掃除ができない飼い主 愛情も収入もあるのになぜ? 16匹の多頭飼育崩壊からの救出劇が教えること
まいどなニュース / 2024年11月23日 17時30分
「掃除ができない」という人は一定数いますが、こんな人が犬猫の飼い主となったら最悪です。自分の身の回りの掃除ができずに、ペットの掃除やお世話も満足にできるとは思えず多頭飼育崩壊を起こしたり、ネグレクトに至ったりすることも考えられます。
2024年5月、宮崎県内で起きた猫の多頭飼育崩壊現場の飼い主もまさに「掃除ができない人」でした。地元の保護団体・咲桃虎(さくもんと)のメンバーが保護に向かうと、家に一歩足を踏み入れると、あまりの悪臭で目も開けられない、息もできないような状態でした。
窓もクーラーもない悪臭漂う部屋で寝ていた猫たち
飼い主に聞くと「猫が好きで、愛情もあり、金銭的にも問題はない」と言います。この家には成猫6匹、子猫10匹の合計16匹がいるのに、明らかにトイレの数が足りていません。話を聞くと「掃除が苦手」「なかなかきれいにすることができない」と言います。
飼い主が猫に強い愛情を持っていることは感じられました。しかし、満足なお世話もせず、「掃除が苦手」「きれいにできない」という性格のせいで、どんどん増えていく猫たちに対して手が負えない状況に至っているようにも映りました。
「どうにかしたい」と訴える飼い主。専門機関の協力を得ることに
16匹の猫が過ごしていたリビング、寝室、キッチンなどを見せてもらうと、さらにひどい環境でした。飼い主と猫たちはベッドで一緒に寝ていたようですが、窓もクーラーもない部屋。これでは飼い主も猫も健康を害することが明白です。
飼い主からは「状況をどうにかしなければいけない」という意思が感じられたため、今後は団体がサポートをすることにし、掃除やお世話については専門の機関に協力してもらうことを条件に、大人猫についてはそのままお家にいることになりました。生まれて間もない10匹の子猫たちは、「健康を崩さないために」と団体で保護をすることになりました。
保護当初こそ鋭い目つきで警戒心をあらわにしていた子猫たちでしたが、すぐに慣れて、団体メンバーに心を開いてくれるようになりました。
保護した10匹の子猫のうち、1匹はすぐに新しい家族に迎えられることになりましたが、残る猫たちは団体のお世話を受けながら「新しいお家」を待ち続けています。幸いどの子猫も重篤な持病などはなく、スクスク成長していることからそう遠くない時期に、新しい家族が見つかると思います。
多頭飼育崩壊を防ぐためにまずは不妊手術を
多頭飼育崩壊はどんな理由があったとしても「飼い主という人間によって起きる」問題です。まず多頭飼育崩壊を防ぐ第一の方法としては、不妊手術を行うこと。不妊手術をせずに猫が増えすぎてしまうことで、経済的にも厳しくなり状況が悪化するケースも少なくないので、必ず実施べきことです。
そして、きちんとした十分なお世話をすること。普段はかわいく映る犬猫でも、当然糞尿のお世話をしなければいけませんし、もちろん年老いていき、病気を発症することもあります。そこも含めて「一生を預かる」のが飼い主となる最低条件です。
今回のように飼い主に「動物愛」があり金銭的にも問題がない場合でも、掃除がうまくできなかった不妊手術に取りかかるのが遅れることが原因で、多頭飼育崩壊につながるケースは少なくありません。
「犬猫を飼いたい」と思う人のほとんどは、こういったリスクなどを理解しているはずですが、そうでない人によって行き場を失う犬猫が後を経たないのも現実です。悲しい思いを末路を辿る犬猫が1匹でも減ることを強く願ってやみません。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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