンバーも唖然。しかし、「残暑厳しい中でのワンコのことを思えば、そうやって自己申告してくれるほうがありがたい」と頭を切り替え急いで保護に向かいました。

「水? 自分でこぼしたんじゃない?」と飼い主

その家には、照りつける日差しの下、わずかに残る小さな日陰を頼りに体を小さくし、うつろな表情で過ごすボクサー犬がいました。やせ細り、この炎天下にも関わらず水も用意されていません。

あまりにひどいネグレクトに、メンバーは飼い主に問いただしました。すると飼い主は「水? 朝は入れたはずだけど、自分でこぼしたんじゃない?」と悪びれる様子もありません。

その態度に憤りを覚えますが、まずはボクサー犬の救出が先。メンバーがボクサー犬を抱きかかえると、そのうつろな瞳で見つめます。「お腹空いたし、喉もカラカラ。暑くてもう耐えられないよ」と言わんばかりの苦しそうな様子で体を委ねてきました。

連れ帰り体重を測ると、同犬種の平均体重よりもはるかに低く骨が浮き出るほどガリガリ。さらには避妊手術後の処置が済んでおらず、体内にワイヤーが残ったままでした。飼い主は当初、避妊手術を実施し、大切にお世話しようとしていたのでしょうか。経緯は謎ですが、自己申告の通りとはいえ、その育児放棄ぶり胸が張り裂けそうになる状況でした。

幸い重篤な持病はなく、程なくして元気を取り戻してくれた

ボクサー犬はすぐに動物病院に連れていかれ、すぐにワイヤーを抜いてもらうことができました。重篤な持病なども抱えておらず、適切なお世話と栄養補給をすれば元気を取り戻すという診断も受けました。

メンバーがその通りにお世話し続けると、ボクサー犬は次第に元気を取り戻し、動きも機敏になって、同団体の他の犬猫と一緒に遊んだり散歩に出かけられるようになりました。

たっぷりの愛情を注いでくれる新しい里親さんとの出会いを待つ

保護当初よりもはるかに明るくなったボクサー犬の表情は、「外の世界ってこんなに楽しいのね」と言わんばかり。本当に保護されて良かったと思います。

そして、元気を取り戻してくれたところで分かったのが、その穏やかなで優しい性格。他の犬猫と争うような素振りは全くなく、そして人間と触れ合うことも大好きです。

現時点では、ボクサー犬を「迎え入れたい」という声はありませんが、この優しい性格であれば、そう遠くない時期にきっと幸せをつかんでくれることでしょう。劣悪な過去を忘れさせてくれるような、たっぷりの愛情を注いでくれる里親さんと繋がると良いなと思います。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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